我がままなドラコ
ドラコの正体が判明し僕たち親子の隠された秘密まで。
まさか父さんが竜人だったとは夢にも思わなかった。
では気を取り直して洞窟探索を続けるとしよう。
「ちょっと待て? すると兄さんは洞窟の奥にはいないんだよな? 」
もう一度確認。僕たちはずっと無駄なことをしていた?
「そう。本当はお兄ちゃんだけに打ち明けたかったのに仲間がいるから。
どうせお兄ちゃんのことだから秘密にはしておけないでしょう? 」
こっそり伝えるのは無意味と我が妹ながら兄をよく理解してる。
頭の回転も悪くない。顔だって竜人にしては悪くない。もう自慢の妹だ。
「それで俺たちはどうすればいい? てっきり普通の人間だと思ったのによ」
ハイは文句を言うがそれは僕には関係ない。
「僕もドラコちゃんはただのかわいらしい妖精だと思ってた…… 」
ゾークまで。でもこれは僕のせいでもない。どうしようもないこと。
騙される方が悪い。まさかドラコではなくその兄に責任を取れと言うのか?
それはないよ。今さっき聞かされたんだからさ。こっちだって分かるか。
大体妖精には初めから見えなかっただろうが。でかすぎるよ。
「すると妹のドラドラ…… 」
「ドラドラって? 確か妹の名はソラだったような…… 」
不思議がるドラコ。
「だから父さんがドラゴンとのハーフでその娘がソラ。ドラドラだろ? 」
そう妹のソラ。でもソラってかわいい名前だけどあの空に通じてるんだよな?
まさか父さんはドラゴンを意識して名付けたのか?
するとこのカズもドラゴン関係? 後で確認するか。
「そんなことよりこれからどうする? 」
「だったらグリーンドラゴンを復活させたら。私この近くの村に住んでるの。
ママが違うだけだから。パパもたまに顔を見せに来てくれた」
洞窟探索は兄探しからグリーンドラゴン探しへ。
急展開でついて行けない。どうしてこうなったのか?
「もう帰ろうぜ。ここにいたらよくないことが起きそう」
何となくそう思う。
「考え過ぎだよお兄ちゃん」
お兄ちゃんって言ってるがドラコは一体いくつなんだ? サバ読んでないか?
女性に年を聞くのは失礼だけど妹だから文句ないよな。
「それでお前いくつだ? 妹なのは理解した。それでいくつだ? 」
「後でパパと会った時にしっかり話すから。それまでは黙ってろって」
どうやら兄妹がいると知ったのはここ数年らしい。
複雑な関係になりつつある。さあどうしようか?
「分かったよ。よしだったらグリーンドラゴン探しだ! 」
オウといつもならハイが叫ぶのにどうも後の二人が大人しい。
これはどう言うこと?
「おいどうした? ドラコの我がままに付き合ってやってくれよ」
二人には悪いなと思う。僕だって今知ったがそれでもドラコはかわいい妹だ。
返事がないので振り返る。
「おい怒るなよ。なあ…… ハイ? ゾーク? 」
何だか本当におかしいな。雰囲気が全然違う。下を向いてブツブツ呟いてる。
二人でお喋りしてる感じでもない。一体二人はどうしたんだ?
「まずいってお兄ちゃん。二人とも憑りつかれてるみたい」
「うぎゃあああ! 」
突然の異常行動。まるで化け物のようなうめき声を上げる。
もう普通じゃないのは誰の目にも明らか。
ああどうしてこうなった? もう意味が分からない。
そんな風に頭を抱えても二人は襲って来るだけ。
「おいゾークやめろって! ハイもふざけるな! 」
呼びかけるが反応しないどころか悪ふざけをやめない。
どうやら本当に憑りつかれてるらしい。
「ダメだってお兄ちゃん。二人はもう諦めよう! 」
二人を置いて逃げようとするドラコ。それだと仲間を見捨てることになる。
そんな薄情なことできるはずないじゃないか。
「よし分かった。気付け薬を飲ます。こんな時のために持ち歩いていたんだ」
飲ませるのは難しいのでかけてみるが変化なし。より凶暴になってる気がする。
「見てあの花! ドンドン花が開き始めてる。
あれは洞窟花の一種で十年に一度花を咲かせる珍種。
恐らくあの花をどうにかすれば意識を取り戻すと思う」
ドラコは詳しい。どうやら母さんが世界の花の研究してるらしい。
今はドライフラワーとファイヤーフラワーに凝ってるそう。
「どうしようドラコ? 」
「その花を枯らすの! 除草剤で根ごと枯らしなさい! 」
もはや命令。生意気な妹だ。しかし今はそんなこと関係ない。
急いで除草剤を探す。そんなものあったっけ?
「もう何やってるの? ほらこれで! 根ごとごっそり行って! 」
我が妹ながら頭が回る。ただ言ってることが少し怖いな。
ドラコの言う通りに除草剤を振りまく。
「まだもっと沢山! 景観の邪魔になるから取り除くの! 」
どうも意味不明だがとりあえず洞窟花を枯らして任務完了。
これで二人も元に戻るだろう。
「おいハイ? ゾーク? 」
揺らすが反応がない。
「放っておいた方がいいよお兄ちゃん。余計なことしたら危ない」
自然に目を空けて立ち上がるのを待てと。
仕方ない。ここはこの後のことを話し合っておくか。
「そろそろ戻ろうかドラコ? ここにいたらまた同じ目に遭うぞ」
「グリーンドラゴンは? 」
「それはまた今度にすればいいだろう? 」
「ダメ! 今日中に見つけるんだから! 」
我がままなドラコ。こんな甘えてたっけ?
「分かった。分かったよ。ドラコの好きにしたらいい」
「そうだ。もしかしてアトリエ追い出された? 」
ドラコは王子暗殺未遂の噂を知ってるらしい。
「ははは…… 詳しいなお前」
「実は…… パパに黙ってるように言われてたんだ。
でも大事なアトリエを失ったなら家に来ればいいよ。皆で引っ越してきたら? 」
新たなアトリエの候補先が見つかった。
続く




