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ホラ吹きジョン

跡形村第一村人を発見。

彼がオオカミの変身した姿でないならの話だが。


「俺はパオ。ここを支配する者だ。何しに来たか知らないが通行料を頂く。

それが嫌ならすぐにこの村から出て行け! 」

パオは田舎の悪ガキがそのまま大人になったタイプ。

キレると何するか分からない。ここは大人しく従うしかなさそう。


「いくらですか? 」

「一人一万ディックね」

ディックはこの辺りの通貨。我が村でもディックは取り扱っている。

「では五万ディックでいいかい? 」

ウッド爺は意外にも金持ちらしい。

「待て! 六万ディックだ。さっきお前たちの仲間が走って行ったのを見た」

どうやらオオカミの分まで払えと言うことらしい。がめついな。

こうして六万ディックを払い正式に迎え入れてもらった。

本当に無茶苦茶だな。通行料だか入村料を取るなんて酷い村。

別に僕たちはどっちでもいいんだけどな。

放っておけばこの村が全滅するだけだから。


「それで人喰いオオカミの件だったよな。詳しいのはジョン。

いつもオオカミオオカミと騒いでいる。あいつなら適任だろう」

ジョンなら村を彷徨っていればそのうち見つかると適当なことを言う。

とにかくオオカミに詳しいジョンと言う人物を探すことに。

ジョン…… ジョンっと。見回してもどこにもいないな。

その時だった。笛が鳴ったと思ったら人が集まって来る。

これは何かのイベント? 呑気だな。


「オオカミが来たぞ! オオカミを見たんだ! ほら早く逃げろ! 」

ジョンらしき男が必死に呼びかけるが村人は冷ややか。動きが鈍い。

村から早く出るか家に籠れと必死に説得する男。

今から僕たちがやろうとしていたこと。先を越された…… 競ってどうする?

とにかく跡形村の人たちを安全なところに避難させないと。


「あの…… 」

ジョンに話しかけようとするが周りが邪魔して近づけない。

何だか皆怒ってるぞ。これはどう言うことだ?

「おいジョン。今日は早いな。どっちから来たって? 」

「そうだぞジョン。嘘ばかり言うな! 」

からかわれているよう。このまま放っておいていいのか?

「洞窟から逃げるように村へ。もう入り込んでるだろうさ」

どうやらジョンもオオカミを目撃したよう。これは頼もしい。

村人に説明する手間が省ける。このジョンに任せておけばうまく行くさ。


だが期待も空しく五分も経たずに集まった村人が散っていく。

どうやらジョンのホラ話だと思ってるらしい。

嘘だろう? どうなってるんだこの村は?

笛を鳴らし危険を伝えるが誰も相手にしない。

残ってるのは小さな子供ぐらいなもの。その子たちだって親に急かされて戻る。

どうやらこのジョンはホラ吹き癖があるらしい。

村ではホラ吹きのジョンで通ってるそう。これは困った。面倒な展開になったぞ。

いくら僕たちが騒ぎ立ててもジョンを支持してるだけにしか見えない。

誰とも知らない者の話などジョンの後では余計に聞きはしないだろうさ。


「ジョン! 私たち…… 」

フォレーセスが自己紹介を始める。

「そうか…… 君たちも人喰いオオカミを目撃したんだね? 」

ジョンはひ弱な青年。周りは力持ちなのにジョンだけ弱いまま。

それが彼のコンプレックスなのだとか。

とりあえず人喰いオオカミがどこに行ったか聞く。

「そうだな。村の外れに湖がある。そこにはオオカミの住処があると言う噂」

ようやく手掛かりが見つかった。

「急ぎましょう。夜になればオオカミは再び行動を起こすでしょう。

村が食い尽くされるのだけは避けたい」

フォレーセスは冷静だ。僕も彼女の意見に賛成だ。


ジョンは自分もと人喰いオオカミ捜索隊に加わるそう。

これは力強い。オオカミの専門家が二人いれば怖くない。

ジョンと行動を共にする。


「僕ちょっと…… 」

ゾークが人見知りを発動させる。やっぱり見知らぬ男では難しいよう。

でもジョンはいい人そうで話しやすい。だからゾークの苦手なタイプに思えない。

「大丈夫だってゾーク! 取って食えやしないよ」

こんな時に笑えない冗談を言うハイ。

「やめろよハイ! 」

「いやいいんだ…… ただ少し嫌な感じがしただけだから…… 」

「ゾーク。もう気にし過ぎ! さあウッド爺と手を繋ぎましょう。

そうしたら安心だから。私もカズと繋ぐの」

そう言ってフォレーセスが腕を絡ませる。これは手じゃなくて腕なんですけど。

「フォレーセスちゃん…… 」

何だか寂しそうなゾーク。すぐに動物のフンが見つかるさ。それまで我慢しよう。


「よしお前ら行くぞ! 」

ウッド爺とゾークが先頭を歩く。その後ろをジョンが。続いて僕たちが。

最後にハイが浮かれてスキップしながら何か叫んでいる。

ハイキングに来たんじゃないんだけどな。

ジョンによると逃げて来たオオカミは湖に行ったのではないかと。

そう言われたらついて行くしかない。


オオカミ狩りが始まる。今叩いておかないと大変なことになる。

村人を食べ尽くして村を破壊しかねない。いつどこで誰が襲われるか分からない。

特に夜には気を付けないと。昼とは比べ物にならないほど活発で獰猛になると噂。

それがただのオオカミのことなのか人喰いオオカミのことなのかはっきりしない。


「ジョン本当にこっちでいいの? 」

「はい。恐らくは…… 」

ジョンはこの村では人食いオオカミに精通していて居場所を察知できるそう。

オオカミが近づいたら大声を上げる。これが基本だと。

ただその精度は決して高くないからもはや村人からも相手にされてない。

今回だって嘘だと思われている。

そのジョンの為にも湖でオオカミを狩ろう。それが僕たちにできる最低限のこと。


ジョンの紹介で湖までやって来たがただ冷たくて透き通った水があるだけ。

「飲めるのか? 」

ハイは喉が渇いたと文句ばかり。それはウッド爺にでも言ってくれ。

「済みません。ここの水は飲めません」

汚染されていて危険だと。飲み水はまた別のところから確保する。


「それで人喰いオオカミはどこ? 」

いくら辺りを見回してもオオカミはいない。

洞窟も草むらもない。湖の方には隠れるような場所はない。

これはジョンの読みが外れたか? 反省してとまでは言わないがしっかりしてよ。

さあこの後どうしようか?


               続く

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