ラスボス集団・カノッサの実力
爺さん兼ファンタジーの神兼龍神様は役目を終え姿を消す。
三つ目の願いはハイの活躍によって阻止された。
これでいい。きっとこれでよかったんだと思う。
でも怒りが湧いてくるのはなぜだろう?
「おいハイ…… 」
白い目で見られるハイ。
いくらくだらない願いだとしてもギャルのパンティーはない。
大体ギャルのパンティーって何だよ? しかも一年分。もう訳が分からない。
僕や父さんはただ怒ってるだけだけどアンはショックで立ち上がれないよう。
「ははは! 面白い奴だなハイは。これはカズ以上の変態が現れたな! 」
満足そうに笑うテルファー。まさかこれでいいのか?
「なあハイよ。お前を見損なったぞ。もう厨房には通わせない! 」
本気とも嘘とも取れる。そこまで言わなくても結果的に救ったんだからさ。
そもそも厨房と言うかカズ君のアトリエを取り上げられたから……
そうだ。三つ目の願いはアトリエにすればよかったんだ。
でもあの時はそんなこと思いつきもしなかった。
とにかくどうであれハイには思いっきり反省してもらわないとな。
「違うって! 俺が頼んだのはギャルルさんのパンだ。腹一杯食いたくてよ」
下手な言い訳をしてるようだが確かにハイはそう言っていた。
なのに龍神様は何を勘違いしたかギャルのパンティーを一年分与えてしまう。
明日から有効だと。どうなる? まさか家に送られて来ないよな?
それはそれで地獄だぞ。どうやらハイの運命は明日決まることになるだろう。
「カズ助けてくれよ! 」
「ハイ…… 」
「うるせい! この変態が! 」
父さんは厳しい。きっと自分でないのが許せないのだろう。
「いいじゃねえか! 」
テルファーは本気で面白がってる。こう言うのが大好きなんだろうな。
そう言えば初めてのお風呂の時からこんな感じだった。
楽しければそれでいい。たとえ自分が犠牲になろうと面白ければいいのだろう。
そんなテルファーと恋人関係にまでなった僕の将来はどうなるんだろう?
どこまでも求められ巻き込まれそうで怖い。
「あああ…… 」
アンはもうショックで言葉にならないらしい。真面目だな。
ゾークは静かに妄想してる。大丈夫かな?
「まあいいじゃない。目的も果たせたしハイの件は爺さんのただの勘違いさ。
もしかしたらギャルルさんのパン2を一年分に変更されるかもしれないよ」
どうにかハイがこれ以上責められないようにフォローする。これも友情さ。
「カズが言うなら…… 」
「よし行こうか皆」
こうして何事もなかったかのように戻ろうとする。
だがさすがに大人しく逃がしてくれるはずがない。
「おい! いい度胸してるなお前ら。タダで返すと思うのか? ああん? 」
ダメだ。かなりお怒りになっている。夢破れた悪党たちが団結。
そう言えば町長はどうした? 裏切りに裏切った元世界王。三分ぐらいだったか?
一度は龍神様の願いで世界征服の夢を叶えたが僕の機転でキャンセル。
三つ目の願いを適当にハイに言わせ彼らの野望を阻止した。
もう実力でしかこの世界を手に入れられない。だがそれが可能なら苦労しない。
すると僕たちが完全に阻止したことになる。
「お前ら絶対に許さない! 」
怒り狂うラスボス集団。
逃げたいけど退路を塞がれる。
「ふふふ…… いい加減正体を現したらどうなんだお前たち? 」
父さんが何か知っているみたい。もしかして昔騒がせた奴らなのか?
初めから知っていたような感じだったからな。
「ほう。お前は俺たちのことをよく知っているようだな。ああん! 」
人間とは思えない鋭い目つきと耳を破壊しかねない大きな叫び声。
それだけでも恐怖する。ゾークなど吐く寸前。
でも僕は勇者だしこれまでの旅の経験もある。頼りになる父さんだっているんだ。
「生き残りだろう? 」
「おお…… よく見ればお前も竜人じゃないか。
そうか。お仲間か。しかし我らの邪魔をするとはどう言うつもりだ? 」
何と彼らも竜人だと。だから父さんは一瞬で察知できたのか。
しかしこいつらが竜人だとして生き残りってどう言う意味だろう?
「うるせい! お前たちは乱暴なんだよ。すぐに切れ話し合いもせずに手を出す」
「まさかジャックが言っていた…… 」
「そうだテルファー。こいつらはジャックのお友だちさ。
竜人による竜人の為の世界を築こうと独立したが危険視した人間に追いやられた。
常に暴力的で考えることをしない竜人はただの下等生物だと認識されてしまった。
俺たちは人間世界で大人しくひっそり暮らして来た。
だがお前たちは全国各地で暴れ回った。そして国王に反旗を翻そうとしている」
父さんの説明によれば迫害を受けた竜人集団・カノッサが動き出したと。
「カノッサって言えば…… 町長さんもその一員だったと本人から」
アンに昔話をした際にポロっと出たらしい。
「くくく…… こいつら粗暴なのさ。押さえつけておかないとどうにもならない」
町長がもう充分だと話し始める。
どうやらまだ喋れるだけの体力は残ってるらしい。
仲間から散々ボコボコにされて痛めつけられたと言うのに。意外とタフなのかも。
「町長! 僕たちはあなたを信じてたのに」
「そうですよ町長! もう信じられない! 」
僕に続いてアンまでもが感情的になる。これでは誰も止める者がいなくなる。
ゾークぐらいだけどどうも限界のようで様子がおかしいので無理。
「我々は竜人集団・カノッサだ。君たちを騙し巻物を集めさせたことは謝る。
しかしこれもあの時のディナー料金に含まれてるんだが」
町長は結局どっち着かず。
「よしお前ら。邪魔者は始末しちまえ! 」
「おう! 」
カノッサが束で向かって来る。
「父さんどうしよう? 」
ここは一番詳しく戦い方も分かっている父さん頼り。
「いや…… どうであれ竜人。仲間を攻撃できない」
父さんはどうやらまだ決心がつかないらしい。
世界征服を企むような悪い奴らなんだからそんなこと言わないでさ。
「あああ…… 」
常に好戦的なテルファーが怯えだした。いつもの元気と度胸はどこに?
「どうしたんだよテルファー? 皆で戦えば怖くないさ」
「バカ言うな! 奴らを本気にさせない方がいい」
どうやらテルファーもジャックから聞かされてるらしい。
でもだから何だと言うんだ? 恐怖することないじゃないか。
テルファーがこうだとハイも釣られてしまう。
ゾークは元からそんなもの。僕は一人で孤独に戦うしかないのか?
「なあ逃げる算段でもしてるのかい坊やたち」
「ははは! そうに違いない! 逃がしてやるか? 」
「嫌だね! カノッサの屈辱を思い知らせてやる! 」
そんな風に敵はやる気満々。
五人の竜人がゆっくり近づく。
圧に耐えかね一歩また一歩と後退する。
「父さん命令してくれ! 」
「それはリーダーの責任だろう? 」
僕に任せると無責任なことを言い出した。こんな時の名ばかりのリーダー。
「ダメだ。カズ。これ以上怒らせてはやられてしまう」
テルファーも諦めの状況。これではどうすることもできない。
だが今こそレベルアップしたところを見せてやる。
そうすればきっとこいつらも恐れをなして逃げるか謝るかのどちらかだろう。
「喰らえ! 即龍剣! 」
どんなものでも切り刻むと噂の即龍剣。王子を助けたお礼に持っててくれと。
元々は王子の護衛が手にしていたもの。しかしあっけなく捕まり敵の手に。
しかしあの茂みで慌てたこいつらの仲間が落として行った。
それを手にレベルアップしたところを見せつけてやる。
手応えあり!
しかしカノッサの五人は傷を負うがなぜか余裕の表情。
これはどう言うことだ? 大怪我のはずだろう? 痛くないのか?
どうやらカノッサの実力は相当なもの。
レベルアップした僕でもどうにもならない相手みたい。
続く




