隠された巻物
トップターたちを撃退し離れ小島を解放。
残すは巻物の在り処を探るだけ。
しかしこれと言って手掛かりはない。
でもきっとこの小さな島のどこかにあるはず。
「なあゾーク。臭いはどう? 」
「分からない。きっとこの島にあると思うけどなぜか臭いが薄れてる気がする」
ゾークの言ってることが事実ならこれはとんでもないところに隠されている?
それともあの爺さんの便利アイテムが故障でもしたか?
「どうしたのテルファー? 難しい顔してさ」
巻物を狙うライバルの出現にテルファーが引っ掛かっている様子。
「なあカズ。何で奴らはこの巻物の存在を知っているんだろうな?
まるでタイミングを計ったかのよう」
「さあ…… 誰かがこの話を漏らしたとか? 」
「おい何を見てるカズにテルファー! 」
父さんに疑惑の目が向く。まさか金で話したか?
それともバーで気持ちよくなって話した?
もちろん僕は父さんがそんなことしないと信じてるけど……
でもテルファーが疑うのもよく分かる。
とりあえず一緒に行ったアンに聞いてみることに。
「そう言えば…… 」
どうも父さんが臨時収入とごちそうになった経緯をバーで自慢していたらしい。
それとマスターに詳しい話をした時にでも聞かれたのだろうと。
だからこそマスターも快く譲ってくれた。
何と言ってもこの地域全体の問題。
あの化け物が襲って来たら観光業が終わるだけでなく地元の者が危険な目に遭う。
それが分かっているから協力してくれた。でもバーにはそう考えない者も。
「うーん。皆さん常連さんだったみたいですが……
途中から入って来た方はどうも偉い感じの人でした。
バーにいる方と種類が違うと言いますか頭がよく紳士的な…… そうそうこの人」
アンが反応したのはゾークとハイが連れて来た博士。
「フン…… 私は高名な科学者。今度のスローも私が研究開発したものだ。
安心しろ。明日の昼には元通りさ。金さえ払えばいくらでも…… 」
どうやら紳士の顔は表の顔。裏は狂った科学者。マッドサイエンティストだとか。
こんな奴がいては僕たちの世界が滅茶苦茶にされる。ここは父さんに任せよう。
「巻物を見つけ次第町長に引き渡すぞ。それが一番いいさ。
後は町長の判断に任せる。手出し無用だ。
よし明日まではこの島でのんびりしてようぜ。スローだけにな。解散! 」
父さんが意外にもまともなので驚く。まあ僕もそれがベストだと思う。
テルファーだったらぶちのめせって言うだろうな。
こうして父さんとゾークはそのまま留まる。
僕とハイで巻物探しに。テルファーとアンは食糧探し。
帰りに魚でも釣って来てねとアンに言われたがたぶん無理だろう。
魚顔が苦手もあるけど僕たちは動きが鈍くなっている。
狩りも漁もスピードが大事。釣るにしてもアワセが遅ければ逃げられてしまう。
だから期待されても困る。できるとしたら罠を仕掛けるぐらい。
でもどれも僕たちだけでは難しい。せめて父さんが協力してくれたらな。
きっと今夜は質素な夕食になるだろう。
「おいカズ。見つかったか? 」
果物をかじりながらのんびり僕の後ろをついて行くハイ。
スローの僕の後をついて楽してないで自分で探せよな。
これではいつになったら巻物が見つかるか分かったものじゃない。
「ははは! ゆっくり探そうぜ。明日までに見つかればいいって」
どうも呑気なんだよな。緊張感がない。でも今回ばかりは何も言えない。
奴らを倒せたのはハイのお陰。ちょっとぐらいは多めに見てやるさ。
「あそこの家は? 」
だが呑気な訪問は許されない。全員が奴らの手によって被害を受けている。
いくら撃退したのが僕たちでも信じることはない。もうどうしようもない。
僕たちもこの島の平和を乱す最低な悪の組織の一員だと思われてるに違いない。
今すぐ誤解が解けるはずもないから厄介。時間を掛ければどうにかなるだろう。
でも僕たちの巻物探しも新たなアトリエ探しもある。
明日までにどうにかなることはない。残念だけど仕方ない。
「なあ奥の部屋に王冠があるぞ。もしかしてこれじゃないのか? 」
やっぱりゾーク連れて来ればよかった。でもスロー同士だと余計終わらないから。
「いやだから王冠はどうでもいい。探すのは巻物の方だって」
「食いものか? だったらテーブルの上に」
ダメだ何も聞いてない。しかしいつからこんな間抜けな感じになったんだ?
どうも旅を続けるうちにハイが…… いや僕がただ成長しただけかもしれないな。
「あそこはどうだ? 」
ハイが閃く。これは何かある?
「湖? 泉か? 」
家の奥にちょうど泉が。
ここに巻物が隠されてる? まさかあり得ない……
いやそれはつまらない思い込みさ。調べるとしよう。
ではハイに泳いで見てきてもらおうっと。
僕ではスローの影響で溺れる可能性だってあるからな。
「おいおいこの泉全部かよ? 」
ハイは冗談じゃないと睨みつける。でも自分があるって言ったんだろう?
だったら責任を持って調べて来るのが当然じゃないか。
「待って! その靴跡…… 」
毎日のように泉に水を汲んでいる跡。それとは別に新しい跡が三か所。
「この辺りを集中的に調べてくれ。きっとあるはずだから」
ハイに任せておいて僕はその間にゆっくりしてるか。それがバカンス。
「おいあったぞ! これだろう? 」
そう言うと巻物らしきものを掲げる。
「偉いぞハイ! これで今度は父さんからのキスがもらえるよ」
アンはもうしたしテルファーはケリ入れるだけだろう。ゾークは吐くだけだから。
あまり想像したくないな。
意外にも早く見つかった。それもそうか。奴らが来たから隠したのだろうし。
分かるようにきちんと印もあったと。するとあの跡もきっとわざとに違いない。
翌日すべての処理を終えスローの影響もなくなったところで港町に戻る。
現在五巻ほど手に入れた。残り二巻。
さあ爺さんがくれた臭い発見器で次の巻物探しだ。
そう言えば今回は爺さんの登場はなくお楽しみもなかった。これでいいのか?
残り二巻となりコンプリート目前。
さあやる気が出て来たぞ!
続く




