17.襲撃者
きりがいいので短めです。
「確か、俺が魔剣に出会えたのがおかしいって話だったな」
先ほどの話を思い出すように俺は話を始める。
「そうだ。さっきも言ったけど僕の元契約者はこの世界のどんな生き物よりも強くなろうとした。その時に僕は聖剣や魔剣の居場所を知ることが出来たからそれをもとに契約者と戦っていったんだ」
先ほどとは打って変わって大人しく話し始めた聖剣の話に俺と付属品さん、グリモアの三人は真面目に聞き続ける。
「その時に分かったことがあったんだけどね、この世の聖剣と魔剣の数は変動しないんだ」
「数が変動しない?何、魔剣聖剣って今じゃ作れないの?」
「そう。聖剣と魔剣は自分の意志で武器に宿るんだよ」
「宿るってことはもともとの武器が魔剣聖剣になるのか」
「まあそういうことになるね」
話が通じてよかったと聖剣は一息つく。
「つまりこのグリモアは武器に宿ったってだけじゃないのか?」
「普通ならそういうことなのかもしれないけどそれに至っては全く違う。少なくとも今の聖剣と魔剣の数は彼女を除いてぴったり百、だからね」
つまりグリモアは本来なら存在しないはずの百一本目に宿っているというわけか。
「それだけじゃない。聖剣と魔剣の中でも人化することが出来るのはオリジナル、まだ一度も武器として壊れていないものだけなんだ」
「グリモアは存在しないにもかかわらずオリジナルであると。それはただグリモアには魔剣という事を隠す力があるだけじゃないのか?実際にグリモアには前の契約者がいたわけだし」
「その人の名前は?」
その質問に俺は唯一答えを知っている人物へ顔を向けた。
その本人は俺の意図を察すると聖剣にその人物を答えた。
「名前はアサヒナ=カオル、男」
その答えに聖剣は納得していないようだった。
正直に言ってしまえば俺もその名前に違和感を覚えている。
「ねえ、それは本当?嘘じゃないの」
「嘘じゃない」
「じゃあその人と契約したのはいつの話?」
「......分からない」
分からない。その答えに聖剣はグリモアを見る目が鋭くなる。
その反応に俺はすべてを理解した。
「もしかしてとは思ったんだが、お前の元契約者は」
「多分君の予想通りだよ。僕の元契約者は――」
聖剣が言うより早く、大きな爆発音とともに宿の窓が枠を外れて飛んできた。
俺は瞬時に魔剣化したグリモアを掴み、付属品さんは腰に仕舞っていたレイピアを引き抜いて周りを警戒する。
《心眼》の範囲内に入ってきた人物をかたっぱしに切り付けていく。
視界を遮っていた煙が消えたとき、その部屋に立っていたのは俺たちと聖剣、そして見覚えのある女性だった。
その女性は俺たちの姿を視認するとこちらに向けて口を開いた。
「お久しぶりです皆さん。失礼ですが皆さんには聖剣様誘拐の容疑がかけられています、抵抗はお勧めしません」
その女性はマギラのギルドマスター――ミネルバだった。




