トップター登場
トップターの右腕的存在でナンバースリーのドッポ。
奴の血も涙もない拷問で父さんは痛めつけられもはや我慢の限界。
それでもどうにか堪えるが父さんはとっくの昔にキレてる。
妻役のテルファーまで加勢に行ってしまった。
ああ…… せっかくの演技が無駄じゃないか。
これでは何のためにテルファーとイチャイチャしていたんだか分らない。
別にそれについては恥ずかしいだけで不満がある訳ではない。
でももう無茶苦茶だ。
「逃げるな卑怯者! 」
「そうだ。このゲス野郎! 大人しくやられるんだ」
二人とも口が悪いから。これにハイも加われば最強なんだろうけど。
そう言えばハイは今どうしてるだろう?
大丈夫。きっと五分もしないで助けにくる。今急いで向かってるところだろう。
心配いらないさ。
「おい! 当たらないことをいつまでもやらずに走るぞ」
鈍い攻撃を避けてばかりだとさすがに飽きたのか競走しようと言いだすドッポ。
一体どう言うつもり? だが今はそんなお遊びに付き合い時間を稼ぐのがいい。
「ふざけるな! 誰が走るか! 」
「そうだおっさん! もっと言ってやれ! 」
父さんは頑固。テルファーは調子に乗って挑発している。
二人とも冷静になって自分の立場を考えようよ。
奴の提案は決して悪いものじゃない。逆転だってあり得る。
これはきっと時間と体力に余裕があるので遊ぼうとしてるのだろう。
何も切り合って勝負をつけなくてもいい。早く奴の提案に乗るんだ。
ふざけた競走ならこちらにも勝ち目はある。大逆転の望みがあるのだから。
「分かった。父さんもテルファーもドッポに従ってくれ」
ここはリーダーとして意見する。実際はただの世話役だけどね。
「ふざけるなカズ! そんなに走れるか! 膝が痛いんだぞ! 」
旅の疲れと飲み過ぎで膝の痛みが再発したと情けないことを言う。
そんなこと知らない。
「いいから! テルファーも頼むよ」
「おお…… カズが言うならもちろんいいぜ」
物分かりのいいテルファーと言い訳ばかりの父さん。
「ありがとうテルファー。父さんは? 」
「仕方ねえな」
嫌々ドッポと競走することに。
「よし外に出ろ! スタートだ! 」
そう言って無理やり走らせる。だがスローでは勝てるはずがない。
これじゃ本当にウサギと亀だ。空し過ぎるよ。
負けず嫌いの二人はいいように遊ばれる。
スローのハンデを持っていてはすぐに決着がつくもの。
近くの森までの三往復。勝てるはずもなく現在ぶっちぎりの一位のドッポ。
もう走るのも馬鹿らしいと歩く手の抜きよう。まるでアスリート。
一人孤独に前を歩くドッポ。それに対してスタート地点付近の父さんチーム。
「ははは! ノロマめ! 追いつけまい」
そう言って振り向いた独歩の顔がすっと血の気が引いて行くのが分かる。
父さんたちの遥か後方にボスと思われる男のゆったり歩く姿があったのだ。
気づいてすぐに駆け寄り頭を下げるドッポ。しかしそれほど甘くない。
「申し訳ありません。トップター様! 」
だがトップターは一言も発せずドッポに一撃。
「トップター様! どうぞお許しを…… 」
「ふん。お前など不要だ! 」
そう言うと止めを刺すトップター。何て酷い奴なのか。
「まったくこれくらいのこともできないとはお前ら全員お仕置きだ! 」
トップターは躊躇うことなく手下どもを手に掛ける。
まずい。このままでは僕たちも巻き込まれる。いや元から処分の対象ではある。
それにしても恐ろしく機嫌の悪いトップターだ。一体何があったんだ?
憂さ晴らしに手下や人質に当たるなんてとんでもない奴だ。
こんな奴がリーダーでは恐ろしくて何もできない。
「それであなた方は? 」
冷静なトップター。だが少しでも気に喰わないと始末されてしまう。
ここは奴の希望を叶えてやるか。
「これがお前たちが求めてる巻物だ。これが欲しければ交換条件を呑め! 」
立場は分かっているがそれでも強気で行かないとこっちに勝機はない。
「交換条件? まさか集めた巻物を買えとでも? 」
余裕の笑みで対応。まったく何を考えてるんだか。
「違う! すべてやる。その代わりに僕たちを島の外に逃がして欲しい」
今は巻物よりも命を優先。もし奴に集められてもそれはそれで仕方ないこと。
「いいだろう。すべてを寄越せ! そうしたらお前たちの安全を保障してやる」
こうして話の分かるトップターとの交渉を成立させる。
急いで離れようとしたところでトップターがおかしなことを言う。
「悪い。気が変った。君たちには死んでもらうよ」
非情なトップター。もはや絶体絶命。
その時だった。どこかで懐かしい声がする。
振り返るとハイが果物をかじりながら歩いて来る。呑気な奴だ。
この土壇場の場面でも一切緊張せず何の状況判断もしないある意味おかしいハイ。
「どうしたカズ? 皆も疲れてるけど。あれ…… お友だち? 」
ダメだ。今置かれてる状況を理解させるには一日掛かる。
そんなに待ってくれるはずがない。それがトップターだろう。
「ハイ! 早くそいつらを倒せ! お前ならきっとやれる! 」
ついにハイ登場で形勢逆転したか?
「はあ? 何を言ってるんだよカズ? 」
どうやら呑気に昼寝した後リンゴをかじりながら寛いでいたのだろう。
まったく大ピンチに何を考えてるんだ?
少なくてもきちんと一周してれば父さんたちは助かったはず。
その失態を取り返すのが今。さあ頑張ってくれよハイ。
「いいからその魚顔たちを倒せ! 」
「おいおい俺は平和主義者だって知らないのか? 」
こんな時にハイはふざける。そんなこと知るかよ。
「お願いハイ! 」
「そうだ早くしやがれ! 」
アンとテルファーの願いでハイも状況を呑み込めたらしい。
「やれハイ! 」
「ヘイ親方! 」
「ふふふ…… 私に勝てるかな? 」
武器は共に剣。だがハイのは錆びついたもの。
僕の必殺剣は奴らに没収されてしまった。
「勝負! 」
「待ってくれ。これはまだ…… 」
「問答無用! 」
勝機と見たトップターが剣を振り下ろす。
そこに錆びた剣で応じる。だが剣はもう限界。
トップターの華麗な刀捌きで弾かれてしまう。
剣を失なったハイはトップターの攻撃を素手で受け止めることに。
絶体絶命の大ピンチ。
続く




