オオカミの痕跡
ついにウッド爺発見!
人喰いオオカミの件が片付いてから話すと頑な。
「よし今日はこの辺りの洞窟で寝ることにするがお前らはどうする? 」
発光大オードも姿を消しもう真っ暗。これ以上動けばまた迷うだけ。
ここは大人しく従うしかなさそう。
「よし反対はないな。よし寝るぞ! 」
こうして洞窟で一晩過ごすことになった。
「うわ! 気を付けろ! コウモリがウヨウヨいる」
「まずいよコウモリだけはシャレにならないよ…… 」
ゾークは震える。どうやらそのフンを恐れているらしい。
さすがは汚物マニアだ。でもかまれても食べても同じだろうな。
再び起きればいくら僕が特別でも逃れはしない。
「ははは! 大人しくしてれば襲ってこないさ」
ハイが何の根拠もなく言い張る。いい加減過ぎないか?
フォレーセスは眠れないと喚き始めた。あーあどうしよう?
「うるさいぞお前たち! 明日は早いんだからもう寝んか! 」
ウッド爺はそう言うとすぐにいびきを掻く。ワイルドな人だな。
ちょっとは人の迷惑も考えろよな。うるさいだろう?
「そんなこと言っても…… 」
ゾークはさすがに限界のよう。でも我慢するよう。
「怖い! 」
フォレーセスが横に引っ付く。もう暑苦しいからやめて欲しいな。
「大丈夫。怖いならハイでもウッド爺の横にでもいろって。きっと守ってくれる。
ゾークだっていい。何と言っても僕たちのリーダーだからな。
「嫌! ここにする! 」
他の奴に押し付けようとするが言うことを聞かない。
「もう分かったよ。でもあんまりくっつくなって」
いくら洞窟でも皆がゆったり寝れるだけのスペースはある。
コウモリに近づかなくても大丈夫。それでも嫌なら奥に行けばコウモリはいない。
不満はあるものの結局今晩は洞窟で泊まることになった。
目的のウッド爺も見つけたことだし明るくなったら一旦戻ろう。
それがいい。母さんが心配する。
翌朝。
生憎の雨で外に出るのは困難。もう少しだけでも勢いが弱まればいいんだけど。
「よし奥に行くぞ! 」
「待ってよウッド爺! 人喰いオオカミを探すんじゃないの? 」
幻と言われている人喰いオオカミを探すのはそう簡単ではない。
だからって僕たちを無理やり巻き込まないでよね。
「悪いけど僕たちはここで一度戻ろうと思うんだ」
リーダーでもない世話係の僕がウッド爺を説得する。
人喰いオオカミ捜索隊になった訳じゃない。僕たちには僕たちの目的がある。
その為に我慢してたけどもう限界さ。
「ほお…… では工房の紹介の話はなかったでいいんだな? 」
「その話は…… 」
まさか交渉するとは思わなかった。困った爺さんだな。
人間性に問題がある。こんな人とは関わらないのがいい。
「もういいですよ。他を当たりますから」
これでいい。弱みを握られてはいけない。
僕たちの旅は始まったばかり。まだ余裕がある。
「待てよカズ! 」
ハイに止められる。どうやらハイの奴は乗り気らしい。
危険だって言うのに何を考えてるんだ? いや何も考えてないのか。
ゾークが可哀想だろうが。もう限界のはず。
しかしそのゾークもやる気が出て来たらしい。
「なあ行こうぜカズ! 面白そうだしよ」
「そうだよカズ君! 」
「お前たち…… 何があっても知らないぞ。フォレーセスは? 」
「それは私も一度帰りたいけど…… カズの気持ち次第。ついて行こうと思うの」
昨日とは別人のように優しいフォレーセス。怖いくらいだ。
一緒に寝て仲間意識が出たならいいのか? いやよくないのか?
「ごめんフォレーセス! 僕も少しだけ気になる」
こうして結局人喰いオオカミ探しに戻る。
「ウッド爺。本当に僕たちに相応しい立派な工房を案内してくれるんだよね? 」
「フォフォフォ…… 任せておけ! 」
いい加減に見える。まさか見学だけじゃないよな。その辺のこと聞くが笑うのみ。
「本当に本当? 」
「少しは信じんか! 人喰いオオカミを捕獲したら気が済むまで案内してやる」
どうも適当なことばかり言ってる気がするんだよな。全然信用できない。
「それでお前は行くのか行かないのか? どっちだかはっきりしろ! 」
こんな風に迫られたら断れないじゃないか。一応は一度断ったからな。
後はもう知らない。とりあえず人喰いオオカミ探しの手伝いを続けるとしよう。
ウッド爺はいきなり屈んだかと思ったら臭いを嗅ぎだした。まるで犬だ。
僕には真似できない。これがウッド爺のやり方か? 何だかゾークっぽいな。
「それでどうして洞窟内を散策するの? 」
僕に代わってフォレーセスが話を聞く。
彼女も巻き込まれて苦労してるんだろうな。
親だって心配してるはずだ。だからって僕にはどうすることもできないが。
「いくら探しても見当たらない。ならばどこかに住み着いてると考えるのが普通」
そう言ってオオカミの臭いを嗅ぐ。
洞窟は奥に進むにつれて狭くなっていく。
僕たちは問題ないがウッド爺が窮屈そう。
「よしオオカミの臭いだ。少なくても一頭はいるだろう」
そう興奮するから敵に気づかない。
暗い影が迫る。
「モンスターだ! どうすればいい? 」
「それも経験。自分で考えろ! 」
ウッド爺が一撃を食らわすが効果なし。
「おいライト! 」
偉そうに命令しすぐに一歩下がって巻き込まれないようにする。
うぎゃあああ!
黒い影はいつの間にか姿を消していた。
「おい消滅させたんだろうな? 知らないうちに憑りつくから気を付けろ」
さすがにウッド爺は詳しい。ただ林業をやっていた訳ではないよう。
だがまだ信用できない。従うにしても全面的には危険だ。
少しだけにしておこう。それが冒険者の生きる道。
続く




