竜
二十六、竜
なんとか生贄の魔術を止めようと再度、爪の剣をウルピーにぶつけるがバリアで弾かれてしまう。
シアンが剣を振り上げて切りかかるも結果は同じだった。
「やめなさい!こんな強力な魔法を屋内で使えば貴方も危険ですよ」
「お前らの言うことにだまされんぞ。バラバラに吹き飛ばしてやる」
師匠が説得を試みるも頭に血ののぼったウルピーは聞く耳を持たなかった。
ウルピーはバリアで攻撃を弾きながら、ジリジリと広間の端に移動するとカーテンの陰にあったひもを思い切り引いた。
するとシャンデリアが落下してきた。
ガシャンと音を立ててシャンデリアが落下の衝撃で壊れる。
下にいたマニは急いでよけようとしたが、間に合わず、右手と右足が折れてしまったようだ。
痛みがひどく、腫れて動かなかった。
「うっ……」
「マニ君!」
師匠とシアンがマニを庇うように前方に出るが、ウルピーが懐から出し投げた瓶の中の液体をかけられてしまう。
「しまった」
「毒か……」
二人はその場へ倒れこんだ。
「うへへっへざまあみろい!!」
ウルピーは笑っていた。
その間にも魔法陣は広がっていた。
マニは痛みに耐えながらウルピーの方を見ると、杖の先についている水晶が青く発光しているのが目に入った。
(あれを壊せば生贄の魔術を止められるかもしれない)
マニはすべての力を振り絞ってウルピーに向かっていった。
変身に割いていた力も攻撃に回したので本来の姿に戻っていた。
「お前……竜か!?剥製にしたら高く売れそうだな」
(本当に酷い人だな)
勢いをつけて体当たりした後、力に任せてバリアをやぶり、そのまま杖の水晶にかぶりついた。
「こら!離せい!!」
ウルピーは腕を振って激しく抵抗するがマニは構わなかった。
そのまま翼を大きくはためかせ、天井を3回突き破り、上空へと飛び出した。
ココアは治療を済ませ、草原に座って待機していた。
ベリータは隣に座り、フリルのついた日傘の中に一緒に入れてくれている。
急に城の中からたくさんの人たちが走って逃げて来た。
「あの人たちは誰?」
「ウルピーが脅して殺人機械を作らせていた近隣住民よ」
その中で白衣の少年がこっちに向かって走ってくる。
「ベリータ様~!みんな生贄の魔術の標的にされているので~助けてくださ~い」
「できる訳ないでしょ!そんな禁忌の魔法の扱いなんてしらないわよ!」
「そんな~」
その時、大きな音がして城の天井を突き破り、一匹の竜と老人が空へ舞い上がった。
「竜だ」
「まだいたんだ」
逃げて来た人々が一斉に見上げる。
ココアは息をのみながら空を仰ぎ見た。




