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引きこもり元オレツエー剣士の無茶苦茶ダンジョン経営  作者: 姫宮代


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第18話:秘密の特別講義と、憧れの背中

【前書き:ルルの冒険記】

(新人e-Tuber・ルルの視点)


「えっ、何これ……隠し通路? それとも、ワープホール!?」


目の前に現れた、空間がぐにゃりと歪んだような不思議な穴。私は意を決して飛び込みました。


「わわわわっ!?」


視界が回転して、気づくとそこは……さっきまでいた岩場とは違う、どこか厳かな雰囲気の広間。

そして、そこには見覚えのある、でもありえない光景がありました。


「えっ……アイテム屋のおじさん!? なんでここに!?」


驚きすぎて、ドローンが激しく上下しちゃいます。

だって、さっきまで入り口でバンダナを巻いて胡散臭い商売をしていたあのおじさんが、なぜかギルド『ナハト』の面々に囲まれているんです。


しかも。


「……おじさん、腕。腕、生えてない!? さっきまで、肩から先がなかったよね!?」


私の叫びに、おじさん――深夜さんは、再生したばかりの右腕を所在なげに動かしながら、「ああ、まあ、ちょっとしたサービスでな」と、事もなげに言ったのでした。


【本編:引きこもり剣士のダンジョン経営】

(深夜・魔王の視点)


「……さて。黄昏、録画は止めてくれ」


深夜しんやは、ナハトのカメラ係をしていた少年に告げました。

あまりに手の内を見せすぎるのは、ダンジョン経営上、賢い選択じゃないからです。


「これより先は、攻略の『裏技』に近い。商売上がったりになっちゃ困るからな」


偶然ワープホールを踏んで合流してしまったルルにも、深夜は視線を向けます。

「お嬢ちゃん。……ルル、だったか。ここから先は、俺たちと一緒に来るか? それとも今すぐ配信を切って、今の攻略法を盗んでいくか、どっちにする?」


「ええっ!? 私もいいの!?」

驚くルルに対し、背後のナハトの連中が異様な熱量で口を挟んできました。


「ルル殿! 迷う必要はない! 深夜さんの探索に同行できるなど、人類の限界を超えたその先を拝むチャンスだぞ!」

「そうよ。こんな機会、一生に二度とないわ。配信の数字より、自分の目に焼き付けるべきよ!」


深夜は、そんな彼らの過熱っぷりに少し引いていました。

「……いや、そんな大層なものじゃないぞ。俺は、誰にでもできる『再現性のある方法』しか使わない主義だ。特別な才能なんて必要ない」


そう、深夜にとっては、効率と論理を突き詰めた「当たり前」の作業を見せるつもりだったのです。




【あとがき:ナハトの最高なギルド創世記】

(ナハト・黄昏の視点)


「……録画禁止。つまり、心に刻むしかないということか」


僕は震える手でカメラのスイッチを切りました。深夜さんの言葉が、重く胸に響きます。


「再現性のある方法……。あの神域の動きを、深夜さんは『誰にでもできる』と言い切るのか。どれほどの高みにいれば、そんな傲慢さの欠片もない言葉が出てくるんだろう」


深夜さんは、僕たちがどれほど足掻いても辿り着けない領域を、ただの「基本」として捉えています。

その圧倒的な謙虚さと、底知れない実力。


「初心者のルルさんが、あんなに間近で深夜さんの探索を見られるなんて……。正直、嫉妬してしまいそうだ。僕だって、もっと早く、深夜さんに出会いたかった……!」


でも、今はそんなことを考えている暇はありません。

これから始まる、世界で唯一の『秘密の特別講義』。一秒たりとも見逃さないよう、僕は目を見開いて、深夜さんの背中を追いました。


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