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三人組

三百三十三メートルを終えると今度は約倍の六百三十四メートルに挑戦。

運よくここにはロープウェイがあり案内係のお姉さんのガイドで遠足気分。

さっそくハイとゾークがお姉さんに興味を示す。

父さんに至っては反省することもなく隣を死守しようと騒ぎ出す。

何を考えてるんだろうこいつらは? おっと…… 冷静に冷静に。

仕方ないな。三人がそう言うつもりならこっちは堂々とテルファーと手を繋ぐか。


「おいカズ! 」

「何をやってるのカズ君? それはずるいよ」

二人が訳の分からない言いがかりをつける。そっちが先じゃないか?

僕はテルファーと恋人気分を味わうさ。それに僕から手を繋いだんじゃない。

あくまでテルファーの方から。いつの間にか大胆になっていく気がする。

本当に困っちゃうよな…… どう言うつもりなんだろう?

たとえ追及してもきっと真面目には答えてくれないだろうな。

とにかく今は何も考えずに二人の時間を楽しもう。


「では出発しますよ皆さん。こちらに見えるのが空だか街だか家だかです。

そしてずっと遠くに見えるのが港町ドラクリオです。

ここには太古より竜が住んでいたとの言い伝えが。

現在はオシャレな港町ですので是非お立ち寄りください」

いい加減なお姉さんによれば僕たちのこれから行くドラクリオは観光の町らしい。

だったらテルファーと港町の夕日を歩くのも悪くないかな

それにしても昔竜が住んでいたとはもしかして僕たちと何か関係がある?


「ふふふ…… カズ」

昨日のことがあるからどうしても逃げ腰。テルファーが何してくるか分からない。

こんなところで皆がいる前でまさかねと言う常識が通じないのが彼女だ。

「どうしたんだよ? 外を見ないともったいないぞ」

「汗かいてるよ。興奮してる? 」

もう離さないとがっちり繋がれた手。やり過ぎじゃないのか?

力一杯握るから痛いんですけど。こう言うところはまだまだだな。

へへへ…… 悪くない。悪くないよ。でも興奮はしてない。


いつの間にか観光に来たみたいになってるがそれは違う。

僕たちは登山に来たんだ。金がないからロープウェイ代ですべて吹っ飛びそう。

ここは少し金を貯める必要があるな。クエストかモンスター狩りでもするかな。

できれば楽で簡単なのがいいんだけどそんなのあるはずないよね。


「きゃああ! 」

お姉さんが叫ぶと父さんが大慌て。またとんでもないことでもしたんだろう?

息子がいる前で何てことをするんだ。最低だよ父さん。

父さんがそんなんだと僕のイメージまでダウンしかねない。

「悪い。つい癖で…… 」

勝手に体を触ったらしい。無意識でわざとじゃないと言い張る。

だが当然お姉さんから盛大なビンタを喰らう。まあこれくらい仕方ないよな。


「きゃああ! 」

今度はテルファーが。僕は何もしてないのに嵌めようとする。

これは本当にどうしようもない奴だな。

「おいテルファー! 」

「ごめんカズ。つい調子に乗っちゃった」

そう言って笑うので許すことにした。本当に何を考えてるんだろう。

確かに恋人気分で悪くないけど。はしゃぎ過ぎだよ。これはあくまで旅。

新しいアトリエ探しに出てる訳で。余計な騒動には巻き込まれたくない。


「きゃあああ! やめて! 」

今度は再びお姉さんが。また父さんが何かしたのか? もう本当に困ったな。

これじゃゆっくりロープウェイも楽しめない。

「おいお前ら身に着けてるものすべて出してもらおうか」

どうやら違ったらしい。今まで大人しかった三人組が本性を現す。

それでこいつらは一体何者なんだ?

恐怖で悲鳴をあげ続けるお姉さん。ちょっとうるさいんですけど。


閉ざされたロープウェイ内。勇者でなかったらパニックになっていただろう。

初めから何だか怪しかった。どことなくモテそうにない何年後かのハイのよう。

だから気になって警戒もしたさ。でもさすがにここまでするとは思わなかった。

最低な奴ら。旅にはこう言うのも付きものだけど。でもできるなら遠慮したいぜ。

身に着けてるものを根こそぎ奪っていく。何てがめついんだろう。

普通こう言う時は金目のものを出せって言うんじゃないの?

どうしよう? 面倒臭いな。僕たち山登りしたばかりで疲れてるんだよね。


「ハイ頼んだ」

「いや無理だって。親方頼みます」

ハイは逃げ腰で父さんに。もうどこまで情けないんだよ。

「無理だ。この態勢ではとても三人を一気に倒すのは無理」

狭くて動きが取れない上に奴らが何を持ってるか分からない。

いくら回復アイテムがあってもいきなり刺されたらお終いだからな。

父さんも慎重になる。


「きゃああ! 」

お姉さんは恐怖のあまり叫び続けて嗄れそう。

可哀想にこのままだと全員降参するしかないか。もうどうしよう。

「ゾークは無理だよね。だったらテルファー頼んだ」

もはや何でも屋のような扱い。

うん? お金の確認? まさか別料金だとか抜かさないよな? 

これは自分にも関係することだぜ? 早く解決してまた恋人気分に浸ろうぜ。

そんな風に言えたら僕も父さんみたいな竜人になれるんだろうな。

でも何だか最低っぽいから真似するのはよそう。 

だが動こうとしないテルファー。仕方ないここは僕が説得するか。


「あの…… 僕たち子供だから」

こう言えば勝ちさ。

「そうかガキ。だがなガキのを奪ってはいけない法律はないぜ」

頭が悪いくせにそう言うとこだけは説得力がある。

「いえありますよ。この文書に。子供の権利を守ると」

去年改正された。だからこいつらが知らないのは無理もない。

「うるせいぞ! 」

今度はお怒り気味のボスっぽいのが騒ぎ出した。もう面倒だな。

楽しいロープウェイの旅を無茶苦茶にしないでよね。


「だから僕たちは旅の途中。あるのはレアアイテムぐらいだけだって」

「おい嘘だろう? それはお宝じゃないか! 」

どうやらレアアイテムの価値が分かる人間がいるらしい。

「でもこれをあげるなら条件がある。こっちも引き取って」

セーフティゴーグルもセットで渡すことに。

防御力はあるしもしものためはいいんだけど荷物になるし不吉なんだよね。

テルファーとの約束もあるしここで処分しておこう。


                続く

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