ウッド爺発見!
ネック村に伝わる人喰いオオカミのお話。
いつの間にか子供がいなくなって…… それも決まって満月の晩。
そうして人の数が減って行きある晩に一気に襲い掛かる。
逃げ惑う村人。しかし外に繋がる一本道が落石で塞がっており村人全滅。
その後人喰いオオカミがどうなったからは誰も知らない。
母さんも夜遅くに一人になるな。人喰いオオカミに食い殺されるぞと。
驚かせて暗くなる前に戻って来るようにしてるんだろうな。
でもそれが単なる子供だましだとはどうしても思えない。
昔本当にあったことだとお年寄りたちは言う。
「なあこれってまさか人喰いオオカミじゃないのか? 」
ハイがふざけゾークが震える。いつものパターン。からかうのは可哀想だ。
ガサガサ
ガサガサ
ふざけてると突然草陰が揺れ始める。
もしかして人喰いオオカミか?
それなら大変だ。決して後ろを向いてはいけない。逃げてもダメだ。
怖くても一歩も動かずに大声を出して威嚇する。野蛮だがそれが一番効果がある。
ただそんな簡単ではないから始末が悪い。人喰いオオカミが怖いのは賢いところ。
人間の言葉も理解できるし優れたものは変装もできると言われている。
ただそれもすべてただの昔からの言い伝えで実際に見た者はいない。
コザッパが現れた。
「コザッパだ! 暗いところに生息してるから光に弱い。ライトを当ててくれ」
「分かった。やってみるぜ」
ハイの七つ道具のライトでコザッパを消滅させる。
恐らくモンスターの中では一番弱くスライムよりも劣る。
最弱モンスターを倒しても何もない。
「どうしたゾーク? 」
「それが臭うんだよね」
「ちょっとこの人ふんを舐めてる! いやああ! 」
「違うって! ちょっと見てただけだよフォレーセスちゃん」
いきなりちゃんづけで余計に怖がらせる距離感のつかめないゾーク。
わざとやってないか? 何をやっているんだよまったく!
弱そうだから問題ないと思ったけどダメか。
「悪い。ゾークは変わっていて…… 汚物コレクターなんだ」
一応は包み隠さずにすべて教える。これが信頼の証だ。
「ははは! それでどうだゾーク? 」
「うん。悪くない。たぶん凄いのができると思うよカズ君」
自慢げに言うゾーク。それを嫌そうに見るフォレーセス。
付き合いきれないと怒って先に行ってしまった。
「待てよ危ないって! それにフンだって。踏んづけたらシャレにならないしさ」
どうにか説得するが聞く耳を持たない。
奥へ奥へと進んで行く。僕もフォレーセスにつられ早足になり進み過ぎてしまう。
「まずいよ皆…… 」
ゾークが小さな声で言うがハイの笑い声で掻き消される。
まあいいや。どこにいるのかなあの爺さん?
こうしてるうちに真っ暗になってしまった。
完全に方向を見失ったようだ。その上この暗さでは迷子確定。
誰も止めないんだから…… このままだと本当にまずいよな?
でもどうしても足が動いてしまう。前へ前へと歩みを止められない。
それが冒険者であり勇者。こっちには仲間もいるし木の棒だってある。
怖いはずがない。僕たちは強いんだ。強い……
ついおかしな自信で暴走してしまう。
気づいた頃にはもう本当に右も左も分からくなってしまっていた。
ハイのライト一つではどうにもならないさ。
「どうしようハイ? 」
「どうするゾーク? 」
「フォレーセスちゃんどうする? 」
「もう人任せにしないできちんと考えてよ! 」
全員が人任せでどうにもならなくなってしまった。
でもこれはリーダーの役目だからな。だから僕は従うだけでいい。
「悪いけど今晩泊めてくれないか」
「いいけど…… どうやって帰るの? 」
どうやらこの辺りには詳しくない。いや暗くて分からないようだ。
「よしこっちだ! 」
ライト係のハイが方向を決める。ただ合ってた試しがないいい加減さ。
発光大オードが現れた。巨体でずっときらきら光る。
攻撃力は高いが穏やか。何もしなければ襲ってはこない。
強敵でも扱い方次第ではどうにでもなる。
ここは後ろを取ることで解決。
「どうする攻撃するか? 」
「やめろってハイ! ちょうど光があるんだしこのまま進もうぜ」
発光大オードはオード種では最大で夜行性。
ただ無敵だから動きが鈍い。
味方にすると頼もしいのだが何と言ってもコミュニケーションが取れない。
これでは利用するぐらいしかないな。
「きゃああ! 何これ? 」
フォレーセスが騒ぎ出す。
どうやら発光大オードの光に誘われて虫たちがやって来たのだろう。
楽しそうに笑うハイに心底嫌そうな顔をするフォレーセス。
気持ちは分かるけどさ。これくらいは我慢しようよ。
フォレーセスが騒ぐから発光ダイオードが興奮するじゃないか。
「うん何だお前たちは? 新種の化け物か? 」
男の声がした。よく見ると裸の爺さん。何を考えてるのだろう?
新種の化け物と言うか変態はそっちじゃないか。
「済まん済まん。つい行水していてな。そこの子は確か…… 隣のフォレーセス?
顔をよく見せてくれないか」
そんな風に迫る困った爺さん。いや爺さんと呼ぶにはまだ若いんだった。
彼こそが僕たちが探していたウッド爺に違いない。
「ウッド爺はどうして裸なんですか? 」
行水を終えたのにまだ裸のまま。ずっとフォレーセスが気まずそうにしている。
手のひらで顔を覆うがきっとバッチリ見てるんだろうな。
「早く仕舞いなさいよ! 」
やり過ぎたらしく叱られるウッド爺。考えれば分かるのに。何を考えてるのか?
「ふふふ…… 済まない。まさか心配して探しに来てくれるとは思わなかったわ!
感謝しかない。実は人喰いオオカミを追っていてな。
裸なのは臭いを察知されない為。ついでに行水をしておった」
ようやくウッド爺を発見!
アトリエについては人喰いオオカミの件が片付いてから話すと頑固な爺さん。
だったらとっとと済ませようぜ。
続く




