決着
二十七、決着
マニは天井を突き破るたびに視界がブラックアウトし、頭部を痛んだ。
「う~」
空へ飛び出したが、咥えた杖をウルピーはまだ離していなかった。
天井の壁に当たる時にバリアをはり、衝撃を和らげようとしているようだった。
しかし完全には防げなかったようで、頭から血を流している。
足元にココアたちや逃げ出した人たちが見上げている。
城から伸びた黒く細長い文字列が逃げて来た人の足元に到達し、円を描いた。
「動けない」
「助けてー」
マニは生贄の魔法を止めるために水晶をかみ砕こうとしたが、硬くて無理だった。
「無能なお前たちを有効活用してやるのだから、感謝しろい」
このままではたくさんの人が犠牲になってしまう……
首をひねった後、反動をつけて杖を握ったウルピーごと上空に放り投げた。
そして、一気に炎を噴射した。
反動で城の屋根に叩きつけられる。
「ぐっ」
一瞬、水晶が光ったと思ったが、痛みに耐えながら空を見上げると灰が降っているだけだった。
「やったー」
「魔法陣が消えたぞ」
生贄の魔法は発動前に消えたようだった。
城の石壁がはがれだし崩れ始めた。
「司祭様が危ないわ!」
ベリータが中へ駈け込もうとすると、門からシアンがキャスタノプシスに肩を貸しながら出てきた。
「ウルピーが投げた毒にやられた。俺は少し気分悪いくらいだが、こいつがやばい」
「どんな毒だったの?」
「赤い液体だった」
ベリータはポーチから瓶を出し、栓を抜いた。
「解毒薬ですわ」
「……ありがとう」
まだ意識はあるようでキャスタノプシスは解毒薬を飲んだ。
あの毒を液体のまま高濃度でかけられたら即死もおかしくはない。
(様々な修行をされてる司祭様はともかく、あの子は体調が悪いで済むなんて…きっと司祭様が庇われたのね。勇敢な方……)
「ベリータさん、マニを運ぶの手伝ってほしい」
ココアに声をかけられ、ベリータは我に返った。
「そうね、城が崩れたら彼の命が危ないわ。……でも貴女も怪我をしているじゃない」
「おい。妹、すごい血まみれじゃないか」
シアンが血しぶきのついた服を来たココアに驚いていた。
「私はもう大丈夫。に、兄さんを助けたいです。」
「残念だけど、私の杖は折れてしまっていて……」
「ベリータさん、私の杖を使ってください」
キャスタノプシスがふらつきながら、杖を渡してくれた。
「ありがとうございます。司祭様、私頑張ります!」
「このひもも使えよな」
シアンが縛られていたひもを投げてくれた。
「とっさに拾っといて良かったぜ」
二人は杖に腰かけ、城の屋上に向かった。
杖にマニをひもで固定して何とか崩れ落ちる城から救出した。




