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竜のマニ  作者: ぼんにゃん
2章
44/52

神殿を守れ

四十三、神殿を守れ




カールの手下たちは参拝者に紛れて神殿の前まで長い石段を登ってきた。

長い階段なので息は切れがちである。


「はあ、はあ」


神殿の前で息を整えて三人は木々の間に隠れる。

枯葉で滑る斜面の上で転ばないように慎重に召喚魔法で獣たちを数匹呼び出す。

呪文を唱えると地面に黒い円が出現し、その中から遠いに生息しているはずの獣たちが飛び出してくるのだった。


「向こうへ行って暴れろ」


召喚した者が命じるとすぐに獣たちは飛び出していった。

立派な角を持つ大きな草食獣が神殿に向かって突進していく。

そこにいた参拝客たちは角で突き刺されたらたまらないと悲鳴を上げて逃げだした。

神官や巫女たちは参拝客を避難させたり、獣を追ったりしている。


「今の内だ」


三人は木々の間から現れて、ローブの中に隠し持っていたハンマーで神殿の壁や石像を殴って壊し始めた。




ドレイク領の町フラッタスには復興時に見張り台を兼ねた3階建ての建物の集会所が作られた。

この町で一番高い建物である。

動物による農村部の襲撃や農作物の被害が相次いでいるため、常時見張りが監視していた。

最上階には四方向に大きな窓があり、見晴らしが良かった。

ある昼下がり、一人の見張りが森の上空に巨大な猛禽類たちが飛び回っているのを見つけた。

いつも空を飛んでいる鳥たちとは比較にならない大きさだったので、すぐ1階の対策本部に知らせた。

報告を受けたココアとレオは3階に急いだ。

レオは安定した収入を得て、穴の開いていない服を着ていた。

ココアの長い髪は二つに結ばれていた。

ブラウスとスカートの上からフード付きのローブを着ていた。


「今度は森の方が狙われているな」

「ジビエ食べたい」

「お嬢……?領地の外ですが出撃するって意味ですか?」

「犯人を捕まえる」

「というわけだ、俺たちは今から森の方へ行く。引き続き警戒を頼む」

「「はいっ」」


二人は森の方へ向かった。

ほうきで飛んでいくココアを走って追いかけながらレオは思った。

農村が襲われて今年の冬の食糧難が予想されるからな。

お嬢は領民のためを思って、冬の食料を得ようとしているのか?




神殿近くの料亭で働いていたベリータは突然獣たちが現れたので、建物内に同僚や客と立てこもっていた。

仕事中だったのでエプロン姿のままだ。

連日のドレイク領の被害の噂は届いている。

竜巻も起こってないのに違う地域の動物たちが大量に迷い込むはずなどがない。

誰かが裏で糸を引いているはず。

ベリータは従業員控室で小さなテーブルの上に水晶を置いて中を覗き見た。

そこには神殿を破壊しようとする者たちが見えた。


「あそこね」


彼女は部屋を出て、二階の窓から杖に乗り、神殿へ向かって飛んだ。




神殿の真上に着いた所で飛んで来た大きな猛禽類が迫って来た。

慌てて同じくらいの大きさの鳥を幻惑の魔法で出現させる。

猛禽類は驚いて逃げたが、背後からもう一羽につつかれ、バランスを崩して地面に墜落した。


「何だ、お前?」


破壊行動をしていた手下たちがハンマーを手に集まってくる。

しかしベリータは腰を強く打った痛みで動けなかった。

回復魔法も間に合わない。


ゴンと鈍い音がして一人の手下が倒れた。


「何だ?」


慌てふためく二人も次々に倒れた。


「ココア!ありがとう」


次々と魔法の杖で頭を殴って気絶させていったようだ。

もちろん身長が足りないので地面を蹴り、跳ねてからの殴打の連続であった。


「ベリータさん、大丈夫?」

「ええ、高い所から落ちちゃったけど、たいしたことないわ。回復魔法は自分でかけるか大丈夫よ」


続いて破壊された石像を軽く飛び越え、走って来たレオが到着した。


「こいつらがこの騒動の犯人か?」

「あやしいわね」


周囲を二人が見張っている間、巫女たちに神殿内から鎖を持ってきてもらい、三人をぐるぐる巻きにした。

レオが角ある獣たちに襲いかかってしめた。

矢を使えば客や駆除をしている神官たちに当たる可能性があったからだ。


「素手で倒すなんてあんた、やっぱりすごいわ」


ココアは魔法の杖を上空に向けると放たれた光線によって大きな鳥たちが次々と落下してきた。

みんなの努力により、獣たちはすべて駆除され、神殿ではけが人の治療が行われた。


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