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ゾークのこだわり

ハイとゾークによるアイテム集め。

三日に一度ぐらいで持って来てもらっている。

「それで今日はどんな感じ? 」

聞いていいのか迷う。どうせロクなのを集めて来ない。

まだハイはいいがゾークは癖が強いからな。

嫌な予感しかしない。何となくだけど嫌な臭いもする。


はちみつとニンジンのカケラと鳥の羽。

ハイは例によって家からはちみつとニンジンを持ってきた。

鳥の羽って…… あまり聞きたくないな。

「凄いだろう? 鳥の羽はその辺に落ちてたものを拾った」

「おいおいまさか不死鳥の羽じゃないよな? 」

「さあカラスの羽じゃないのか? 黒っぽいし」

不死鳥の羽は合成すればとんでもないものができると言われている。

だがカラスの羽は大した価値はないからただのゴミ。混ぜてはダメだ。


「ハイはもう! ニンジンはこれじゃないと言ったろ? 

ガキじゃないんだから忘れるなよな」

「忘れてないけどどさ。本物の方は監視がきつくて…… 」

村一の大金持ちのところから高級人参を盗もうとするハイ。

そんなことしたら僕まで叱られる。

「いいんだよそこまでしなくても。人の家から盗むな! 落ちてるのを頼むよ」

「でもそれだとロクなのがないしよ…… 」

反省する気はないらしい。これだとまたやりかねない。

僕のせいにだけはしないでくれよ。


しかし強くは言えない。興味を失われたら困るから。

どうやらまだ飽きてないらしい。二人を飽きさせないようにするのが大事。

そうしないと僕が搔き集めることになる。それでは合成してる時間がなくなる。

毎日合成しないと腕が鈍ると父さんも言ってたしできれば一年後に冒険がしたい。

伝説のドラゴンアイランドに向けて準備をしている。

その時は二人を連れて行くつもり。父さんも保護者としてついて行くと。

これなら安心だけど問題はどこにあるかだ。何と言っても伝説な島だから。

とりあえず今は回復系アイテムをたくさん作るしかない。


「これだと十年掛かるぞ」

「仕方ないだろう? せめてアイテム表ぐらい用意してくれよ」

回復系合成するには基本が大事だがちまちま探してたらきっと五年や十年掛かる。

だから手っ取り早く凄いのをたくさん作れる万能アイテムを探し出すしかない。


元々は婆ちゃんが始めた合成ショップを形を変えて受け継いだのが母さん。

父さんはその時助手だった。今の僕と変わらない。

そっから合成師になって多少の能力を発揮したと婆ちゃんが。

ただ母さんが凄過ぎるから。今では父さんはやる気を失くしている。


「聞いてるのか二人とも? 」

「でも…… 風が強いし遠くへ行けないから。今度一緒にアイテム探しをしよう」

呑気なゾーク。うん何だこの臭い? やはり今日もあっち系を持って来たか?

凄い臭いがするし間違いないだろう。袋からとんでもない悪臭が漂っているぞ。

マスクを外すと一発で分かる。

常識がないのは二人ともだがハイはまだどうにでもなる。

問題はゾーク。拘りの強いゾークをどうコントロールするかが重要。

そもそもアトリエとは言え家に持ち込む奴があるか。


「それでゾークは何を? 」

「へへへ…… 驚かないでよ。ドロドロのうんち」

うわ…… やっぱり。どうしてこいつはクソかゲロしか興味がないんだよ?

変態なのか? どうしてだ! 人のアトリエをクソまみれにするなよな。

後片付けが大変なんだから。臭いも強烈で消臭してもすぐには消えない。


ゾークは愛称でそっち系ばかり収集するから。

父さんが気に入って。それでゾークと命名した。

クソ集めの名手ゾーク。本当にロクなのがいない。

「お前王子が来るんだぞ? 分かってるのか? 」

これをもし王子に投げつけたら…… お終い。

そうでなくてもこの悪臭の元に感づかれたらただでは済まない。

そんな危険なものがアトリエに持ち込まれてしまった。

いつもならいい加減にしろで済むがもう王子が向かってるからそうはいかない。

急いでこの危険な物体を処分しないと。


「王子にも見てもらいたい。これで合成すればきっと凄いのが作れるさ」

本人は自信満々だからこっちが苦労する。

ゾークはドロドロのクソを大事そうに取り出す。

「どうだ? 臭くないか? 」

鼻をつまんで息を止めるハイ。そこまでするなら僕みたいにマスクしろよな。

大体アイテムに触れる時は念のために手袋とマスク。それからゴーグルも。

ただこれは火にを扱った時用。常にゴーグルをしてる必要はない。

「臭いけどもう臭わない」

「嘘つけ! まだ臭う! 」

ハイはそう言うけど僕はもう慣れたから問題ない。


ドロドロのうんち。

ドロドロとはこの辺の沼地に生息してる両生類のこと。

ウンチをそこら中にばらまいている。よく見ないと踏んづけてしまう。

気にしなければいいけどそうもいかない。

そっち系専門のゾークはドロドロを見つけるといつものように虫眼鏡で観察。

その近くでウンチを見つけたらしい。

本当に小さいから。それが五個も六個もで固まってる。それを集めて来た。

凄いと思う。でももっとマシなものを集めてくれるといいんだけど。


「よし合成開始! 」

助手のくせに勝手に調合を始めようとする。

それは見習い合成師の僕の役目なんだけどな。

「どうどう? 」

ゾークが目を輝かせる。

「問題は何と混ぜるかだ」

いつもタンサンと混ぜるがシュワシュワするただのタンサン毒水に変わるだけ。

タンサン毒水とは飲むと一週間は腹を壊し大量に飲めば骨が溶ける恐ろしいもの。

これを投げつければモンスターだってイチコロ。

暗殺用に一つ持っておくのもいいが間違えて飲んだら悲惨なことになる。


                続く

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