↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
83/103

悪臭の正体を探れ!

六巻目ゲット!

これで残るは一巻のみ。クエスト達成も目前。

だがあともう少しと言うところで臭い発見器が反応しなくなった。

ファンタジーの神が僕のために授けたお助けアイテムだったのに。

あの爺さんめ肝心な時に使えないんだからよ。


ふう…… 困ったな。どうしよう?

しかし爺さんが姿を見せないのは不自然。これはもう役目を果たしたのだろう。

だとするとこれは自力で探せと言う神からの思し召しか?

そうだとしたらどれだけ面倒臭いんだ? 臭い…… いやちっとも臭わない。


ドラクリオだけでなくツブレ村からも臭いが消えた。

山はずれの落ちぶれ集落まで足を伸ばしたが無反応。

仕方なく落石村まで引き返そうとした時突然臭いとアンに嫌がられてしまう。

待ってくれ。僕は毎日風呂に入ってるし着替えだってきちんとしてる。

オナラだってさっきしたけど父さんやハイほどじゃない。

まさか…… 獣臭がするとか言わないよな。

いくら竜人でもまだ子供。汗臭いほど強くない。父さんじゃないんだからさ。

それに竜人と言うか竜って獣だっけ? 動物は人間を含め皆獣だとは思うけどさ。


「父さん臭いってよ」

「お前だろうがカズ! 臭うぞ」

父さんのせいにしようとしたが失敗。

さすがに無理があったか。ここはハイにするべきだったか?

人選を誤ったらしい。しかし今は呑気にしてられない。

主人公の危機だ。それはチーム・カズ君の敗北を意味する。

急いでどうにかしないと皆に迷惑が掛かるぞ。


「カズ君。どうにかしないと僕たちついて行けないよ! 」

もう戻しそうな勢いのゾーク。お前にだけは言われたくないぞ。

いつも庇ってやったじゃないか。それを自分が臭くないからって酷いよ。

「そんな…… 突然そんなこと言われても…… 」

「カズ! お前は何かバチ当たりなことをしたに違いない! 」

「父さんまで酷いよ。実の息子に何てことを言うんだ。もういいよ! 」

最後の巻物も見つからずおかしな言いがかりをつけられてはもうやってられない。

ここはチーム・カズ君の解散の時かもしれない。


いや今回の旅は父さんが誘ったんだから僕たちはあくまでサポート役。

責任はない。いや子供だから元々ない。ここで離脱しても問題ない。

でも父さんと離れるのは難しいか。大体一人で帰れやしない。

テルファーを見るが目を合わせてもふざけてもくれない。これは本気だ。


それから原因不明の悪臭に悩まされ続け時間だけが過ぎて行った。

「カズ! お前は臭過ぎだ! そのせいで宿屋は追い出されたじゃねえか。

別の宿も断られた。いくら夏の大冒険でもその辺はきちんとしろよ! 」

テルファーの一言がグサッと来る。刺さり過ぎて立ち上がることさえできない。

確かに昨日までよくしてくれた旅館から追い出されるんだからよっぽどのこと。

臭いは相当なものだろう。しかもどんどん激しくなっている気がする。

だからってどうしろと? 自分でどうにかするしかないのだが。

それはそうだけどでもどうしろと? 仲間の協力なくてはやっていけない。


「そんなに言うほど臭いか? ちょっと臭う程度だろう? 」

ハイが擁護してくれる。ありがたい。持つべきは鼻の詰まった大雑把な親友さ。

「お前は鼻がイカレたか鼻が詰まってるかだ! 」

テルファーは容赦がない。

「それは言い過ぎだぜ。カズが可哀想だろう? 」

ハイがまとも。こう言う時もあるんだな。

「二人とも我が息子のことでいがみ合うのは止めろ! 」

らしくなく父さんが止める。そう言えばアンはどうしたんだっけ?

さっきから大人しい気もする。鼻がひん曲がりそうで体調でも崩したか?

それなら申し訳なくて顔も合わせられない。


「あの…… たぶん…… 」

「いいんだよアン。優しい言葉を掛けなくても。きっとカズの試練だからさ」

テルファーが断定。でも僕は何もしてないし試練も運命も興味ないんですけど。

あと一巻に迫った巻物探しを中断して悪臭の原因調査。

「そうではなくあの鞄が…… 」

アンは何か言いたそうだが無理して擁護してるように捉えられ口を封じられる。

「悪いアン。苦しかったら言ってくれ」

「カズ君…… 」

不意に二人はいい関係に。でも臭いから格好がつかない。

ゾークの気持ちが少しは分かった気がする。


「よし俺がお前を治してやる。ついて来い! 」

そう言うと父さんは強引に引っ張って行く。でも外に行けば臭いをバラまくだけ。

それは僕には耐えられないこと。

勇者が臭いごときで追い詰められてどうする? ここはどうにかしないとな。


「ゾーク。臭い消しマジックお願い」

「そんなの習得してないよ。それより合成アイテムで何とかならない? 」

「試したけど無効に…… どうしようゾーク? 」

「他の手を考えようカズ君。そうだモンスター倒すとか? 」

ゾークはそう言うがもうとっくにモンスターを倒した。

でもだからって目当てのアイテムを都合よく落としはしないさ。

ダメだ。もうここは父さんに頼るしかない。信用はできないけど。


「いらっしゃい! うわ…… 」

占い師のおばさんが嫌そうな顔をする。しかし僕たちは英雄なんだけどな。

化け物を退治し巻物を探し出してこの地域を守る英雄。

尊敬する存在であって決して嫌がられる対象ではない。

「悪いなファイ。ちょっと息子を見てやってくれないか? 」

父さんとはバーの帰りに寄った関係らしい。


「これがあんたの息子…… 確かによく臭う。プンプン臭うね」

「納得してないでなぜ臭うのか教えてくれないか? 」

父さんが無理やり頼み込む。

「いや臭うと言ったのは数奇の運命に翻弄されるだろうって意味。

臭うのはきっとその子じゃなくてもっと別なところから。詳しく見て行こう」

ファイの占いはまだ続く。


「好きなカードを取りな」

机の上に不気味なカードが三枚。

一枚を取り裏返す。

「あれ? これは白紙」

カードには何も書かれておらず間違ったか?

「ああ世界はまだ白紙のまま。これから何でも思い描けばいい。未来は明るいよ」

そんな風に励ましてくれる。嬉しいけどどうも胡散臭い。

だって三つとも白紙なら答えは決まっていたことになる。


                  続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。