合流
二十一、合流
古城の二階の窓から双眼鏡でマニたちの様子を見ている刈り上げの男がいた。
くたくたになった古い服を着ていた。
ベリータが武器である杖を破壊され、扇子を奪われ逃亡した上に二人の追跡者は無事なようだ。
「子ども相手にやりづらいな。帰ってくれないかな」
ため息をつきながら、赤と黒のアンティーク調のダイニングチェアにこしかけた。
足元には縛った人質の少年が転がっている。
上司の手前、あの二人を放っておくわけにもいかない。
「まあ、仕事だからな」
男は椅子から立ち上がり、部屋を出た。
縛られていたシアンが死を覚悟していた。
身代金なんか実家に要求しても、払うわけがないのだ。
それがわかればその時点で用済みとなり、消されるだろう。
貴族の息子と言っても、父は先の戦いで行方不明であり、母は体調を崩し亡くなっている。
今は叔父とその子が領地をしきっていて、自分はいなくなってしまえば都合がいいことくらいわかる。
今まで好き勝手に家出しようが何も言われなかったし、今回のダークキャンドル殲滅作戦だって、ついて来たのは昔から慕ってくれた二人の臣下しかついて来なかった。
もうどうでも良くなっていた。
(でも、あの弱そうなマニに負けたのままだったのは腹たつな…)
シアンは自暴自棄になりながらもイライラしてきた。
城の前ではマニとココアが話し合っていた。
「いったん帰ろうよー。二人じゃ無理だって」
「……うん」
ココアは蛇の幻覚がこたえたのかいつになく弱気だった。
そこへ杖に両足を立てて乗った祭服を来た青年が飛んできた。
「師匠!」
そして宙に浮いた杖にはベリータが縄でくくりつけられていた。
「このおばさんにさっき僕たち襲われたんです!」
「そうでしたか。怪しかったので捕まえてみました」
あの消えたベリータを捕まえるとはさすが師匠である。
「もう、だめ。死ぬ……」
ベリータはぐったりしていた。
師匠は地面へと着陸する。
「急いで風をサーフィンしてきたので、この人酔ったみたいですね。それより二人とも大変です。このままだとシアン君は殺されてしまいます。」
「え?」
師匠の話によるとシアンの二人の従者は一応、屋敷に伝書鳩を飛ばしたものの、彼の後ろ盾のなさから見捨てられる可能性が高いのだという。
二人の従者は何でもするので、シアンを助けてほしいと言っているそうだ。
「そんな……」
あのわがままなシアンも色々あるんだな。
「ところで、師匠が森を離れて大丈夫なんですか?」
「サンサさんはだいぶ回復してきたし、避難してきた人たちも、二人の従者も巡回に協力すると言っていたから大丈夫ですよ」
みんな頑張っているんだなとマニは思った。
「それでは二人ともシアン君を助けに行きましょう。」
「はい!」
ココアも黙ってうなずいた。




