爆発龍の脅威
今度の相手は竜人集団カノッサ。
町長の仲間のイメージだったけどどうやら町長は一番格下の扱い。
裏切って世界王になろうとしたぐらいだからチームワークはよくないさ。
隙を突けばどうにか。でも父さんは同じ竜人とは戦いたくないと消極的。
ここまで来てそれはない。皆の力を合わせないと絶対に勝てないのに。
果敢に全力勝負に挑んだがあまりに反応が薄い。まるで効いてないよう。
「うーん。効いたぜ。しかし肩こりにはもう少し強く頼むよ坊や」
完全に舐めてる。それだけでなく挑発もしてる。
これはとんでもない実力差があるな。認めたくないけど奴らは最強で最低さ。
「そうそう。大体これは俺たちが作った剣だから当然効かない。残念でした」
水の属性は竜人には効果がないようだ。
しかしこれ以上の武器は持ってない。出直そうにも帰してくれないだろうし。
ここはこの世界の王を召喚するか? と言ってもそこで眠ってる町長だけど。
「父さんどうしよう…… 」
「仕方ない。ではタンサン毒水をお見舞いしてやれ! 」
そう言うとありったけのタンサン毒水を手に全員で投げる。
「うわやめろ! 」
「スロー! 」
ゾークは抜け目がない。どうやら最終決戦はあっけなく幕が下りそう。
それでいい。僕たちは戦いに来たんじゃない。アトリエ探しだ。
でもそれも難しいがまあいいさ。どうにかなるよきっと。
町長は意識を失っていたのでタンサン毒水の被害を受けずに済んだ。
ただ瀕死の状態だからこれ以上はダメ。どちらかと言うと助けてあげないと。
「この野郎! 」
五人組もタダではやられる気はないらしい。
おかしな動きを繰り返す。まさか……
「まずいぞ。奴ら何かする気だぞ。だから本気にさせるなって…… 」
テルファーはジャックからいろいろ聞かされてるらしく恐れている。
だからこそいち早く異変に気づいた。しかしもう止められそうにない。
「カズ君…… 」
「ゾーク。スローをもっと」
「無理だよ。これ以上やっても変わらない。逆に慣れる危険性さえある」
どうやらゾークのスローはほぼ効果がないのだろう。
「だったらハイ。突っ込んでくれ! 」
おかしな行動を取る前に潰しに掛かろうとするがハイが怖気づく。
「まずいって! あれじゃ近づけない」
どうやら合体しようとしてるみたいだ。
「テルファー! 」
「無理だな。武器もないのにムチじゃただのプレーだ」
おかしなことを言う弱気なテルファーではもう当てにならない。
だったらここはアンに。
「ごめんなさい。もう震えて動けない」
泣き出す始末。まあ戦闘慣れしてないアンでは難しいか。
初めからそこまで期待してない。ただ奇跡が起きたらなと思ってるだけ。
だったらやっぱりここは父さんにすべてお任せ。
「悪い…… タンサン毒水のせいでよく見えない」
まるで下手な言い訳だけどいつも無茶苦茶な父さんが逃げるはずがない。
勝てないと分かっていても突っ込んでいくタイプ。そして必ず失敗する。
それが父さんだ。だがら正直に話してることになる。
仕方ない。ここはやっぱり主役の登場でしょう。
「こっちだ! 」
僕が惹きつけてる間に皆を安全なところに。
だがどうやら奴らはそんな次元にいない。
何かしようとしている。今ここで必殺技でも披露する気なのだろう。
「くくく…… まさか我らに逆らうとは愚かな。
お前たちも竜人。痛みが分かると思ったが違ったようだな。
この裏切り者の竜人もどきが! 人間に飼いならされたお前らには鉄槌を下す!」
そう言うと合体。五体の竜人が一体の龍となった。
「おいおいこれは爆発龍じゃねえか! まさかこいつら正気か?
しかし俺たちだって六人いるが竜人は俺たちだけ…… 」
爆発龍は竜人が五人いてようやく完成するものだそう。
こっちは六人いるが父さんの言う通り竜人は僕ら二人だけ。
だったらどうすればいい? そもそも僕たちが爆発龍になったところで敵うのか?
まずは大人しく跪く? でもそれで許してくれそうにないしな。
こうなったら最後の手段を使うしかない。
「神様! ファンタジーの神様! 登場願います! 」
ついに神と言うか爺頼み。情けないがこれも……
しかし何度頼もうと願おうと出て来ない。
これは電池切れ? 昨日ぐらいから相当疲れていたからな。
今は温泉に浸かって疲れでも取ってる頃だろうさ 本当に呑気なんだから。
もう龍神様の役目も果たしたから今日は現れないかも。
「お願いします神様! 」
堪らずにハイもゾークも跪く。それでも気配を感じない。
あの爺さんここまでして何も反応しないとは何を考えてるんだ?
「仕方ねえな! 」
父さんもテルファーも倣う。
「うごおおお! 」
もはや感情などないモンスターと化した五人組。
爆発龍は火を吐くと辺り一帯は燃え上がる。
この火力は脅威。まともに喰らえば一瞬で黒焦げだろう。
だが考えて使ってる感じも少しだけある。
どうやらまだ竜人の心がほんの少しだけ残ってるのだろう。
今の内にどうにかしないと手に負えなくなるぞ。
「どうして突っ立ってるアン? 」
全員が爺さんに頼って跪いてるかと思えばアンが抵抗していた。
「だってあのお爺さん嫌いだから」
どうやらアンにもプライドがあるらしい。
あんな覗きをする最低な爺さんを呼ぶのは反対だと。
ここに来てのアンの真面目で強情なところが裏目に出てしまう。
でももうそれしかないんだぞ。
「爺さんはダメだ! おいドラコ! ドラコ! 」
王子を超特急で帰し今手が空いてる頃合い。
だからすぐに戻って来いと無茶な頼みをする。
だが当然反応はない。これはもう無理そうだな。
「アン! 」
「もう分かりました。お願いします神様! 」
こうして全員で爺さんを降臨させようとするがまったくの音沙汰なし。
「クソ! カズどうにかしろ! 」
父さんが無茶を言う。しかしこれ以上どうしろと? 疲れてるんだろう?
「だったら龍神様は? 」
「よしそれだ! 皆で呼び掛けるぞ! 」
父さんも乗り気。これで出てこなければ諦めもつく。
「どうぞ降臨ください龍神様! 」
六人全員で合わせると辺りが光り出した。
「フォフォオフォ…… 呼んだか愚か者共よ? 」
こうして口の悪い爺さんが降臨した。
これですべてうまく行くはず。だがそれでも本当にうまく行くかは爺さん次第。
あまりやる気を感じられないんだよね。
「龍神様どうぞこの化け物を退治願います! 」
「うむ。やってみよう」
こうしてついに最終決戦が始まる。
人と言うか爺さん任せでいいのかな?
爆発龍対龍神様。世紀の決戦がついに始まる。
続く




