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ライトニング

アトリエの候補先が偶然見つかる。

まさかのドラコの家。嬉しいけどこれってやっぱりまずいよな?

ガキでも分かること。たとえ父さんが気にしなくても母さんが気づく。

最悪の展開。毎日のように喧嘩が起きるぞ。危険だ。あまりに危険過ぎる。

いくらお勧めされても僕は反対だ。お勧めしない。


「ありがたいけど…… それは両親に確認しないと無理。

大体父さんが賛成するはずがないだろう? 」

それくらい僕だって分かるのになぜ勧める?

「もう! 間抜けなことして王子の逆鱗に触れてどうにもならないんでしょう?

別に我が家って話じゃない。借りていたお隣さんが出て行ったからそこをって話」

意外にも考えてるドラコ。それなら悪くないか。


「でも父さんが…… 」

無理に決まってる。僕はまだ子供だから大人の事情は知らない。

僕の情報も知識もマローンおばさんから。それだとダメな気がするんだよな。

「もうそんなこと言わない! パパなら説得する。お兄ちゃんは黙ってって! 」

うわ…… 怖い妹。興奮すると背中辺りが反応。気のせいか?


「ああこれ? お兄ちゃんもきっといつか同じように翼が生えて来るよ。

私たちは人間とドラゴンのハーフだから」

「いや…… 別に翼に憧れてないって」

そう言えば前のレベルアップで見えない翼が生えて背中辺りが気になっていた。

これがドラコの言う翼か。竜人の証って奴だろうか。

「そんなこと言って。だったら何でドラゴンアイランドに行こうとしてるの?」

「だから合成の成果を見せるために来年の夏に行こうって父さんが」

「ホラやっぱり。故郷に親子で帰ろうとしてたんでしょう? 」

ドラコはどうも人の話を聞かない。ドラゴンアイランドは旅行先の候補の一つ。

他を選んでいたら当然違う冒険になる。父さんも好きなところを選べと。


「まさかドラコも来年の夏に来る気じゃないよな? 」

「はあ? まさか…… 」

「そうだよな。そんなはずないか。ははは…… 」

「まさか行かない訳ないでしょう! 何を言ってるのお兄ちゃん? 」

初めからその気らしい。どうやら来年の旅は大人数で行くことになりそうだ。


ううう……

ドラコと話してるとハイが意識を取り戻した。

「おいハイ? ゾーク大丈夫か? 」

「痛てて…… 俺は何を? ほらゾーク立てって」

ようやく二人は元に。

「おいハイ大丈夫か? それでお前は翼に憧れてないだろう? 」

「はあ? でも格好いいな。もし生えたら俺にも貸してくれ! 」

「そうそう。僕だって欲しい。それでドラコちゃんはどんな…… 」

起きて早々適当なこと言いやがって。翼を貸せる訳ないだろう?

ゾークの奴はどさくさに紛れて何を言ってるんだか。


「ぎゃああ! 」

意外にも激し叫び声を上げゾークを叩く。

そうすると勢いよく吹き飛んでしまう。うわ! 情けないな。

「おいドラコ何をやってるんだよ? 」

一応は注意する。当然悪いのはゾークの方だけど。

軽くではなく思いっきりやったっぽいからな。

ゾークが怪我したらどうするつもりだよ。

「ごめんなさい。つい加減できなくて。でもこの人が嫌らしいこと言うから」

「違うんだ。僕は…… 」

繰り返そうとするので止めてきちんと代わりに説明する。


「はあ? どんなウンチをするか? 同じじゃない! 」

そう言って再び吹っ飛ばしてしまう。ハイも巻き込まれるトラブル。

「そうか…… まあいいや。それで翼は本物? 」

「お兄ちゃんもきちんと修行を積めばすぐにでも翼は生えて来る。

一年以内に生えると思うから。

アドバイスはありがたいが別に空を飛びたいとは思ってない。


「ちょっと待ってくれ! ドラコがそうならソラも? 」

我が妹のソラ。天空に羽ばたくとソラにしたって父さんが。

するとソラはやっぱりドラコと同じように翼が生えるのか?

嬉しいような悲しいようなそんな中途半端な状態。

うーん。どうしよう? 家に帰るのが嫌になってきたぞ。

そう言えば昔からどことなく他の人とは違うなって気がしてたんだよな。

ドラゴンアイランドを目指すのは冒険したいからじゃないってことか?

ただ故郷に戻ろうとしてたから?


「どうしたカズ? 」

「何でもない。それよりもそろそろだよな」

洞窟の最深部に間もなく到着する。一体ここには何があるのか?

だが最深部は特に何もない。ただ行き止まりになってるだけ。

「ドラコ? 」

「おかしいな。ここに確か重要なアイテムがあるはずなんだけどな。

ごめんお兄ちゃん。私も初めて行くから…… 」

どうやらこれ以上は道がないらしい。


「仕方ない。脱出の羽根を使って戻りましょう」

そう言ってレアアイテムを取り出すドラコ。

これは僕たちでも作れない合成不可のレアアイテム。

もし道具屋に持って行けば高く買い取ってくれるだろう。

そうしたら僕たちは大金持ちさ。これで何も気にせず合成しまくれる。

だからなるべくなら使わずに自力で脱出したい。

合成師の間ではフェアリーと呼ばれている。父さんだって見たことないって。


「待って! 」

ゾークが何かを発見したらしい。うん? まずいライトが消えかかってる。

「嘘! お兄ちゃんどうにかして? 」

「ドラコが本物ならライトニングぐらい使えるだろう? 」

「無理! ライトニングは口から吐き出さないとダメ。恥ずかしくてできない」

ドラゴンよりも人間が勝っているよう。でも今はそんなこと言ってる時じゃない。

急がないと洞窟で遭難するぞ。


「ハイ! ライトニング! 」

「人間ができるか! それよりドラコが後ろを向けばいいだろう? 」

これは意外にもまとも。一番活発でヤンチャなハイだから思いつくこと。

「ほらドラコ。お願い」

「嫌! 絶対無理! お嫁にいけない! 」

ダメか。仕方ない。ここは違う手を考えよう。


「リーダーのゾークならできるよな? 吐くのが趣味だから」

「ちょっと待って…… やってもいいけどただ吐くだけだよ。普通の人間だし」

どうもこいつら僕たち兄妹を馬鹿にしてないか?

僕だって普通の人間だ。ライトニングなど会得してない。

あーあこれなら冒険の前に師匠に教わっとくんだった。


                続く

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