トナカイと占い
「リリー、聞いてほしいのよ!」
「どうしたのトナカイ」
「さっきねー、街を歩いてたら、変な人に呼び止められたのよー」
「……トナカイ、その人は今どこにいるか分かる? お金取り返してくるから「ちょっと待つのよリリー! トナカイ、今回は何も買ってないのよ!」えっ……そうなんだ。続けてどうぞー」
「呼び止められてー、いつのまにか椅子に座らされててー、何も言ってないのに色々占ってくれたのよー」
「そうなんだ。えっ、タダで占ってもらったの?」
「うむ、トナカイお財布を持ってなかったのよねー。だから代わりにこの前拾った綺麗な石をあげたのよー。すっごく喜んでたのよー」
「トナカイ? その石って……この前ダンジョンのガーディアンを倒した時に、出てきたやつ?」
「うむ、そうなのよー」
「それ! 高いやつ! すごく高いやつだよトナカイ! むしろトナカイのお小遣いで支払ってた方が、まだ良かったよ!」
「そうなん? うっかりしてたのよー」
「そっか……トナカイだもんね……で、その占い師はどこに?」
「石を受け取ったらすぐに、さっさとどこかに行っちゃったのよー」
「ぐぬぬ……はぁ、しょうがない。今回は取り返すのを諦めよう」
「なんだかすまないのよぉ……でね! 占いの結果をこの紙に書いてもらったのよ!」
「なになに……金運は良いが失い易し。まさに、今だよね」
「すごいのよ! 当たってるのよ!」
「これは外れてほしかったよトナカイ」
「あとは……恋愛運いまいち、待ち人に会えず。トナカイ、誰を待っているの? 正直に答えて」
「り、リリー? おめめの光が消えてるのよ! 待ち人も何も、トナカイ待つほどの親しい人、そんなにいないのよ! あれ、悲しい気持ちになってきたのよ……」
「トナカイには私がいるから、大丈夫だからね?」
「うむ、リリーがいるから寂しくないよのー」
「えへへ……最後に書いてるのは、足元注意だって」
「足元? 何かあるのん?」
「いや私に聞かれてもわからないよ?」
「ふむー、とりあえず掘ってみるのよ!」
「何で掘るって選択肢がでてきたのか分からないよトナカイ! 足元注意って書いてあるから、むしろ掘らずにそっとしておいたほうが」
「トナカイ七つ道具の特大ハンマー! 久しぶりに使うのよーっ、どっせーい!」
「!? トナカイそれ掘るんじゃなくて、叩き壊すためのものだから!」
「「あっ」」
「「あぁぁ……」」
トナカイが開けた穴の下には、一匹の魔物が眠っていた。
非常に強く、何度倒しても復活するため、魔法で深く眠らせるのが最善とされているこの魔物の上に、瓦礫とともに落ちていくトナカイとリリーであった。




