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ラッカマン

父さんのお陰でゾークもずいぶんよくなった。

でもまだ油断できない状況。


うわああ!

ハイが大声を上げ転ぶとついに馬車は動きを止める。

何て荒いんだ。これではゾークでなくても気持ちが悪くなるさ。

「着いたぞ。ほらとっとと降りてくれ」

客だと言うのに乱雑に扱われる。

どうやら僕たちが田舎者で子供連れだから舐められてるのだろう。

父さんは笑顔で対応。テルファーが睨みつける。


さあここからは歩くことになる。

体調の優れないゾークのためにも外の空気に当たった方がいい。

「待って…… 」

「ほらお前らついてこい。ここからはテルファーが案内してくれるとさ」

「分かったよ父さん。それよりゾークをどうしよう? 」

いくら飲んだとは言え完全回復とは行かない。どこかで休まないと危ない。

それくらいは合成師だから当然。これ以上危険だ。

「うるせいな。その辺に置いて行けばいいだろう? 」

父さんはいい加減だ。それで今までは済んだだろうが今回はそうは行かない。

ゾークをどうにかしないと前に進めない。

しかし暑くて僕たちではすぐにへばるだろう。だからここは父さんに任せる。


「おいおい何を言ってやがるカズ? 俺は嫌だぜ。冗談じゃない!

ただでさえ上りできついのに重い荷物まで持ってゾークまで抱えられるか! 」

言うだろうと予想はしていたがまさか本気で言うとは信じられない。

「だったらその重そうな荷物を何とかするから」

これでいい。言った以上ハイと交代交代で持って行くつもりだ。

ハイだってきっと喜んで引き受けてくれるさ。


「ふざけるな! ゾークを何とかしろ! ハイお前ならどうにかできるだろう?」

無茶を言って困らせる。

いくらハイが力持ちで体力があっても同じぐらいの奴を抱えるのは大変だ。

大体行きで無茶したら旅が余計に難しくなる。ここは父さんしかない。

僕たちには無理。いくら屈強な戦士でも子供は子供さ。

これがトレーニングの一環ならまだどうにかクリアできるかもしれないが。

ゾークをどうするかで揉める。ほぼ父さんしか選択肢ないのに困ったな……


「どうしたお前たち? 行くのか行かないのか? 」

テルファーが急かす。しかし誰がゾークを?

三人の中では軽い方だがそれでも結構な重さがある。

誰かが抱えるとしたら父さんでそれでも無理ならハイしかない。


ハイを見るが手を大げさに振って拒否。おいおい親友だろう? 仲間だろう?

まさかゾークを置いて行く気か? 信じられない。

すると父さんがお前やれと身振り手振りで。

「僕には無理。父さんには翼があるでしょう? 僕たちを一飛びで連れてってよ」

ドラコにあって父さんにないのは不自然だ。

「バカ! テルファーがいる前で何を? 」

父さんは意外にも冷静。テルファーだってそれくらい…… 

そうかテルファーはおじのジャックに当然報告するだろう。

ジャックは父さんの友人だが悪友だから弱点を晒したらまずいのか。

黙ってる訳もないと。だったら確かに余計なことか。

これ以上他の者に知られたくないもんな。

でも竜人なのはバレてなかったっけ? チキンで共食いとか言ってなかった?


「もう何だよ。別料金になるがいいのか? 」

テルファーの交渉術。

「よし。それでいい。頼んだぞテルファー! 」

父さんがおかしなことを言う。まさかテルファーに運ばせる気か?

これはただの荷物じゃない。ゾークだ。人間の重さに耐えられる訳ない

いくら僕たちより年上で山育ちのワイルドだとしてもテルファーは女の子。

「毎度! だったら誰か先導を頼む! 」

そう言って軽々とゾークをか担ぎ上げる。

前に抱えると重いので背中で背負うことにしたらしい。

それにしても軽々と担ぐな。まるでゾークがただの人形のよう。


「大丈夫テルファー? 重くない? 手伝おうか? 」

さすがに無理だろうとテルファーの横に着く。一応は皆の世話係だからな。

「いいから先に行って! 気が散る! 」

テルファーは報酬に目が眩んだのか嫌な顔一つ見せない。嬉しそう。

意外にも超人級の力をお持ちで。超人であり強靭であり狂人だろうか?

ジャックが使いにしたのも納得。見た目かわいいのに実際は引き締まった筋肉。

頼りになるお姉さん。どれだけの秘めた力があるのか一度試してみたい。

いや…… 別に変な意味で言ってるのではなくただ純粋に興味があるだけ。


「こっちか? 」

父さんとハイに先導してもらう。

あまり当てにはならない。いつでもサポートできるようにしよう。

「ちょっと親方? うわああ! 」

もう父さんをキャプテンと呼ぶこともなくなった。


「カズ離れろ! 」

二人が揃って落とし穴に落ちてしまう。

もう誰だよこんなところに落とし穴を掘る最低な連中は?

もちろん人間とは限らない。と言うかこんなところに人間がいるのか?


モンスター出現。

ラッカマンの超ラッカでどんどん落とし穴ができる。

どうやらこれを回避して進むのはそう簡単ではなさそうだ。

「おいこっちにも! 」

どうにか落とし穴から脱出した父さんとハイ。

新たにもう一体ラッカマンが現れた。

そうして辺り一帯を落とし穴に変える。味な真似をしてくれる。


「どうしよう親方? 」

ハイは何も考えずに父さんにしがみつく。

「知るかよ。また落ちる前に逃げるしかないだろう? 」

どうやら落とし穴に落下しても被害は僅かみたいだ。なら放っておいてもいいか?

ただこのままでは全部に落とし穴を掘られて終わりだ。


「カズ三歩下がれ。ハイは二歩前に」

父さんの指示に従って落とし穴回避? いや違った。

ただ落とし穴に自ら嵌っただけ。

「父さん! 」

「酷いっすよ親方! 」

「うるさい! よく見てろ」

そう言うとラッカマンは落とし穴に落ちる。もう一体も同じように落下。

互いを落としてしまう穴の穴。バグが発生した。

ラッカマンは穴から這い上がることができない。

自ら墓穴を掘る結果に。


こうしてどうにか穴ぼこを避けて先に進む。

ラッカマンの超ラッカから逃げ切った。


レベルアップ!

三人のレベルが6になった。

父さんの酒量がアップした。

テルファーの大胆さがアップした。

レベルアップしてもゾークの体調はそのまま。


                  続く

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