バーベキュー
四十四、バーベキュー
マニたち三人が神殿に行く途中でフラッタスの町に寄ると、少し煙があり香ばしい匂いが漂っていた。
広場の方に行くとみんなで集まってバーベキューをしていた。
「お帰りなさい。お兄様、サンサお姉ちゃん」
手に焼いた肉や野菜の刺さった串を持ったココアが出迎えてくれた。
マニたちは差し出された串を受け取った。
かぶりつくと、塩が肉のうま味を引き立てていた。
レオの説明によると、領内の村や神殿を襲った獣を召喚した三人を捕まえたそうだ。
残りの獣たちもみんなで駆除した後、神殿の図鑑で調べて食べられる物を解体し、バーベキューをしていたそうだ。
余った肉は干し肉にして冬に向けて保存するらしい。
「それで、シアンはまだ生きてるんですかい?」
レオがサンサをちらちらと横目で見ながら近くに寄って小声で聞いてくる。
父親たちを取り戻すためにサンサに襲いかかって。返り討ちになったと心配しているようだ。
「うん、シアンは無事だよ。お父さんたちも元の世界に戻ってきてるよ」
マニは山岳地帯でのできごとを説明した。
町の人々はマニたちが無事で良かったと喜んでくれた。
「その、シアンをそそのかしたカールと手下たちは逃げちゃって、今から神殿に先に帰ってる師匠と合流して相談する予定なんだ」
「ん?神殿の近くで戦ったけど、師匠は見なかった」
「いくら完全に良くなってないからって、キャス君が隠れてるだけとは思えないし、もしかして途中で何かあったのかも……」
急いで神殿へ行き、安否を確認しようとした。
「遅くなってすみません」
上から声がして、キャスが町の広場に空から着地した。
連れだって髭を生やした男性が続いて着地した。
そのままサンサの方へ歩いていく。
「久しぶりだな。湖の魔女」
「お久しぶりです、ジョンさん。どうしてここへ?」
「たまたま近くに寄ったから……なら良かったがカールがお前さんを狙っているという報告があってな」
ジョンが振り向いた先、キャスの後ろに山で見た悪魔の一人が隠れていた。
左右非対称のピアスが揺れている。
「サンサさん、この方知り合い?」
「そうよ。何十年か前に東を旅した時に魔法を教えてもらったの」
「ジョンさんは今、東の華流の幹部だそうです」
彼の話によると東の国で発展している東の華流の魔術師会は北の森派を敵視しているわけではないそうだ。
ただ、カールのような一部の会員が暴走して今回の事件を起こしたらしい。
カールに従っていた悪魔の一人がこれはおかしいのではないかと不審に思い、キャスに助けを求めて、東の国の魔術師会まで伝えに言ったそうだ。
「カールともう一人の悪魔は……僕をおいて、先にいってしまいました……」
「すみません、一人しか捕まえられませんでした」
「いやいや、報告感謝するよ。かなり迷惑をかけたみたいだな。後日各地にお詫びに部下を向かわせるよ」
ジョンは神殿を一部破壊した三人組を国に帰って取り調べると言った。
護送の馬車が来るまで数日かかるらしいので、それまではマニたちと一緒に詳しい話を聞くことになった。
異様に何かに怯えている悪魔はフラフラして心配だったので、サンサが神殿に連れて帰るという。
数日後、東の国から檻の乗った馬車が来て、三人組は運ばれていった。
ジョンはサンサにまた東の方にも遊びに来るように言って帰って行った。
ただ、カールたちは依然行方不明のままなため、警戒を続けながらの日々を過ごした。




