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新たなヒロイン・テルファー

待ち合わせのバーにはジャックが現れず途方に暮れているとハイが騒ぎ出す。

何だろうと振り返るときれいなお姉さんがこっちに。これはラッキー?

「ほら邪魔だって! ガキは早くお家に帰りな! 」

大人っぽいと言うかただのお姉さんではなさそう。 

言葉遣いも悪いし怖そうでもあるのでこれは関わらない方がいい。

いくら素敵できれいでかわいくても口と性格が悪ければ相手にしないに限る。

自ら危険を冒すバカはいない。これはマローンおばさんの言葉。

だがいくら僕がそう考えてもこちらには怖いもの知らずのハイがいる。


「へへへ…… あんたかわいいね。どう俺たちと一緒に話さないか? 」

ハイはいつもこれをやってビンタされ振られるを繰り返す。

村では勘違いのハイで通っている。まさかここでもやるとは度胸だけは認めよう。

最近は成長してここまではしてなかったが興奮しておかしくなったに違いない。

それほど素敵な女の子。フォレーセスなど彼女の足元にも及ばない。

足も長くスタイルもいい。顔も全体的に小顔で肌は小麦色だがそこまで濃くない。

スカートよりもパンツが似合う。変な飾りも偽ダイヤもお洒落だ。

僕たち田舎者に比べたら天と地ほど。フォレーセスではとても太刀打ちできない。

うわ…… ついフォレーセスと無意識に比較して貶してしまう。さすがに悪いか。


「うるさいガキども! 私はジャックの使いでここに用があるのさ。

ガキどもに言っても分からないだろうから早く帰りな! 」

彼女はあの目つきの悪いジャックの使い。と言うことは最低最悪の男の知り合い。

まさか考えたくはないけどあの最低な奴の女なのでは?

それだけはどうしても考えたくなかったがこれが現実さ。

もういくらハイが無謀でも相手があのジャックでは敵うはずがない。

ここは切り替えて大人しく話を聞くか。


「ええっ? ジャックってあの入れ墨一杯の危険人物?

マーケットでロクなものを売らないあのろくでなし? 」

つい特徴を伝えてしまう。これで合ってるよな? もっと言った方がいい?

鈍感ならまだ気が付かない恐れがある。 


「あんたジャックおじさん知ってるの? するとあんたたちも使い? 」

意外なことを言う。ジャックおじさんの使い?

それって関係はあるけど彼女はまだ安全だと言うことにならないか?

最悪の想定ばかりしてたから安心したら気が抜けた。

それはどうやらゾークもそうみたいで崩れ落ちたかと思ったら突然笑い出した。

ハイが心配するほどの変わりよう。

「おいゾーク? お前どうしたんだよ? 体調が悪いな早く言え! 」

意外にも仲間思いのハイ。でもすぐにいつものハイに戻る。

「おいどうなんだよ? 聞いてるのか? 」

「ふふふ…… そうなるかなお嬢さん。それで…… 」

ハイが格好つけるが無視して僕に。


「今晩ジャックと父さんが待ち合わせることになっててそれで…… 」

「酔い潰れて代わりに用件を聞いて来いと? 」

「そんなところです」

互いに代理。肝心の本人がいない中で出会えたのは奇跡? さすがに大げさか。

「だったら早く言ってよ! 目的地は魅惑の大都市・ベネットでいいんだろう? 

よしさっそく今から行くよ。ついて来な! 」

かなり忙しい女の子。今からって本気か? もちろん冗談のはずないよな。 

仕方ない。ここは父さんを叩き起こして出発しますか。

本当は置いて行ってもいいけど父さんがいないとまず無理だろうし。

詳しい場所が分からないとたどり着けずにただ都会見学するだけになる。


「それで君は? 」

ゾークが興味を示す。

「私はテルファー。ジャックの姪だよ。あんたらは? 」

「俺は…… 」

自己紹介を済ませついに新たなヒロインが仲間に加わった。

これでハイとの約束も一つ果たしたことになる。

テルファーと共にベネットへ急ぐ。


「ああん? カズどうした? もう朝か? 」

酔い潰れた父さんをハイと引っ張っていく。

重いなあ。ハイの奴手を抜いてないか? 

「いいからキャプテン! 」

ハイは従順だ。しかしやってることは無理やり起こし引っ張ってるんだよな。

絶対尊敬はしてないだろう? まあ僕も人のこと言えないけどね。


「ジャックは? 」

「だからその使いがテルファーだって何度言えばいいんだよこの酔っ払いが! 」

うわ…… ハイってば父さんが朝には忘れてるだろうと酷い言いよう。

「おいハイ! 」

「だって急がないとテルファーが行っちまう…… 」

焦ってるハイ。新たなヒロインのテルファーに夢中だ。

どうせいつものよう相手にされないのによくやるよ。


「ほら行くよ! 」

テルファーはあっさりしたお姉さんタイプで僕たちを引っ張ってくれる。

「それでこの姉ちゃんは?  」

ダメだ。何度説明しても分かってくれない父さん。

「おっさんも足手まといにならないようにくれぐれも気を付けてくれよな」

口は悪いがとにかくかわいいのは間違いない。

ゾークもついて行きますとだらしない。

「それで何で急ぐんだ? 明日でも構わないだろう? 」

父さんは文句ばかり。テルファーの機嫌が悪くなったらどうするんだよ。

「嫌なら案内しないよ」

今すぐでないと嫌だそう。時間がもったいないと。でも夜に動くのは危険な気も。


「馬車にでも乗ろうか? 」

ゾークはもう疲れたらしい。

ベネットがどこか知らないが馬車でも乗らないとずっと歩くことに。

「馬車は難しいと思う。お金がないから」

テルファーも父さんもお金は大して持ってない。だから全員が乗るにはギリギリ。

行きに使えば帰って来れなくなる恐れもあると脅す。それが常識でしょうと。

どうやらテルファーはジャックから金の使い方について厳しくされてるらしい。

なるべく馬車は使わずに歩く。報酬は後払いだからだと。

ジャックは父さんと古くからの仲。テルファーも父さんとも何度か。

だから今回も面倒臭いベネットへの旅を任されたと。


「先払いならもっと楽ができるけど。ジャックの話だと大体後払いで遅れるって。

だから仕方ないのさ。あんたらも我慢しな」

金に細かいテルファーと金払いの悪い父さんの相性は最悪なのでは?

少し心配になる。


マーケットから一つの村を超えてどうにか今夜はここまで。

酔ってる父さんのことも考えてこの辺りで休むことに。


                 続く

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