謎の少女・ドラコ
新たな旅立ち。
再びハイとゾークの三人で。
ウッド爺のいい加減な地図を頼りにアトリエ探し。
前回は当てもなく彷徨っていたが今回はきちんとした目標がある。
ゾークに案内を任せてアイテム探しもするがゾークが珍しいものがあると。
立ち止まっては確認。ゾークは目を輝せて凄く楽しそうだ。
あの日以来落ち込んでいたからゾークにとってはよかったのかなと。
でもこれ以上二人を巻き込んでいいのか?
「カズ君? 」
ゾークが見つけたのは価値はあっても合成には向かないもの。
しかもこれはこの辺では買い取ってくれない。
この手のは闇の商人と呼ばれる薄汚れたマントの歯の欠けた不気味な男しか。
そんな奴に鑑定されても結局金にならないと言われ引き取ってもらうことになる。
父さんがそんな風に言っていた。
「おい急いでくれよゾーク! どうでもいいアイテムは拾うと損するぞ」
「待ってよ。こっちにはレアアイテムが…… 」
ハイはまたいい加減なことを言う。
だがもう回復系は充分。無理して集めなくていい。
だから急ごうとするハイの肩を持つか。
「それでこっちでいいのか? 」
「ああごめんハイ。そっちは森だった」
地図が読めるって言うから先頭を任せたのにでたらめに向かっていたのか。
これではいつまで経っても到着しない。
それに森には何が潜んでいるか分からないから近づくなと母さんが言っていた。
それはハイもゾークも同じだろう。
ウッド爺の地図はいい加減で地図には丸がついてるだけ。
紹介先のアトリエはもう少しのはずだがどこだか分らない。
故郷を離れて二つ隣の村に来ている。
前回は東進してフォレーセスに出会ったっけ。
今回は北進している。地図ではこの先の村らしいが雑だから混乱するばかり。
ゾークにすべて任せて大丈夫?
これはきっと迷って暗くなり野宿するパターンだな。
嫌だけど前回の経験があるから怖くはない。人喰いオオカミ以上の敵はいない。
モンスターがいくらいてもこの辺りなら雑魚ばかりだろうしね。
少なくて弱いのにたまに遭遇する程度。
「もう帰ろうよ」
「ゾーク我慢しろ! 」
「でも真っ暗だよ? 」
「そんなこと分かってるって! 」
二人が言い争いを始めた。困ったな。でもどっちの言うことも間違ってないし。
僕はどうしたらいい?
さすがに今からだと帰れば陽が暮れてしまう。
やはりここは無理せずに一泊するのがいいよな。
偶然にも前の時のように洞窟があった。
しかし二人はそこまでバカじゃないはず。だから慎重に動くさ。
洞窟に入れば前回みたいな人喰いオオカミが出現してもおかしくない。
「行こうよハイ」
「そうだな。ここでノロノロしていても仕方ないしな。よし探索しようぜ! 」
ハイはかなり間抜けだが…… どうやらゾークも。
「そうだね。よしだったらこっちに」
二人は躊躇せずに洞窟の中に入っていく。
懲りないと言うよりもう忘れたんだろう。無理に思い出させることないけどさ。
「おい待てよ! どうして二人とも行こうとするんだよ? 」
洞窟に入る入らないで喧嘩が始まる。取っ組み合いの喧嘩でないだけマシか。
「カズ君が気にし過ぎなんだって。大丈夫。ただの洞窟だって」
予想でもなくいい加減なだけ。こっちが悪いみたいだがいつも適当なのはそっち。
後悔するのは目に見えてるのにそれでも行こうとする。
「でも洞窟には何がいるか。オオカミじゃなくてもでっかいモンスターがいるぞ」
「それを見たのかよお前は? 」
「見たよ! さっきチラッと」
「嘘を吐くな! ただ怖いだけだろうカズは? 」
「ふざけるな! 本当だって言ってるだろう? 」
「だがリーダーは俺だぜ。なあゾーク」
「そうそう。カズ君も従おうよ」
ハイもゾークもいい加減だな。まあいいか。奥に進まなければ危険はないか。
でも言う通りにするのも何だかな。
「もしもし…… 」
洞窟に入る入らないで言い争いをしてると目の前にいきなり女の子が現れた。
「どうした? お前も洞窟に入るのか? 」
さも経験者風にするがもちろん皆ここの洞窟に入るのは初めて。
前回は通り抜ける浅い洞窟だった。しかし今回はそうでもなさそうだ。
「はい。兄を探しに。不慣れな者ですから一緒に行っていただけないかと」
丁寧に頼む女の子。これは無視できない。
「私は旅人。兄と二人で旅を続けてるとこ。それで兄がモンスター退治に行くと」
モンスター退治? モンスターハンター?
どうやらお兄さんはモンスターを捕まえては売るを繰り返して来たのだろう。
もう迷う必要もない。用事ができた以上さっそくは行ってみるとしよう。
ついにダンジョンに足を踏み入れた。
「その羽は? 」
気になって仕方がないのでゾークに聞いてもらう。
「これは…… 私妖精なんです。妖精のドラコです。よろしく」
適当に考えたっぽい名前を使って自己紹介を済ますドラコ。
本当は何者なのか? まさか人喰いオオカミじゃないよな?
事実なら歓迎もする。でも明らかに嘘を吐いている。
この謎の女の子の目的は?
「へえ妖精。初めて見る」
ハイは興味津々。あまりにも見過ぎるので嫌がってるのも分からずに見続ける。
「さあ兄を探しに行きましょう」
こうして再び洞窟に誘い込まれる。
前回はウッド爺について行って巻き込まれた。
今回はこの謎の美少女に誘われてだから不安だ。
「うわ真っ暗! 」
前回はウッド爺が装備していたしそこまで中は暗くなかった。
でもここは漆黒の闇が覆っている。行く者を阻もうとしているかのよう。
「これをどうぞ」
そう言うと砂をぶっ掛けられる。
「何だこれ? 」
ハイとゾークがむせる。僕はどうにか逃れたが再び掛けられてしまう。
「魔法の砂です。故郷で流行っている砂で。青く光るんです」
ドラコはそう言うと全身に掛けちょっとずつ前に投げる。
こうして暗闇から逃れることに成功した。
続く




