巻物探し
町長の正式な依頼。
「これがこの町に伝わる巻物だ。隣町にもあるはず。
合計七つを集めてくれないか。そして竜神の滝へ向かって欲しい」
町長のお願いを聞くしかない。
もちろん町長はレストランの支払いはお近付きの印だそうだから断っても大丈夫。
でもさすがにここまでされたら応えたい。
「できれば私からもお願いします」
アンの頼みとあってはますます断れない。
クエスト発生!
七つの巻物を探し出せ!
「いやしかしだな…… 」
父さんは意外にも厳しい。アンの言うことなら何でも聞きそうだけど。
何かある? それとも時間を取られるのが嫌なのか?
当てもなく探し回るのが嫌なのか? それも含めて冒険だと思うけどな。
「父さん。面白そうだよ」
「おいおい安請け合いするなって。どうも引っ掛かるんだよ。
俺たちは見えない何かに導かれてる気がする。それにテルファーだぜ」
どうやらテルファーへの支払いが増えると嫌がってるみたい。
「テルファー? 」
「もう分かったよカズ! 予定変更ぐらい構わないさ。変更料は勘弁してやる」
聞いてたのか父さんの話? それとも嫌だからわざと?
「だからそうじゃないって! 頼むよテルファー」
テルファーを説得して父さんに納得させる。これで正式なクエストに。
「お願いします! 私も全力でサポートしますので」
「アン…… 」
「それに治安も悪くなる一方で」
「だからあんたはいいんだって町長! それでアンは本気なのか? 」
どうやら父さんは何か誤解してるらしい。困ったな。
アンは真面目だから父さんが何を想像してるか気づかないんだろうな。
僕だって子供だから本当のところはよく分からないけど。
「はい! 実は我が家にも似たような巻物があるんです」
「だからそうじゃないって! 」
どうやら父さんの思うサポートは得られそうにない。
当然だよね。父さんは一体何を考えてるんだか。親子でも分からないもの。
「よし金はタンマリ頂くぜ」
テルファーも乗り気だ。ハイもゾークも文句ないよう。
僕としてはこれ以上危険には関わりたくないけど竜神様には会いたいもんな。
初めてのクエストに力が入る。
「それで町長。巻物集めはどれくらい掛かるんです? 」
「そうですね…… 一日とも一週間とも三か月とも百年とも言われてます。
一番の問題はその家に代々受け継がれた巻物が紛失している場合ですね。
恐らく三つはどこかに売られたか盗まれたかあるいは初めからなかったか。
とにかく手に入るものから集め紛失した巻物の調査に当たって下さい」
いい加減な町長。どうやら能力次第らしい。
しかも紛失してる可能性もあるのか。
いやだからこそ僕たちに依頼が回って来たんだろう。
もしそうでなければ町長本人でいいのだから。
「ヘイ! って命令するんじゃね! 」
町長があまりに上からで父さんも調子が狂っているよう。
「ではお願いしますよ皆さん。しっかり」
「ヘイ! ってだからまた。よしお前ら巻物集めだ。探すぞ! 」
「オウ! 」
こうして魅惑の町・テルファーに行く前に足踏み。
伝説の竜神様に会いに七つの巻物を探すことに。
正式な依頼でクエスト発生!
【確認】
依頼主…… ドラクリオ町長。
依頼料…… 十万プラス成功報酬。
内容…… 暴れ回った化物は龍神様がお怒りになってるから探して話つける。
備考…… 巻物は七巻。現在手元には町長のとアンの合計二巻。残り五巻。
ペアを組んで六人で一気に探し出す作戦。
このクエストは楽をしたければ父さんかハイ。
デート気分を味わいたければテルファーかアン。
世話係としてはゾークを選ぶべき。捜索は得意だし。
うーん。どうしよう? 迷うぞ。
そんな事言ってる間に父さんがアンをハイがテルファーを選び残ったのはゾーク。
これはお世話モードだな。まあいいや。ではさっそく開始!
あれ…… どうも女性陣から無言の圧力がかかる。特にテルファー。
「ふざけないでカズ! 」
やはりテルファーは黙ってない。
「まあまあ。僕は誰でもいい…… ハイ頼んだぞ」
「おう! 任せておけ」
こうしてテルファーをハイに押し付けて僕はゾークのお世話。
一時間ほど港町を散策。
「カズ君あの家はどう? 」
「確かに古そうで立派な建物だけど…… ちょっとゾーク見て来てくれ」
「嘘…… 一人じゃ心細いよ」
どうやらゾークはやる気がないらしい。僕も同じ。
手分けしたところでただ適当に探しても意味がない。
それこそ一年以上掛かってもおかしくないぞ。
とにかく手掛りがなくちゃ始まらない。今日は無理しないほうがいいな。
どうせ当てもなく探しても見つかるはずがないんだから。
大体この時間は皆寝てるよ。また明日から探し回ればいいさ。
十時になったところでタイムアップ。
宿へ戻る。
「大丈夫かゾーク? 」
疲れたと。これは心配だ。また体調不良にでもなったか?
「へへへ…… 平気だって。いつものことだから」
もうそろそろ限界のゾーク。ここに来ての離脱もあり得るか?
でもここでゾークを失うのは痛い。痛すぎる。
ゾークにしかできないことがたくさんある。
吐いたり出したり戻したりとそれからフン等の採取はゾーク任せ。
それにレアアイテム探しにも貴重な存在。
今だって三つもアイテム合成向きのを見つけてくれた。
ただ巻物についてはまったく手掛りなし。
「二人ともお疲れ様! 」
テルファーが元気。それに引き換えハイが疲れてる。
どうやらテルファーに振り回されたか?
「もう疲れた! テルファーは我がままだから嫌になるぜ! 」
まるで自分の恋人のような発言。
「ははは! ハイは情けねえな。テルファーは意外にも押しに弱いんだからよ」
父さんが適当なことを言う。
「はあ? 押しに弱い? 人は選ぶって」
父さんのせいでハイが可哀想な目にあう。
もう少し言葉を選んであげればいいんだけどな。
そんなこと言ったら僕まで巻き込まれて怒られそう。
何と言っても今夜はお楽しみがあるんだから。
昨日結局爺さんのお節介で台無しになったがさすがに今夜は問題ないだろう。
うん大丈夫。今日は爺さんついて来てないな。
あの人がいるとせっかくの楽しみが苦しみに変わるから。
へへへ…… テルファーの奴きちんと約束を覚えてるだろうな?
ちょっぴり不安な第二夜でした。
続く




