テルファー離脱危機
ついにファンタジーの神降臨。だが面倒だからと腰を下ろして見学するらしい。
やる気がなくのんびりお茶を飲んでるよ。困ったな。
「おい爺! あんた覗いてただろう? 」
父さんが事実だけど失礼なことを言う。これでは怒らせることになる。
それだけは避けないと。この状況で味方が敵に回ったらどうにもならない。
今は一刻の猶予もない。
だが運のいいことに謎の爺さんの乱入で動きがストップしている状況。
今のうちに何とかしないと。爺さん説得が鍵。
「お願い爺さん! 」
テルファーが願い倒すがちっとも聞く耳を持たない。
あれほど覗いたのに爺さんは非情過ぎないか?
いくらファンタジーの神でももう少し優しさがないと。
「それはできん相談だ。私はあくまでファンタジーの神であって救世主ではない。
いいか。私はここで大人しく見守ってやる。それだけでも稀なことなんだぞ。
さあ頑張れ! 私に害がない限り動かん」
頑固な爺さんを説得するには時間が掛かりそう。
でも今は一刻も早くこの化け物を倒さないとこの世界自体が終わってしまう。
それが分かってるはずなのにただ茶を飲んでいる。呑気過ぎないか?
父さんが痺れを切らし動き出した。
「よし分かった。もう頼まねえ! 」
そう言うと父さんは諦めて武蔵と太陽に向かって再び矢を放つ。
しかし矢がパワーアップしたのでなければ父さんがパワーアップしたのでもない。
「痒いわ! 」
そう言って簡単に弾かれてしまう。
もはや諦めるしかない。ここはテルファーと手を繋いで最後の時を待とう。
この世界は厳しいから復活も生き返りもない。
人喰いオオカミ編で痛いほど感じたこと。もうどうしようもない。
「ほらカズ! しっかり! 」
しかしそれでも諦めないのがテルファー。僕を慰めてくれる。
ここでやられたら報酬がもらえないからな。
それが分かっているから無駄な抵抗だとしても最後の時まで粘るテルファー。
もはや現実を見てないし計算もできてない。だがそれが逆にプラスに働く事に。
「ほら貸して! 」
諦めた父さんに代わりテルファーが挑戦。
相手が化け物でも怯まずに果敢に攻撃する。
テルファーの放った矢が弾かれてファンタジーの神の元へ。
一度なら我慢もできただろう。しかし武蔵が弾くたびに爺さんに当たる。
ギャン!
ギャン!
どうやら避けても避けても矢が落ちて来るので逃げ惑う哀れな爺さん。
もうファンタジーの神も限界だろう。
痛い……
それまでどうにか堪えていたが爺さんだから我慢ができない。
ついにファンタジーの神の怒りが頂点に達した。
こうして救世主に変化。そうこれでいい。これですべてうまく行く。
ファンタジーの神と化け物二体の戦いが始まる。
「許さんお前ら! 痛い! 痛いのだ! 」
決してわざとではないだろうが我慢の限界となり二体の化け物と直接対決。
見た目はただのくたびれた爺さんだから心配だが何と言っても神。
「おいお前! わざとやっただろう? 天罰じゃ! 」
武蔵が当たりもせず払い落すから怒り狂った爺さんに瞬殺される。
これでまず一体始末。
残りは手強い太陽の化け物。
はっきり言って弱点はないように見える。
爺さんが精神統一で気を高め本気モード。
「コールドスリープ! 」
太陽は暑くてでかい。コールドスリープで凍らせるだけでなく眠らせることに。
こうして意識を失った太陽の化け物はゆっくりと落下。
そのまま粉々に割れる。粉砕し消滅。
二体の化け物はファンタジーの神の活躍で倒された。
怒りの爺のパワーは相当なもの。
こうして絶体絶命のピンチを乗り切る。
レベルアップ!
僕たち三人組はレベルが7になった。
父さんのギャグのセンスがアップした。
テルファーの色気がアップした。
レアアイテムの太陽光を手に入れる。
レアアイテムの瞬殺刀を手に入れた。
ガイドのアンから詳しい地図をゲット!
ロープウェイは使用不能となってしまった。
ガイドのアンが仲間に加わる。
「あの本当にご一緒してよろしいんですか? お邪魔では? 」
上品で教養もありこの辺りの地理にも詳しくベネットにもよく足を運ぶと言う。
初めて行くベネット訪問には心強い味方になるだろう。
「ははは! お邪魔って言うのはこいつらのことを言うんだぜ」
そんな風に僕たちを邪魔者扱い。それはないよ。僕は少なくても息子だろう?
父さんは本当に女の人で特にきれいな人に弱い。いつものことだけどね。
それはハイもゾークも同じでヘラヘラしてやがる。まったくふざけてるぜ。
まあ僕だってきれいなお姉さんは好きだけどさ。でもテルファーのこともある。
テルファーを見るがいつもと変わらない。落ち込んでも悔しがってもいない。
まあ気にし過ぎか。
でもライバルヒロイン登場でいきなりのヒロイン交代危機だからな。
気分は悪いだろうさ。それとも仲間が増えて嬉しいと呑気に考えてる?
「気をつけた方がいいよ。このおっさんは手を出すのが早いんだ。
私にだって隙あれば触って来る。
一応はアドバイスしたから後は好きなようにどうぞ」
これでは父さんも簡単には手を出せない。
大体ロープウェイでも散々ちょっかいを出したから警戒もされているだろう。
「それであなたは? 」
「ここまでの案内役のテルファーだ。金さえもらえればここで引いてもいいぜ」
父さんの判断に任せると従順。
でも新しい案内役を見つけたからって身を引くことはない。
どうやら自分は用済みだと判断したらしい。潔すぎるよ。なぜもう少し粘らない。
僕はどちらかと言えばテルファーの味方。
まだテルファーにはやってもらわないことがある。
「そうか…… 悪いな。二人も案内役はいらない。そう言うことなら…… 」
父さんは信じられないことにテルファーを切ろうとする。
おいおい冗談でしょう? お得意様で何度も依頼したはずなのに。
そこまであっさりとは異常だぜ。親友の姪だろう?
ジャックが黙ってないぞ。家族総出でアトリエに来られたらどうするんだ?
そんな風に僕はテルファーの応援に回る。
理由は簡単。まだ昨夜の約束が果たされてないのだ。
これは仲間の問題。テルファーを切り捨ててはいけない。
続く




