ジャック
今度の旅は魅惑の都市・ベネット。
父さんに誘われ新たなアトリエを求め旅立った。
まずは近くで情報収集し装備を完璧にする。
でもそれもすべて父さんに任せておけばいいさ。今回の旅は本当に楽だな。
マーケットでベネットに詳しい者を見つけるついでにレアアイテム探し。
こう言うところに掘り出し物があるんだよな。一日中いても飽きない。
父さんに我がままを言って一つだけ高価なものを買ってもらった。
充分満足したところで例のお婆さんに話を聞く。
「あの一応聞くんですが…… 」
「はい? ああ一億ね。ありがたいねこの人は。どうぞこの箱に入れておくれ」
「いや違うんです。一枚」
「ああ一枚ね」
タオルを買う。大汗を掻いた時には役に立つ優れもの。
「それは何? 」
大きな箱には何か書いてあるが難しくて読めない。
「大安吉日さ。今日みたいな素晴らしい日に寄付すると素晴らしい人生送れるよ」
「へえ凄いな。だったら…… 」
「騙されるなカズ! 大安吉日は昨日だとカレンダーに書いてあるぞ」
ここには全国から集めたカレンダーも売られている。
すぐに確認できるので吐いた嘘がすぐにバレてしまう。
「ははは…… 昨日だったかい? 忘れたね。もう年だからさ。それより何か?」
ごまかしたな。わざとやってるだろう。これは悪質。
「婆さん。あんたベネット出身だって言うじゃねえか。協力してくれよ」
ここは大人しく父さんに任せよう。交渉術は父さんが上手だ。
いつも適当なこと言ってごまかしてるからな。その能力はずば抜けている。
「はいはい。それは隣のジャクソンだよ。誰だい嘘を言うのは? 」
どうやら間違って伝わったらしい。伝言ゲームはこれだから難しい。
この分だと噂も当てにならないかな。
「おおブラザー元気にしてたかい? 」
陽気な全身に気味の悪い蛇の入れ墨をびっしり入れた怖そうなおじさん。
もう僕は一言も喋れない。何を食ってるのか気になるが聞くのはよそう。
マローンおばさんがそう言う人がいても気にしてはダメだ。
その人の個性だからねと。でも個性と言うより恐怖なんですけど。
気にはしないけど目を合わせないようにしよう。
「おおジャックじゃねえか。久しぶりだな。まだ悪さしてたのか? 」
どうやら父さんの悪仲間らしい。これはラッキーなのか?
「紹介するぜ。こいつは息子のカズだ。こっちは最低最悪の大悪党ジャックさ」
「おい子供に嘘を教えるなって。本気にするだろう? 」
「そんなことよりお前ベネット出身なんだってな? 」
「まあそう言えなくもない」
「はっきりしろジャック! ぶっ飛ばされてえのか? 」
怖そうなおじさんを責め立てる。これは父さんの方が強い? 偉い?
「ブラザーいいぜ。本当のことを教えてやる。俺はその隣の出身だ。
前にも言っただろう? 忘れちまったのかよ? 」
「ああ…… そう言えばそんなこと…… 何でもいいから行き方を教えろ!
俺たちは今からそのベネットに行くんだからよ」
交渉は強引だけど上手く行きそう。さすがは父さんだ。頼りになる。
もし僕だったらきっと一睨みされて逃げ帰っただろうな。
さすがは僕の父さんだがトラブルの臭いがする。
「分かった。だったら今夜の九時に待ち合わせだ。明日一番に連れて行ってやる。
だからこれ以上商売の邪魔はやめてくれ」
以外にも店の評判を気にする気の小さい悪党。
確かに周りにはお客さんが一杯。だからって気にするタイプかな?
タバコを吹かして何かやばい薬をやってそうな見た目のジャック。
これはもちろんただの偏見じゃない。だって臭うんだもん。
父さんはどうか知らないが僕はこのジャックを信用してない。
こうしてジャックの案内でベネットへ。
「おーいカズ君! 」
相変わらず分かりやすいゾーク。ハイよりも大声を上げてうるさい。
ハイはそうすると不機嫌なのかと言うとそうでもない。
目当ての品など最初からない。あるのは食欲だけ。
手当たり次第口に入れていくハイの食欲旺盛なこと。
「ゾークうるさいぞ! どうした何か手に入ったのか? 」
父さんはすべてうまく行ったともう一杯飲んでいる。
確かに順調だとは思うが余裕こくほどでもない。
「キャプテン! 見てくださいよ」
「よしカズ。お前が聞いておいてくれ。俺は忙しい」
「分かったよ」
まずいな。このままではすぐに酔い潰れてしまうぞ。
これでは約束の時間には起きれないだろう。どうしよう?
「それがね見てよこれ…… 」
自慢したくて仕方ない様子。買い過ぎてないか?
何だこれ? 見たこともない変な物体。
「エイリアンのウンチと化石」
どうやら偽物を掴まされたらしい。まだ子供だから仕方ないか。
でも一体こんな偽物にいくら払ったんだよ?
「ゾークコレクションにするのか? 」
「うん。できればそうしたい。でも価値が分かったら売って別のもの買おうかな」
本気で値段がつくと思ってるらしい。エイリアンがいるはずないだろう?
あれは大人が夜更かしする子供を怖がらせるための嘘でしかない。
マローンおばさんはエイリアンは夜な夜な殺して回ってるって滅茶苦茶言う。
それじゃあ人喰いオオカミだよ。
「それとレアアイテムのハニーハニー」
何とハニーハニーが売っていたとはこれは驚き。
季節の関係もあってこの辺りでは売ってることの方が珍しいレアアイテム。
食べると甘くて頬がとろける。それくらいのお菓子かな?
本来はパンに塗るのが一般的。
レアアイテムであるのは間違いないのでどこで売っているか聞く。
「ごめん。混んでてどこまでか覚えてない」
情けないことを言う。仕方ない今日はこれくらいで我慢しよう。
ハイがゲップして腹をさすってる。たらふく食べたんだだろう。
「腹が痛ええ! 」
ダメだ。足を引っ張ってばかりのハイ。期待する方がバカだった。
「おいハイ大丈夫か? 薬飲む? 」
「心配するなって俺は不死身さ。そうだこれが落ちてたんだ。何だろう? 」
そう言って手に握ったものを投げ捨てる。
卵…… 何の卵だかは分からないと。
とりあえずポケットにでも入れておこう。さあ父さんのところに……
続く




