最終章突入! 魅惑の町ベネット
最後の夜。
姿を消したと思ったらすぐにドラコが舞い戻って来た。
「ごめんなさい。ついでだからベネットに行こうと思うの。どっち? 」
アバウトなドラゴは翼を広げたままで方向を言えと。
仕方なく船の進む方だと教えてやるとすぐに飛び立った。
これはまさかのベネットで再会もあるかも。
こうしてどうにかドラコトラブルは回避された。
だが二度も邪魔が入るとさすがにやる気がなくなってしまう。
「おいカズ」
「悪いテルファー。でもこれは仕方ないこと」
「分かったよ。よし今日はこれまでにしようぜ。また明日だな」
悪かったかな…… テルファーもその気がないと醒めてしまった。
だからって僕たちに明日があるとは思えない。
今日が最後の夜なのだから。
ドンドン
ドンドン
爺さんにドラコと来て今度は父さんだ。
どうやら今日はとことんついてないらしい。タイミングも最悪だ。
よし切り替えるか。
「もう父さんどうしたのこんな時間に? 」
僕たちが一緒にいることを気にしてる様子はない。
どうやら父さんも爺さんもテルファーを対象と見てないようだ。
でもテルファーに言えるはずがない。
「緊急事態だ! 全員集合しろ! 」
夜遅くに招集命令。どうやら何か起きたらしい。
父さんの話によればアンと楽しく港町を歩いてると町長を見かけたと。
何と町長はおかしな奴と話をしていたらしい。
どうも奴らはこの世界を変えようとしてるのだとか。
資金集めのためにいろいろ探してきたがついにとんでもないものを発見した。
それが竜神様。町長を引き入れ巻物探しをさせたのも龍神様を呼び出すため。
「それなら町長が言ってたよ。竜神様を呼び出し化け物を呼ばないように願うと。
化け物は龍神様の怒りに触れた。だから巻物を集め龍神谷にいる龍神様呼ぶって」
町長が初めに言った言葉に偽りがないなら僕たちには関係ないよ」
そうだぞとテルファーが支持する。ゾークもハイも同様。
「違うのカズ君! 願いを叶えて世界征服する気らしいの」
「はあ? ファンタジーじゃあるまいしそんなことあるかよ! 」
「ファンタジーじゃ! 」
ハイの感想に爺さんが被せてそのまま姿を消す。どうやら本当に忙しいらしい。
だったらその程度の訂正に来ないでくれよな。
「ファンタジーだから簡単に願いが叶うって訳だ。
奴らはその龍神谷を見つけてるところ。急がないと手遅れになるぞ! 」
どうやら父さんは本気らしい。すると奴らの先を越して願いを叶える?
面白そうだがそんな事が可能なのか? そもそも巻物はすべて揃っている。
「それでどうする気だよ? まさか逃がしたのか? 」
「うるせいテルファー! 大丈夫だ。奴らも明日一番の船でベネットに向かう。
後を付けて何とかするしかない」
「では皆さん。明日一番の船に乗りますよ。では支度お願いします」
アンが締める。
こうして僕たちは予定通り朝一番の船でベネットへ向かうことに。
ドンドン
ドンドン
爺さんが今夜も頼むとおかしな要求するが無視することに。
これではその辺の酔っ払いの方がまだマシ。
明日早いんだからさ。でも眠れないんだよね。
「そうだカズ君。僕も情報収集してたんだけどあることが分かったんだ」
ハイと父さんが気持ちよさそうにいびきを掻いている。
寝れないゾークと僕でつまらない話をして眠気を復活させようとするが……
「おいそれって本当か? ゾークは信じてるけど…… 騙されやすいからさ」
「これは確実な話なんだ。だって関係者から聞いたんだから。
どうしようって話してたのを聞いんだ。恐らくこれも奴らの仕業じゃないかな。
場所もタイミングもよすぎる。きっと間違いないよ」
きっとと言っておきながら間違いないと言う。本来ならどっちだよって話。
でもゾークは相当な自信があるんだろうな。
しかしどうするかな? 町長の件で手一杯なのにそっちまで気にしてられない。
もう僕たちには関係ないさ。今更助けてやる義理もない。
でもうまく行けばもしかしたら……
すると明日は最終決戦になるのかもしれないな。
とにかく寝るとしするか。
こうして運命の日を迎える。
最終章。
船はオシャレと呼ぶにはシンプルな上に錆びついていて思っていたのとは違う。
大型客船は高過ぎると父さんは最後まで反対したが他に手はない。
ドラコの翼があると無茶を言う父さん。それでは全員は運べない。
二人が限界。前回もそれで苦労した。二人ならいいが六人ではさすがに可哀想。
町長から金が入っただろうとテルファーに言われ仕方なく折れる。
ここに来て金が惜しい父さんの気持ちも分かる。
ベネットのアトリエではいくらかかることか。でも船の料金をケチってどうする?
それならクエストを追加するか金になるアイテムを見つければいい。
「なあゾークは無理させない方がいいだろう? せめて五人で! 」
らしくなく父さんはまともに。ゾーク一人分でも浮かせようとする。
確かに心配ならゾークだけでもドラコに頼むのも悪くないか。
「いいから…… 六人で行くの! 」
テルファーに押し切られる。
話し合いを終えようやく乗船。
「大人三人に子供三人ね」
「済みませんお客さん。ここは子供料金ありませんよ」
「うるせい! 負けろってんだ! 」
情けない交渉を続ける。
「ドラゴンカード使う? 」
「おいこら! カズ返せ! 」
「うん気持ちいい」
海風が吹いて来る。強いので気持ちいいと言うより痛いかな。
「テルファー見てあれ! 」
「おい近付き過ぎると落ちるぞアン」
「ほら楽しもうテルファー! 」
いつになく元気なアン。船ではしゃいでいる。レアなアンの姿。
「うるせいな。おお…… これは凄え! 」
テルファーとアンが騒ぐが僕としては怖いんだよね。
いつ揺れて海に転落するか。いくらファンタジーでも怖いものは怖い。
出航して一時間近くが経ち最終目的地のベネットに到着。
「よし行くぞ! お前たち迷うなよ」
ついに最終目的地のベネットに着き大はしゃぎ。
ただ僕は恐怖から体調が思わしくないしゾークは案の定気持ち悪くなった。
せっかくなのに何て運が悪いんだろう。
「ははは…… 二人とも置いて行くぞ! 」
テルファーが手を貸さずに前を走って行く。
「大丈夫? 」
アンが支える。
「ははは! これはすげえ! 」
ハイも興奮して止まらない。
「いいかお前たち目立つなよ? ここには町長の仲間が潜んでるからな。
それと町長に見つからないように慎重に頼む」
意外にもきちんと指示を送る父さん。
でも目の前を行く町長に気づかれたらすべて水の泡。
アンの案内でベネットの町を案内してもらう。
「ここから船に乗れるよ」
アンがボート乗り場を教えてくれた。
何でもアンはお友だちとよく乗るそう。
「僕はいいや。ハイと行ってきてあげて」
こうしてアンとハイはボートで水の都・ベネットを水上散策。
僕って何ていい奴なんだ? ハイもきっと大喜びさ。
続く




