ネック村でウッド爺さん探し
レベルアップし村も出るとあって改めて役割を決めることにする。
まずはリーダーから。
名前だけのリーダー。ただ負担が増えるだけでいいことは何もない。
それでもなる価値はある。威張れるし頼られる。それに格好いいもんな。
「リーダーは僕でいいよね? 」
「待ってくれ! それは投票で決めようぜ。なあゾーク」
「うん。でも臭いで決めるのも悪くないかもね」
ゾークがリーダーに相応しい臭いを嗅ぎ取って見せると。
「ああ…… それは今度にしようぜ。やっぱり投票がいいって」
ハイがゾークを引き込む。怪しい! これはもしかしたら何かある?
最近は投票。投票ですべて決めるのが誰にとっても平等で分かりやすい。
それに奇数で人数も僅か。これならすぐに決まる。
もちろんそんな考え方もあるだろうがリーダーぐらい僕でよくないか?
しかし二人ともただ投票がしたいのか頑固だ。
では投票がいいのか投票で決めようと言ったら笑われた。
「何だよそれなら投票でいいだろうカズ? 」
こうしてリーダーを決める。
結果…… カズ君一票。ハイなし。ゾーク二票。
これによりリーダーはゾークに決定!
「ちょっと待って…… 」
「文句言うなカズ! 言い訳はなしだ。次はサブリーダーだ」
なぜかゼロ票のハイが仕切り出した。
投票タイム!
結果…… カズ君一票。ハイ二票。ゾークなし。
これによりサブリーダーはハイに決定!
嘘だ…… 僕ってこんなに嫌われていたのか? もうやる気もなくなった。
いつもいつも一票って。自分で自分に入れる恥ずかしさを少しは理解してくれよ。
「最後に世話係…… これはもうカズでいいな」
こうしてなぜか僕は世話係になった。まあもうどうでもいいけど。
世話係って結局何をやればいいんだ?
役目も決まり故郷を離れることに。
隣村・ネック村へ。
緊張の一瞬。隣村との境界線をまたぐ。
さっそく手荒い歓迎を受ける。
「ひひひ…… 痛い目に遭いたくなかったら金を出しな」
単純な悪人が現れた。
リーダーは防御の体勢を取る。
サブリーダーはただ叫んで威嚇するだけ。
世話係のターン。
「ほらこれをやるよ」
金のメッキを一枚渡す。
「何だこれは? 」
「はあ金だろう? 両替商のところに持って行けば高く売れるぞ」
「それはありがたい。では代わりに情報をやろう」
気前のいい悪人だ。情報屋として機能している。
「ありがとう。また頼むよ」
こうしてネック村の散策に戻る。
「あの男は何だって? 」
「それが…… アトリエならウッド爺さんを頼ればいいとさ」
専門的な話は二人には分からないので世話係がすべてを仕切る。
もうほぼリーダーじゃないか。あいつら僕を世話係にして覚えてろよ。
いけない! ついつい邪な心に支配されてしまう。でもこれは仕方ないよね?
ネック村は何もないところだ。
大きな川が流れててのんびりしたところ。村人が昼間から集まり頬を赤く染める。
取り留めてどこがいいとかそう言うのはない。どこにでもある取り残された田舎。
そんな風に言うが僕たちの村の方がもっと田舎。誰にも自慢できない。
まずは川に沿って歩いてみる。
うーん! 気持ちいい。天気もよくて川遊びには絶好の行楽日和。
ハイキングもいいし大自然の釣りも悪くない。
そう言えばネック村の川にはヌシと呼ばれる巨大魚が生息していると父さんが。
でかいし引きはいいらしいが食えるかと言ったら難しい。
もちろん食えなくない。ただまずいらしいからとりあえずハイで実験してみよう。
ほら今も爺さんが糸を垂らしいている。
「おいそこのガキども! こんなところをうろついていちゃ危ないぞ」
髭を生やした昼間っから顔を赤らめてる爺さんがふらついている。
ここはトラブル回避と行きたいがきっと彼こそが伝説のウッド爺さんだろう。
だったら大人しく従うか。
それにしても運がいい。これほど簡単に見つかるとは思わなかった。
「あなたは? 」
一応は確認だよな。ウッド爺ではなくただの酔っ払いなら早く追い払わないと。
「フライと言ってこの川で生活してる者だ」
どうも怖い話ばかり。川で生活する奴がいるのかよ? 聞いたことないぞ。
いや怒らせてはダメだ。ここは冷静に。
「あの…… 僕たちはアトリエを探してましてウッド爺さんに会いたいんです」
なぜか世話係の僕が対応することに。
ゾークは震えているよう。ハイは何も考えてない様子。
これではまったく使えないじゃないか。
まずはアトリエに詳しいウッド爺さんを探す。それが先決。
きっと手掛かりがあるはずだ。とにかく話を聞こう。
「それでお前たちはなぜウッド爺さんを探している?
いやそんなことはどうでもいいさ。悪いがそんな奴は知らない」
ウッド爺さんを知らないと言う。本当かよ? 有名人じゃないのか?
「アトリエに詳しいと聞いたので探してるんです」
この村にはウッド爺さんは住んでいないのだろう。
すると他の者にも聞く必要がある。これは時間がかかりそうだぞ。
とにかくもう少し歩いてみるか。
川を上流から下流へと歩いて行く。
どれだけ掛かるんだよ?
当然それだけ歩けば一日では終わらないだろう。
おっと釣りをしている村の者がいた。
とりあえず話を聞くことに。
「はあ? ウッド爺さん? 誰だそれ? 」
「アトリエがあるとかないとか…… 」
いないと言われてはどうしようもない。そもそもこっちもよく分かってない。
ウッド爺さんなる人物の正体は何も分かっていないそう。
「ああウッド爺さんは知らないがもう少し行くと働き者の女の子がいるから。
彼女ならその辺のことに詳しいかもな」
そんな風にいい加減な釣り客。
結局のところ釣れたのか? ずっと糸を垂らしてるのは我慢強いとは思うが。
お手伝いもお邪魔もしてもいいがここは放っとくのがいい。
もしこれ以上話しかければ僕たちのせいで釣れなかったと怒るに決まってる。
続く




