テルファーからのお仕置き
四人で楽しく昼間から温泉。
贅沢だけどこれも僕とゾークのため。
臭いを取ってあげようと言うテルファーの優しさ。
ただ臭いってなかなか取れないんだよね。
これは一日と言わずに三日はここでのんびりしたい。
でも邪魔者が現れたのでそうも言ってられない。
自称神を名乗る爺さん。どう見てもただの変態爺だよ。
アンとテルファー退場。爺さん登場でゾーコ長風呂。
臭いもだいぶ取れて来たらしいので僕も上がるとしますか。
「もうテルファーってば意地悪しないでゾーク君だって困ってるよきっと」
アンはゾーコがゾークだと認めた。
するとあの残された女の子らしき人物はゾークの変装。
確かに五分もあれば二人でどうにでもできるけど。
でもなぜそんな事をする必要がある?
「ははは…… ゾークもよく化けたもんだ。仲間騙せなくても爺は引っ掛かった」
「テルファー! 何てことを? 」
「うるせいなカズ! お前は今夜のことだけ考えてればいいんだよ! 」
どうやら何かするのは決定事項らしい。
僕がいくら断っても聞いちゃくれない。それがテルファーらしいけどさ。
「夜って…… まさか本気なのか? 」
「そうだよテルファー。カズ君が困ってるでしょう? 」
諭すアンも風呂上がりだからとても魅力的に映る。ああアンとだったらな……
おかしな妄想をしてしまう。本人目の前にすることでもないが止められない。
「ダメだです! そんなカズ君をお姉さんは許しません! 」
厳しいアンお姉さん。簡単に心を読まれたけど僕ってそんな単純だったっけ?
「まったくこいつは気だけは多いんだよな。一人じゃ足りないのかよ? 」
テルファーに言われるとつい反抗してしまいたくなる。
「いやそうじゃないけど…… 本気なの? 」
「本気だ。だからお前はずっと妄想してればいいんだ。それより騒ぎ出したぞ」
ゾークの叫び声が聞こえると爺さんの方が走って来た。
「どうしたんです爺…… ではなく神様? 」
「どうしたもこうしたもあるか馬鹿者! なぜ男が? 」
爺さんは困ってるし焦ってる。そして吐きそうだ。ゾークとお似合いだな。
ゾーコを爺の生贄に捧げた罪悪感があったがこれで少しは心が晴れる。
それにしてもあの爺さんは本当にいつもいつも問題ばかり起こして。
いい加減枯れろよな。テルファーが怒るのも復讐しようとするのも分かる。
あれは本当にやり過ぎだし言い過ぎ。別の女の子に変えろだからな。
「あそこは混浴で。皆着て入るから。そこにきちんと書いてあるでしょう」
脱衣所にもきちんと注意書きがある。
僕だって今まで気にしてなかったけどここでゆっくりしていたから目に留まる。
だから基本的に男がいても何の問題もない。
「知るか! だったらなぜあやつは裸でおるのだ?
男の裸など見てられない。女の裸を寄越せ! 」
ダメだこの爺さん。もうファンタジーの神を捨ててるよ。どうしようもないな。
「残念な爺さんだね。あははは! 」
仕返しだかお返しだか言ってテルファーが笑う。
「このクソ女! ぶち殺したろうか! 」
爺さんは余裕もなく本性が出る。哀れだがこれも自業自得か。
「もうお爺さん! きちんとゾーク君に謝って」
神をも恐れぬアンが厳しく追及する。
「ふん。それは神の領分ではないな。お前たちはただ願い敬えばいいのだ」
逃げを打つ爺さん。本当に困った人だ。謝らないなんてどこまで強情なんだよ。
「うわああ! カズ君」
ゾークが泣き出した。あまりに可哀想。テルファーも爺さんもどっちも悪い。
「ほらゾーク君大丈夫だからね」
アンが優しく抱き締めてあげる。何て素敵な光景だろう。若干羨ましいのなぜ?
いや羨んでも嫉妬してもいけない。これはゾークの得るべき報酬さ。
冷静に。僕も慰まてあげなくちゃ。どうやら臭いも取れたようだし褒めてやるか。
「ゾーク…… 」
「おい順番じゃ! 」
あまりにも遠慮がない爺さん。自分が悪いくせにそれを感じさせない身勝手さ。
積極的でもあるのでこれは僕も見習わないといけない。
ただきっとトラブルが後を絶たないんだろうな。
「だったら僕だって…… 」
つい調子に乗って三番目を確保しようとする。
「よし二人ともそこに。このテルファーお姉さんがしたあげるね」
女神のようなテルファー登場?
いやいやそんなはずないか。でも期待はしてるよ。
「あのこれは…… 」
だがテルファーは答えようとしない。
正座させられてムチで叩かれる羽目に。
「いや私はただの通りすがりの隠居で。このエロガッパと一緒にせんでくれ」
逃げるのに必死な爺さん。僕を犠牲にして逃げようとする浅ましさ。
こっちは何もしてないがあっちは完全に覗いていたぞ。
「爺さんが全部悪い! 」
「そもそもの原因を作ったお前が悪い。いやお前たちが悪い! 」
強情な。それはいくらなんでもないよ。悪いと思ったら認めて反省しなくちゃ。
こっちはただ巻き込まれただけ。ファンタジーの神が聞いて呆れるよ。
「いいから二人とも大人しく正座してな! 延長しようか? 」
どうやら連帯責任だと逃れそうにない。
こうしてムチに打たれつつ一時間も正座させられる拷問のような時間が続いた。
とても刺激的とは言えもう二度と巻き込まれたくない。
「もう神様が悪いんですよ」
「何を抜かす! 老人のかわいげなジョークだろう?
老い先短い老人を労わると言う気持ちがお前たちにはないのか? 」
随分勝手を抜かす。それでも本当に神様かよ?
どうもファンタジーの神って軽いんだよな。
「よし反省終了。お前たち帰るぞ! 」
こうしてどうにか許された。でも僕は何をしたんだ?
確か誘ったのはテルファーからだったよな。
やっぱり僕はちっとも悪くないじゃん。テルファーが爺さんに復讐しただけ。
僕はただの被害者じゃないのか? 臭いはだいぶ取れたと思うけど。
何も聞かされずにテルファーたちのが見れると浮かれていた哀れな子羊。
うーん。ゾークもうまく利用された。
これで港町・ドラクリオの宿で一泊すればようやく念願のベネットだ。
ベネットの旅も間もなくフィナーレを迎えようとしている。
だがその前に僕はテルファーとの約束を果たさないとならない。
さあ今夜はまた忙しくなるぞ。
続く




