第27話:自由なる戦闘の悟りと、混沌の大乱闘
【前書き:ルルの冒険記】
(新人e-Tuber・ルルの視点)
隣でナハトの皆さんが解説してくれて、本当に助かりました。
私一人だったら、深夜さんが何をしているのか、ただ「凄い」としか分からなかったと思います。
でも、解説を聞いていて、私の中で一つの「悟り」のようなものが開けました。
そうか、バトルって自由でいいんだ……!
剣を持っているからって、必ずしも「斬らなきゃいけない」わけじゃない。
スライム相手なら剣の腹で空気を叩き潰してもいいし、剣士だからって剣にこだわらず、拳で殴り上げてもいい。
型にハマる必要なんてない。生き残るために、そして勝つために、もっと自由な発想で戦っていいんだ!
……もちろん、私に深夜さんと同じことができるとは思いません。でも、その常識外れの戦いぶりは、私の心に新しい風を吹き込んでくれました。
【本編:引きこもり剣士のダンジョン経営】
(深夜・魔王の視点)
スライムの粘液を布で拭き取っていると、宴会場の空気が異様に熱を帯びていることに気がついた。
見ると、俺の連戦を見ていて血が騒いだのか、はたまた「俺も俺も!」とお祭り騒ぎに乗じたのか、モンスターたちが群れをなしてこちらへ殺到してきていた。
ワイバーン、ヒッポグリフ、グリフォンといった空の猛者たち。
悪鬼やガーゴイルといった屈強な魔物たち。
さらには、ダゴン、クトゥグア、バックベアード、リッチー、ティンダロスの猟犬……って、ちょっと待て。後半の連中、明らかにファンタジーのジャンルが違うだろ! なんでクトゥルフ神話の邪神や妖怪まで混ざってるんだ!
「うおおおおおっ!!」
「ガァァァァァッ!!」
「(名状しがたい叫び声)」
ツッコミを入れる暇もなく、大群が津波のように押し寄せてくる。
ええい、こうなったらヤケクソだ!
俺は二本の剣を握り直し、迫り来る混沌の群れへと飛び込んだ。
右から来るワイバーンを斬り伏せ、左のクトゥグアの炎を避けながらダゴンを蹴り飛ばし、背後に現れたティンダロスの猟犬を衝撃波でまとめて吹き飛ばす。
視界を覆い尽くすバックベアードの巨大な目玉を剣の腹でぶん殴り、リッチーの魔法詠唱を物理的なドロップキックでキャンセルしていく。
——数分後。
「……ふぅ。とりあえず、全部切り伏せたぞ。流石に疲れた……」
息を切らしながら剣を収めると、俺の周囲には、ジャンルごちゃ混ぜのモンスターたちが文字通り「山」となって折り重なっていた(すぐに黒い霧となってリスポーンし、満足げに宴会に戻っていったが)。
いやぁ、いいリハビリになったな。
【後書き:ナハトの戦況分析会】
(ナハト・メンバーの視点)
宴会場の中央で繰り広げられた、もはや「神話大戦」とも呼ぶべき大乱闘。
伝説の魔獣、妖怪、果ては異次元の邪神までもが入り乱れる混沌を、たった一人の男が二本の剣で制圧していく光景を前に、ナハトの面々は完全に沈黙していた。
「…………」
真昼も、真宵も、曙も、丑三つも、言葉を発することすら忘れている。
そして、これまで深夜の規格外な行動にただ一人「カッケー!!」と熱狂し続けていた黄昏でさえも。
「…………」
ぽっかりと口を開けたまま、完全に呆然自失となっていた。
彼のキャパシティすらも軽く超えてしまった大虐殺。
この日、ナハトのメンバーは「世界には、理解しようとしてはいけない理不尽が存在する」という真理を、心の底から理解したのだった。




