父と娘の感動の再会
とにかく広場へ。
ドラコを連れて広場へ走る。さすがにノロノロ歩いてられない。
急いで父さんに二つのことを教えてもらわないと。
なぜ母さんを裏切ったのか?
父さんは竜人なのか? 僕たちも竜人の血を引いてるのか?
聞きたいようで聞きたくない。そんな複雑な感情がある。
でもこれってファンタジーでしょう? 違うのか?
走ってる間も嘘であって欲しいと祈るような気持ち。
ドラコはただの嘘つきでよく友だちをからかう困った子。
兄妹も適当に作り上げた妄想。嘘を言って後に引けなくなっただけと思いたい。
そうすれば僕の父さんはまだどうにか立派な人のままでいられる。
王子を暗殺しかけたのもただのミスで済む。
広場には人間は僅か。鳥や小動物たちが歩き回っている。
と言ってもその僅かな人間が父さんとソラだ。
でもこれって人間って言えるのか?
僕も父さんもソラもドラコだって半分人間で半分ドラゴン。竜人でしかない。
そんな風にどうしても考えてしまう。
でもそれもドラコの嘘でまったくのでたらめだったらいいんだけど。
「おい飛んでみろ! 」
そうやって広場のイスからジャンプさせる父さん。
ソラに何てことを? そう言えば僕も飛ぶ訓練をさせられていたっけ。
あれは…… 五年ぐらい前だった。僕も飛ぶことに憧れて特訓してもらった。
「ふふふ…… 」
微笑ましい光景だと笑うドラコ。恐ろしい…… 何を考えている?
ソラはまだ小さいんだから怪我でもしたらどうする?
まだよく分かってない女の子なんだぞ?
「お兄ちゃん…… 」
顔をぶつけ泣いてるとこっちに気づき笑うソラ。我が妹ながらかわいいなと思う。
ドラコも笑っている。これは微笑ましいと言うよりも大笑いして下品。
僕たち親子を馬鹿にする気か? いやドラコも妹だったよな。
「父さん…… 」
「カズ…… 」
ついに父さんが振り向いた。
さあここからが本番だぞ。どうなろうと覚悟はしている。
でもできれば何も変わらずにいたい。
子供ながらに無理だって分かってるけど。それでも……
「お帰り。そっちはお友だちかな? おおそれともカズの恋人か? 」
ふざけてからかうが無理やり笑うも目は笑ってない。辛そうだ。
ドラコを忘れたとは言わせない。娘だろう? 違うなら違うと早く否定してくれ。
僕だって父さんが否定してくれたらどれだけ嬉しいか。
「カズ。ソラを…… いやいい。ソラはそこで遊んでろ」
「うん」
無邪気なソラ。広場を駆け回るが僕たちから離れるようなことはない。
まだまだ怖がりさ。でもきっと大丈夫だろう。その翼があればね。
背中に生えるであろう見えない翼を見る。
「この子はドラコって言うんだ」
一応は自己紹介。
「おいおいこれはファンタジーだぜ。そんな重い話はよせよ」
どうやら父さんはどうにか言い逃れようとしたが無理だと分かってごまかした。
ファンタジーかどうかなんて僕には関係ない。
「父さんだってドラコを知ってるんだろう? 」
「ああ知ってるよ。お前だってもうすべて知ってるんだろう? 」
どうやら観念したらしい。
確かにファンタジーには相応しくな重い展開。
いつになく真面目な父さん。もうふざけてギャグを言ってる余裕はない。
母さんもいないのに修羅場。雰囲気は最悪だ。
「うん。実は僕だけじゃなくてハイもゾークも知ってるんだ」
このことは黙っててもよかったけど父さんが知らないままだとまずいから。
たぶんこの後二人を呼び出して誰にも言うなと注意するんだろうな。
尊敬してるハイも大人しく真面目なゾークも父さんの命令にはきちんと従う。
僕としてもこれ以上他の誰にも知られたくない。
僕たち家族はただでさえ王子を暗殺しかけたことで村で居場所がないのだから。
「それなら隠しようがない」
重い展開で誰もが暗く沈んでいる。
その中でソラだけが無邪気に広場を駆け回っている。
「ごめんなさい。王子を毒殺しかけたって聞いたから心配になってお兄ちゃんに」
初めは隠してどうにか話をとしたがその内仲間になって隠しきれなくなったそう。
そんな風には見えなかったがドラコも悩んで苦労したんだろうな。
言ってることがすべて事実ならドラコも可哀想だよな。
「でも本当なの? 父さんに別の相手がいてその子供がドラコだって」
今でも信じられない。ドラコにすべて聞かされてもまだ疑ってる部分がある。
だって父さんってそう言う人じゃない。
マローンおばさんの悪ふざけかただ大げさに言ってるだけと思っていた。
「おいおいそれは些細なことだろう? 問題はそっちじゃない」
確かに父さんの言う通りだけど些細なことではない。
何てことを言うんだ? 見損なったよ父さん。
でもだからって言えない。父さんを責めれない。まだ父さんを信じてる。
それにまだ僕は子供だから本当のところよく分かってないし。
「母さんには言ったの? 」
「だから言える訳ないだろう? 他の人と隠れて付き合ってその上子供まで……」
うわ…… 最低最悪だ。でもそれよりももっととんでもないことがある。
衝撃的な事実。ドラコが突きつけたあれは本当なのか?
聞きたくはないけど直接確認しないと気が済まない。
「父さんはドラゴンなの? 僕はドラゴンの子供なの? ソラも? 」
この際ドラコがドラゴンだろうと何だろうと構わない。僕には関係ないんだから。
ドラコには悪いけどそう言うこと。大切なのは僕たち一家のことだけ。
うわ…… 僕って本当に酷い人間だな。
「そうだ! お前は俺の子だ! 誰が何と言おうと俺の血を分けた子だ! 」
それくらい知ってる。またごまかして何も認めようとしない。まだ粘るらしい。
いや無理でしょう? もう言い逃れは不可能。悪ふざけもできないよ。
もう後は父さん次第。僕は黙ることに。どうせ父さんは我慢できないだろうし。
ドラコだってこの状況を自分からどうかしようと思ってないだろう。
一人広場で目を輝かせているソラ。あんな風に無邪気に駆け回れたらいいな。
でもソラもいつかはこの話を聞く訳で。その時はたぶん僕から言うことになる。
するとドラゴンアイランドに行くメンバーがまた増えたことになるのか?
続く




