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異世界を無限のスキルで生き延びる。  作者: 巫女崎
魔王城編
22/48

22.魔王城 ホール

「お待ちしておりました、異世界の勇者」


吸血鬼はそう言ってお辞儀を――


 HP:5400/7300→4400/7300

 攻撃力:730→5730

 素早さ:730→5730


 ――する前に首を刎ねられた。


<マスター、あれは失礼>

「俺基本イベント系はスキップするんだよ。あれ長いから」


 グリモアと話をしていると他にも天井にいたのか三人の魔族が降りてきた。


「ねえねえ、ウズマが急に死んじゃったんだけどこれってどういうこと?」

「切り口からしておそらく斬撃で殺されている。俺たちが見えなかったのにウズマ殿が見えたという事は相手も《透明化》を持っているのだろう」

「ふぉっふぉっ。それは困ったのう。ワシら誰も《透明化》破れんもんなぁ」


 見た目からするとサキュバス、インキュバス、リッチなのだが、異世界の知識で合っているのかが分からないな。


<大丈夫、マスターの知識で間違いない>


 それは良かった。


「ワシから言わせてみれば下々のものに探させれば見つかるんじゃが、いかんせん数に限りがあるもんでのぉ」

「私たちの魅了で館内を覆うのもいいが、その場合館内の者達が魅了で使い物にならなくなってしまうからな」

「特に私の場合、魔王様も骨抜きになっちゃうからね」


 部下の魅了で使い物にならない魔王様ってどうなんだ。そんなんで他の魔族たちがついてくるのか?


<サキュバスとインキュバスはお互いの魅了にやられるから魔王には向かなかった>


 それこそ駄目じゃないか!

 はぁ~。なんでこんなダメダメな魔族しかいないんだろう。

 魔王も魔王なら部下も部下だ。

 こっちからしてみればもうリッチが魔王なんじゃないかと疑うんだけど。


「それでエルダ殿、あれから貴殿の部下はどこで殺されているんだ?」

「ふぉっふぉっ、それがのう、だれも殺されておらんのじゃ」

「それってもしかしてまだこの部屋にそいつがいるってことじゃ……」


 やっと気づいたのか。

 あれからもう十五分だぞ。


 こっそり近づいてみると淫魔の二人は頬から汗が伝っていた。

 それなのにリッチは汗どころか表情一つ変えた様子はない。

 このリッチ、よく見たら死闘を掻い潜ってきたような傷が顔にいくつもある。


(怖い怖い怖いどうかお願いします神様仏様命なら差し出しますのでどうか命だけはお助けください)


 これで心が読めなければ感心したんだけどな。

 というか命差し出して命を助けるって矛盾してないか?

 まあ結構なご老体だし二人よりは生かしてあげたい。

 もちろん殺すけど。


 んー、待つのも疲れたし今から十五分経つごとに殺してやろうかな。

 さっき十五分経ったからまずインキュバスから。

 グリモアできれいに首と胴を切り分ける。


「……え?」

「……」


 急なインキュバスの死で淫魔とご老体が茫然状態に陥った。

 確認したらレベルが73から76に上がった。


「どういうこと!急にニエルが死ぬなんて!」

「ふぉっふぉっ、どうやら異世界の勇者はまだこの部屋にいるようじゃのぉ」

「ふざけないで!私は部屋に戻るわ!」


 この状況で部屋に戻るって推理ものなら殺される筆頭の人物だぞ。

 そんな俺の考えに沿うようにサキュバスはホールの扉を開け――ようとした。


「……なにこれ、開かないんだけど」

「ふぉっふぉっ、どうやら閉じ込められた様じゃの」

「…………それってニエルを殺した勇者と同じ部屋にいるってこと……」

「ふぉっふぉっふぉっ」


 その通りでございます。

 部屋にある扉は全て《魔力操作》から作り出した運動エネルギーで開かなくさせてもらった!

 さて、これからこの二人はいったいどうやってこの部屋からの脱出を試みるかね。


「エルダ!扉がダメならこの壁を破壊して!」


 うわー、大胆だなー。


「無理じゃよ。だってワシ得意なの降霊術じゃし」

「私だって魅了以外取り柄無いわよ!」


 うーむ、さすがに壁は壊せないと思ってたけどまさか二人とも手も足も出ないとは。

 お前ら本当に魔族か?


<マスター、そろそろ十五分>


 そうか。じゃあ次に切るのはサキュバスだな。

 サキュバスもインキュバスと同じように首と胴を切り分けた。

 レベルは2上がった。


「……ふぉっふぉっふぉっ」


 やばい、せっかく最後にしたのにご老体が発狂してしまった!

 なんてことだ。あんなに人間らしいリッチだったのに……。


<マスター、鬼畜。なのに天然?>


 天然とは失礼な。

 発狂するとは思わなかったけど、その一歩手前にはしようと思った。


<やっぱりマスター、鬼畜>


 そういえばゾンビとかリッチの降霊した魔物ってリッチ倒したら一緒になって消えるのか?


<消える。契約者が死ぬわけだから>


 それは困る!

 あいつらレベル意外と高いのに弱いからレベル上げにちょうどいいんだよ。

 そうと決まったらさっさと解放してあげよう!


「……扉が……開きよる……」


 さあリッチのご老体、ジャンジャン降霊して経験値を分けておくれ。


「おお神よ、我が人生に一生の悔いなし」


 次の瞬間、リッチから光が漏れるように外気へと散っていく。

 そうしてリッチは元の死体へと戻っていった。

 ……なんでだよ。

吸血鬼→善良貴族

サキュバス→女子高生

インキュバス→二十代男性

リッチ→ご老体

のイメージでした。

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