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引きこもり元オレツエー剣士の無茶苦茶ダンジョン経営  作者: 姫宮代


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第29話:目指すべき頂点と、これからの「お手伝い」


【前書き:ルルの冒険記】

(新人e-Tuber・ルルの視点)

「……あ、私、何を……」

気がつくと、シルフさんに必死に肩を揺さぶられていました。

どうやら私は、深夜さんと魔王さんのあまりに次元の違う戦いを目の当たりにして、精神がどこか遠くへ飛んでいたようです。

でも、ぼんやりとした意識の中で、あの光景だけは鮮明に「魂」に刻まれていました。

あれが、人間が到達できる極致。私がいつか辿り着きたい、本当の頂点。

ただ生き残るための配信じゃない、誰かを魅了し、圧倒し、世界を震わせる「武」。

私は震える足で立ち上がり、深夜さんのもとへと歩き出しました。

こんな景色を見せてくれたこと。そして、この場所へ連れてきてくれたこと。

そのすべてに、心からの感謝を伝えるために。


【本編:引きこもり剣士のダンジョン経営】

(深夜・魔王の視点)

「いやぁ、魔王さん。最後はちょっとヒヤッとしたよ」

霧散した後に再構成され、涼しい顔で戻ってきた魔王さんに俺は苦笑いした。

「ヒヤッとしたどころではありませんよ。私があんな風に……背骨から引き抜かれるような負け方をするなんて、考えたこともありませんでした」

魔王さんは優雅に首を振りながらも、その瞳にはどこか満足げな色が浮かんでいた。

そんな俺たちのところに、ルルちゃんがやってきた。

彼女は俺の前に立つと、深く、深く頭を下げた。

「深夜さん、本当にありがとうございました! 素晴らしいものを見せていただきました……私、一生忘れません。ここについてきて、本当によかったです!」

「え? あ、ああ、お礼なんていいよ。俺こそ、2年のブランクのせいで精彩を欠いた動きを見せちゃって申し訳ないくらいで……」

俺は照れ隠しに頭を掻きながら、つい本音が漏れる。

「まあ、世の中にはもっと上がいるからね。俺なんてまだまだ修行中だよ」

「……ルルちゃん。深夜さんのその言葉、あんまり鵜呑みにしちゃダメよ?」

横から真昼が、呆れたような、それでいて警告するような口調で釘を刺した。

「この人の『上』なんて、もう神様くらいしか残ってないんだから」

俺は苦笑いしながら、今度は黄昏くんの方を向いた。

「黄昏くん、こんなリハビリで参考になったかな? 久しぶりだったから、ちょっと動きがボロボロで申し訳なかったんだけど……」

すると黄昏くんは、俺が言い終わるか終わらないかのうちにガシッと俺の両手を掴んだ。

「何言ってるんですか深夜さん!!」

彼は俺の手をぶんぶんと激しく上下に振りながら、顔を真っ赤にして叫んだ。

「最高でした!! ボロボロなんてとんでもない! 芸術です! 伝説です! 俺、一生ついていきます!!」

……そんなに喜んでもらえるなら、リハビリをした甲斐があったな。


【後書き:ナハトの戦況分析会】

(ナハト・メンバーの視点)

「さて……」

真昼がパンと手を叩き、パーティのメンバーを見渡した。

「余興はこれで終わり。深夜君のお願いの件に戻りましょうか」

真宵、曙、丑三つ、そしてようやく深夜の手を離した黄昏が、真剣な表情で頷く。

今の戦いを見てしまった後では、「自分たちが守る」なんて言葉は口が裂けても言えない。でも、だからこそ自分たちに手伝ってほしいと言った意味を、深夜に直接問うべきだ。

「深夜さん。宴の最中に悪いんだけど……改めて聞かせて。私たちに、どんなお手伝いをすればいいかしら?」

真昼の問いに、ナハトの全員が深夜の言葉を待つ。

SSSランクをたった一人で支えた男が、自分たち「ナハト」というパーティに何を求めるのか。その答えが、これからのダンジョン経営の鍵になるはずだった。


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