コンプラ様
二人は抱き合った。
ついに覚醒するか?
レベルアップ!
カズたちは一気にレベルが10となった。
カズの背中に薄く現れていた羽が輝き始めた。
テルファーの色気がアップした。
「へへへ…… どうだ気持ちいだろうカズ? 」
「うん。でもどうしても慣れなくて…… 凄く悪いことをしてる気がするんだ」
つい不安からおかしなことを言ってしまう。
やっぱり仲間を追い払って密会したのが頭のどこかにあるんだろうな。
「いいんだよ! 今は何も気にするな。さあもっと楽しむぞ! 」
テルファーはそうは言うけれどもうこれくらいで充分な気もする。
それにまだ愛の告白もできてない。いやする気もないが。
でもこれってクズ人間のすることじゃないのか? 勇者としてどうなんだ?
おお神よ! どうぞこの哀れな子羊を導きください!
つい心の中にいるであろう神に頼ってしまう。
するとほら迷惑な自称神の爺さんが現れて……
あれ……出現しないな。今現れたら困るんだけどね。
「ははは! どうしたんだよカズ? 楽しくないのか? 」
いつもと変わらないテルファー。優しくリードしてくれる。
それでも僕はまだ積極的になれずにいる。
さっきまではとんでもなくワクワクしていたのにいざとなるとダメみたい。
「悪い…… よく分からないんだ」
「初めのうちはそんなものさ。慣れればどうってことない」
テルファーはまるで経験があるような言い方。僕って遊ばれてない?
それは前からずっとそうだった気がする。
「何だかアンにも悪いなって…… 」
「それは問題ない! お前の考え過ぎだ。アンはそんな風に見てない。
たぶんもっと大人が好きなんじゃないか」
テルファーはさも知ったような口ぶりだがアンの何を知ってるんだ?
適当でいい加減なら許さない。
「でも…… 関係をはっきりさせておきたくて」
「面倒くさいなカズは。よしだったらここで告白しろ! それでいいだろう? 」
テルファーはいい加減で雰囲気も何もない。
それでも従う僕って流されやすい? ただの情けない奴。
「ほらもうベッドに行こうぜ! 」
大胆発言。もうこれ以上ないほどの興奮状態。それはテルファーもきっとそう。
ベッドに潜り込むとテルファーが急かす。
「僕は…… 」
ダメだ。肝心なところになると緊張して言葉が出ない。
ああどうか神様この哀れな子羊をお助け下さい!
「うむ。心の声は届いた。さあカズよ。ファンタジーの神がお前を導いてやろう」
ついにただの覗き爺さんことファンタジーの神が降臨。
まずい。こんなことは神は許してくれないだろう。
「こら爺! 邪魔するなよな! あっちに行けっての! また覗く気か? 」
テルファーは容赦ない。日頃の行いが悪いので仕方ないか。
「神様! これはとんでもないことを…… 反省しております」
「ははは…… カズ何言ってるんだ? こいつはただの爺さんさ」
「黙らんか! ファンタジーの神が来たからには悪行を見逃す訳には行かん! 」
「おいおい爺が狂ってるぜ。どこが悪行だよ? ただのスキンシップだろう? 」
テルファーの反論が通用するはずがない。僕だってこんな格好だもんな。
ここは下手に言い訳せずにただ反省の弁を述べよう。
それが正しいファンタジーの世界に生きる者の務めだろう。
村人だろうと勇者であろうとそれは変わらない。
「よく見せてみよ」
そう言って剥ぐとテルファーの下着姿に興奮し鼻血が止まらない神様。
ダメだこれは。たとえどんなに素晴らしい言葉でも一瞬で価値を失う。
やっぱりただの爺さんだったのかも。しかもどうしようもない変態。
信じた僕がバカだった。所詮爺さんは爺さん。
「変態爺がよく見な! 」
ダメだ。テルファーは止まらない。大胆と言うか何も考えてない。
元からだけどこれから先苦労するぞ。
「うむ。まあよかろう。楽しむがいい」
何と神は許した。どう言うことだ? 一体神の中で何が起きた?
嘘だろう? 信じられない。
「しかし神様! これはファンタジー的にはまずいのでは? 」
「うむ。そう言えなくもないがギリギリセーフだ。
大事なところが見えなければいい。それは他のファンタジー作品でも同様。
すべてを統括する神ことコンプラ様もきっとお許しになられるだろう」
コンプラ様とは初めて聞く。まさかもっと上の神様がいると言うのか?
そう言えば爺さんは元からこうだった。
だがテルファーがあまりに大胆だからアウトになった。
ただそれだけだったのか? すると僕は神様を勘違いしてたのかもしれない。
「おかしな話やってても見えなければいい。それが線引きだ。
コンプラ様が許せばこのファンタジーの神がしゃしゃり出ることもあるまい。
では仲良く楽しむがよい。ただこの時間も有限ではないことは充分理解せよ」
そう言うと肝心のファンタジーの神が退場。これで二人っきりなった。
しかし本当にこれでいいのか? 疑問の残る展開。
「ほらあの爺さんのお墨付きも貰ったんだし早くおっぱじめるぞ! 」
どうも下品で雑なんだよな。これでいいとは思うけどどうも納得が行かない。
でもやる方がそんなおかしなことにこだわってどうする?
テルファーの言う通りだ。ここでグダグダ言ってる時じゃない。
さあ再開しようじゃないか。テルファーも強く望んでいる。
今更怖気づいてられるか。
「もう分かったよテルファー。ではもう一度」
こうして二人は結ばれましたとさ。お終い……
ドンドン
ドンドン
どこからともなく音がする。これはまずい予感。
だが誰も帰って来るはずない。まさかあの爺さんがトイレを借りに戻って来たか?
しかしだからって今はとても大事な時だから無理。
「いいからもっと楽しもうぜ」
「でもテルファー。僕やり方がよく分からないんだ」
ファンタジーの神の指導とコンプラ様の教えのギリギリのラインを守り愛し合う。
でもそのやり方がよく分からないんだ。きちんと勉強しておくべきだった。
ただの想像の世界だから。
「ほらキスしてみろ」
「でも歯磨きしてないし。虫歯だって二個もある」
「いいから早く! そんなの気にするな! 」
テルファーは雑でいい加減。やりやすいからありがたい。
ではお言葉に甘えて。
続く




