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三日目・緊急集会

跡形村滞在三日目。

朝…… ウッド爺が騒ぎ出す。どうやらまた犠牲者が出たらしい。

消えたのは四人だそう。昨日よりも一人増えたことになる。

このまま行けば全滅は免れない。


どうもこの村の者ばかり襲ってるのを見ると村の誰かになってるとしか思えない。

しかし誰がその人喰いオオカミなのか?

牙を隠し笑顔で近づく恐らくは村民。今のところ怪しい人物は見つかっていない。

三日前と昨日一昨日で性格がガラリと変わったと言う話もない。

まさか村人じゃないとか? あり得ないことだがそれ以外の可能性も……

ダメだ。ウッド爺を疑ってはいけない。

ウッド爺が変わったのは村に着いてすぐだから関係ないさ。 


ついに村人に召集が掛かる。オオカミ狩りは無理なので集会場で緊急の集会。

僕たちも参加することに。

「大変残念な結果になりました…… 」

昨日三名で今朝四名。合計七名が行方不明に。

村民は三十人弱なのでこのまま続けばあと数日で全滅。


「皆の者どうしたらいい? 」

村長と村長代理のパオの二人が実質この村を仕切っている。

「そんなこと言われても村長…… 」

逃げられない以上凌ぐしかない。誰も何も考えられない状況。

今はオオカミが暴れる心配はないが今すぐに手を打たないと大変なことに。


「だから言ったであろう? 年中行事を欠くなと口を酸っぱく言ったのに」

村長の隣に座るお婆さんが口を開く。最年長で皆から慕われてるそう。

「今はそんな話をしてない! 余計な話で惑わすな! 」

村長は余裕がないのか厳しい。お婆さんはハイハイとふざける。

「早く頼みますよ村長! 」

宿屋の主人も血相変えて反応する。

昨日までは大盛況で大喜びだったようだがどうやら現実に引き戻されたらしい。


「しかしなぜこの村が狙われたんだ? 」

村長代理のパオが疑問を口にする。するとチャンスとばかりに婆さんが。

「馬鹿者! すべて繋がっておる。お前たちが軽んじたからこんな目に遭うのさ。

あの忌々しいオオカミが来たのは今年も去年も儀式を中止したからに違いない」

最年長婆さんが言うと説得力が増す。でもそれはたぶん違うぞ。

ウッド爺が追いかけたからで。たまたま跡形村に逃げることになっただけ。

でももしそのことを言えばウッド爺だけでなく僕たちまで責められることに。


「儀式って? 」

つい口を挟んでしまう。

「それはね。この村では毎年夏になると神事が執り行われるんだよ」

宿屋の女将さんが説明してくれる。

結局宿屋は今休業中と言うか解決するまで動きが取れないそう。

「神事ってお祭りのこと? 」

「そうそう。簡単に言えばお祭り。または儀式かね」

「しかしこの村は人手が足りないから去年から執りやめている。それが現実さ」

ジョンも黙っていられないよう。


「儀式の件はいいから解決策を示せ! 」

我慢の限界と村長が喚く。しかし喚いてどうにかなる訳ではない。

相当焦ってるな。それはここにいる者全員そうだとウッド爺が。

焦ってないのは村人に変装してる奴のみ。しかし僕たちでは見抜くのは難しい。

誰が怪しいとか不審な動きをしてるとかは実際のところよく分からない。


「トロトロ村では全滅した…… 」

ジョンは詳しい。さすがはオオカミの専門家。

村に残ってなければ学者になっていただろうとの噂。

でも実際はオオカミが出たと脅かすただの困った人。

まさか現実になるとはジョンだって思ってないはず。


「トロトロ村? 聞いたことないが」

ウッド爺が首を捻る。するとジョンが慌てて地図で場所を。

どうもウッド爺が知らない遠い遠い世界らしい。それもそうかもな。

僕たちが来年行こうとしてるドラゴンの島も伝説だもんな。

どこにあるかは誰にも分かってない。父さんでさえどこにあるか知らない幻の島。

果たして僕たちは伝説のドラゴンアイランドにたどり着けるのか?

でも何でこんなに行きたいのか自分でもよく分かってないが……

とは言え夢を叶えるためにもここでオオカミに喰われる訳には行かない。


「やっぱり皆で固まったらどうだ? 」

ハイが提案する。

「待ちなガキ! どこでだ? 」

村長代理のパオが睨む。迫力があるな。

「もちろんここで一晩過ごせばいいんだって」

適当にしか思えないが意外と的を得てるとほぼ全員賛成の様子。


「待った! それは困るよ。私はこの婆さんと一緒にいると血圧が高くなる! 」

「それはこっちのセリフだ! うるさくて寝れないよ」

仲の悪いお婆さんたちは一人がいいと我がままを言う。

「ですが今は非常事態ですよ」

宿屋の主人が宥める。だからって聞くはずがない。

「うるさい! 帰らせてもらうよ! 」

「そうだよ。よく言ったよ婆さん! 」

「婆さんはあんただろう? 私はそんなに年を食ってないね」

同意見なのになぜかいがみ合う。これではどうにもならない。


「そうだな。今晩はいつも通りでよかろう。その代わり戸締りをしっかり! 」

村長は強引に一か所に集める気はないらしい。

全員集合したところで狙われたらお終いだと考えてるよう。


「解散! おっとその前に洞窟の方はどうなってる? 」

「ああ…… こちらからでは人手が足りず作業が一向に進んでません。

あちらも恐らく気づいてるはずだから今日明日凌げば救助は来るかと」

洞窟守が現在の状況を報告する。

あの洞窟が生命線。最悪山を登って隣村に出ることもできる。


解散と言う時に部屋に男が乱入。

「申し上げます! 現在別に行方不明と思われた二家族八名の所在が判明。

話によれば一家族は隣村に出稼ぎに家族全員で。

もう一家族は温泉で村を離れています。以上で報告を終えます」

どうやら村を離れてる者もいたらしい。

これで約半分の十五名弱が村に残ってる計算になる。


「報告ご苦労! よし解散! 気を付けるんだぞ皆の者! 」

「うおおお! 」

全員で叫んで元気よく終える。


そう言えばずっとフォレーセスが大人しい。どうしたんだろう?

だがわざと静かにしていたとフォレーセス。その方が村民をよく見れるから。

もしかして何か分かった?


                  続く

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