表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/100

リリーと宝剣

「ねぇ、トナカイ?」

「どしたんリリー?」

「じ、実は……」

「……その手に持ってるのは、何なん」

「うん、まずは話を聞いてほしい」

「わかったのよー。それじゃ、回想スタートなのよ!」

「いや、回想を入れるほどじゃないんだけど……まぁいっか」



「ん? 何か落ちてる」

「綺麗な剣ね。キラキラしてる」

「……私はトナカイじゃないから、これをうっかり拾って厄介なことに巻き込まれるとか、そんな展開にはならないよ!」

「さっさとこの場から離れよう」

「そこのお嬢さん」

「ん? 私?」

「貴女しかいませんよ。落し物ですよ?」

「えっ!? こ、これ私のじゃ「それでは、私はこれで!」……行っちゃった」



「はい、回想おわりー」

「……ね?」

「うむ、今回は仕方がないと思うのよー」

「でね、この宝剣も例のごとく幽霊が憑いていて……」

「わかったのよ! とりあえず宝剣をへし折ったらええのん?」

「いや、そうじゃなくて、この幽霊のお願いを聞いてあげようかなって」

「ふむ? そうなん?」

「うん」

「わかったのよ! 早速準備するのよー!」

「えっ……トナカイ、この幽霊のお願いがわかったの?」

「そういえば聞いてなかったのよ! うっかりしてたのよー」

「もうっ、トナカイはトナカイなんだから……」

「この幽霊、生前は貴族のお嬢様で、ずっと外の世界に憧れてたんだって」

「そうなのねぇ。それじゃ、色んな所に行ってみるのよー」



「というわけで、ダンジョンに来たのよー」

「この幽霊、死んでるはずなのに生き生きとした目をしてるよ?」

「よっぽど嬉しいのねぇ、それじゃ、進むのよー!」

「おー!」

「早速魔物が出たのよー」

「せっかくだからこの宝剣を使って……えっ?『魔物と戦う用途で宝剣を使って欲しくない』って? ワガママ!」

「多分その剣、ただの飾りなのよー」

「まぁいいけど……持ちっぱなしで戦うの、やり辛いなぁ」

「リリーなら片手が封じられていても、余裕だとおもうのよ!」

「そりゃそうだけど……しょうがないなぁ。えいっ」

「さすがリリー、魔物が一瞬で消し飛んだのよ」

「えへへ、それほどでも……何? 『魔物が怖いからダンジョン探索はもういい』だって……」

「そうなん? それじゃ、さっさと帰るのよー」



「次は、割と大きめの街散策なのよー」

「この幽霊、屋敷から一歩も外に出たことがなかったんだって」

「そうなんねぇ。今日は色々見て回るのよー」

「まずは、食べ物かなぁ」

「うむ、街といえば、おいしい食べ物探しなのよー」



「トナカイ、この串おいしいよ!」

「そうなん? あーん、もぐもぐ……うむ、おいしいのよ! このおまんじゅうもおいしいのよ! はいリリーどうぞー」

「あーん、はむっ…… ほんとだ! えっ?『私も食べたい』だって。幽霊って、食事できるの?」

「できないと思うのよ」

「だって。残念だけど……ちょっと! 勝手に私の体に乗り移ろうとしないで……うまくいきましたっ!」

「!? リリーの様子がかわったのよ! とりあえず悪霊退散なのよー」

「いやぁぁ! 何この光、消えちゃう! 待ってくださいご飯を食べたらすぐ離れますからぁ!」

「しょうがないのよぉ……はい、どうぞー」

「さっきみたいにあーんは、してくれないんですね……いただきます。おぉっ、美味しいですっ!」

「よかったねぇ。それじゃリリーから離れてねー、よいしょっと」

「えっ? きゃぁぁ! 無理やり引きはがされ……もうっ! 次やったら宝剣ごと消し飛ばすからね?」

「リリーが元に戻ったのよ」

「トナカイありがとう。 ちょっと油断してた」

「うっかリリーなのよー」



「次は、山の上にきたのよー」

「まだ暗いね」

「夜明け前なのよー。ここから見える景色は、一度は見ておいたほうがいいのよ!」

「そうだね……あっ、夜が明ける」

「「……」」

「……いつみても、素晴らしい景色なのよぉ」

「……うん。あっ、幽霊が」

「満足して消えていったのねぇ」

「そうみたい。『素晴らしい体験ができました。二人ともありがとう』だって」

「よかったのよー。それじゃ、そろそろ出発するのよ!」

「うん!」



 ある高い山の頂上に、一振りの宝剣が墓標のように突き立ててある、という噂が流れた。

 その宝剣は不思議な力で守られ、抜くことも壊すこともできなかったそうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ