お見舞い
三十三、お見舞い
とりあえず、前の日から泊まっている宿屋にレオを連れて行った。
三人で泊まっている部屋にレオを通した。
レオの話によると大戦前、彼は貴族だったという。
特に激戦区近くに住んでおり戦いに巻き込まれ、家、土地、財産を失ったそうだ。
それでもその後、妻と製材所で働いていたが、妻が一人で家にいるときに強盗に襲われ大けがを負い、多額の治療費が必要だという。
ダークキャンドルの会には報酬がいいから入会したらしかった。
伯爵家であるシアンに傭兵として雇ってほしいと突撃したが、断られたという。
そりゃ、自分を誘拐した相手を雇いたくないよな、なりふり構えないほどお金に困っているもんなと心の中でマニは思った。
「あの、領地をもらったと言っても、僕の領地は小さいしそんなにお給金を出せるとは思えないです」
「そうだよな。シアンに紹介されたものの無理なものは無理か」
レオは残念そうにうつむいた。
「それでは、うちで働きませんか?」
「神殿でか?」
「そうです。今、参拝者が増え、料亭やお茶屋経営、見世物場所代等々収入が増えたので月にこれくらい払えると思います」
キャスは紙にペンで数字を書き込んでレオに見せる。
「ありがたい。ありがとうございます。助かります」
レオはダークキャンドルの会の幹部として顔が知れているので、建設や森の伐採などの管理を任されることになった。
合間に町の復興も手伝い、人々の信頼を少しずつ取り戻すことに決めた。
「時々、貴族のしきたりについてマニ君たちにアドバイスしてあげてください」
「司祭様は神殿の代表者なんすよね。一貴族に肩入れして大丈夫なんすか?」
「表立っては援助できませんが、こっそりなら大丈夫です。私は彼の師匠ですからね」
その後、レオが妻のお見舞いに皆でついていくことにした。
レオは新しい就職先が決まったと伝えて、妻を安心させたいと願い出たからだ。
彼女が入院している病院は帝都にある大きな病院だった。
レオの妻が入院している病室に入る。
寝ていた妻の上半身をレオが支えて起こす。
「今日は新しい就職先の上司の方がお見舞いに来てくれたぞ」
「わざわざ、ありがとうございます。レオの妻のアンと申します。夫をよろしくお願いします」
「キャスタノプシスと申します。こちらこそよろしくお願いします」
二人が挨拶する中、ココアがマニにすごい美人だねと囁いた。
レオの説明によると妻は怪我の後遺症で足が動かないらしい。
「師匠、回復魔法で治せないんですか?」
「まだまだ我々も回復魔法の研究中ですからね。申し訳ありませんが、今は難しいと思います」
「帝都でもヒーラーの数はまだまだ少ないですから、気にされないでください」
南の地方で発祥した回復魔法は難しくまだまだ広まっていないらしい。
面会時間が終わり、レオは医者の説明を聞きに行くと言ったので、マニたちはソファに座って待つことにした。
そこに通りかかった看護師がマニたちに声をかけた。
「レオさんの親戚の方ですか?説明に時間がかかるので待っている間、食堂で何か軽く食べていきませんか?職員以外も使えますよ」
「ありがとうございます」
マニが看護師さんにお礼を言った。
「奥様、しっかりしたお子さんですね」
看護師が立ち去った後、キャスがつぶやいた。
「よく性別を間違われるのですよ。私は男性にしては小柄ですから……」




