12.アルセナ王国と勇者
今回から2章です。
アルセナの国は勇者の生誕地として有名だ。
その勇者とは約800年前に生まれた魔王討伐のパーティーのことを指す。
勇者である彼らは四人組で全員が幼馴染だったそうだ。
勇者の冒険は劇や本などで忠実に再現されており、他の街や国からも冒険者や観光客が多く訪れる。
また、今俺たちのいるアルセナ領の一つ、マギラの街は勇者の故郷という事で勇者を目指すもののための学校が存在する。
その学校の初代校長こそが勇者の一人だったそうだ。
また勇者の一人が冒険者だったこともありここの冒険者ギルドは大きな建物で良く目立つ。
この街にはSランクの冒険者がいる。これもやはり勇者がここの冒険者であったことが大きい。
この街には勇者が使ったとされる聖剣が存在し、その使い手は聖剣自らが選ぶそう。
だがこの800年、一人として聖剣に選ばれしものは現れていない。
この世界にいくらいるか分からない人間の中からどうやって選ぶんだと思ったが、聖剣にはこの世界にいる場所が大まかに分かるらしい。
そして今日、聖剣がこの街に選ばれしものが来たとのことで街はとてもにぎわっている。
表通りではお店がスペシャルだったり記念セールだったりでとても賑わっている。
以上、聞き込み調査終わり。
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「主!あの焼き鳥みたいなやつが食べたいです!」
「あれはそのまま焼き鳥です。金やるから買ってこい」
「マスター、沢山の人がいる。切っていい?」
「ダメ。こんなところで目立ちたくない」
俺たちは人ごみの中を歩いていた。
人が多いせいで《心眼》がほとんど使えないので1メートルまで絞って犯罪臭のする声のみに神経を使う。
幸いにも俺たちが宿を見つけるまでにそのようなことは起こらなかった。
「二人とも、今日はお祭りらしいしお小遣いやるから遊んできていいぞ」
「分かりました!めいっぱい遊んできます!」
「マスターは?」
「俺は街道で切った魔物をギルドに引き渡してから行動するけど」
「私もマスターと一緒に行く」
という事で付属品さんには金貨一枚を渡して、俺たちはこの街のギルドへと向かった。
ここのギルドは高級レストランをイメージする部分があったのだが、案外外れではないようで二階には高ランク冒険者専用のレストランがあった。
俺たちは買い取りの受付の前まで行き、ゴブリンなどの死体を提出する。
大金とまではいかなくても三人が冒険者として過ごす分には十分な量が入ったので俺たちも街のお店に入ろうかと考える。
魔剣は食事を摂るのだろうか。
「基本はマスターのMP?っていうのを摂る。でも食事を自分のMP?ってやつにしてる剣も良くいる」
「そうか。ってかグリモアも俺の心を読むようになったのか」
「私とマスターは死なない限り、切っても切れない契約がある」
「人権なんてなかった」
そんなこんなで歩いていると前に馬車が通るのが見える。
周りの人たちも端に避けて真ん中の道を開けている。中には跪く者もいた。
「どっかのお偉いさんか。それも民に愛されるほど、珍しい気がするな。グリモア、俺たちも避け——」
「マスター、あれから逃げる。あの中、聖剣がいる」
「そりゃみんな避けるわけだわ」
「聖剣と魔剣、仲よくない。向こうもこっちに気づいてる。今は離れる」
「了解」
俺たちは馬車の進行方向に急いで走った。
馬車を見て先に避けている人が何人もいたのと機動力が幸いして馬車との距離は少しずつではあるが離れて行く。
気づけば俺たちは取った宿の部屋まで戻ってきていた。
俺は慣れない人ごみの中を何分も走ったこともあり、腰を下ろしたら立てなくなった。
グリモアも汗こそ掻いていない(掻かないのかもしれない)が息切れを起こしていた。
しばらくして付属品さんが元気よく帰ってきた。
手には袋をぶら下げていた。服屋で一着買ってきたらしい。
付属品さんは疲れている俺たちを見て何事かと首をかしげていたが、聞くようなことはしなかった。
そんなこんなで俺たちのアルセナ王国一日目は終わりを告げた。
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馬の足音を聞きながら彼女は馬車の中で深く考えていた。
数日前、二つとなりの街で異世界召喚が行われた。これは何もないところから自身の使い手となりえるものが数名現れたことから間違いがないと言えよう。
その中で一名、妙な行動をする者がいた
その者は召喚されたその日にその街を飛び出し、召喚直後とは思えない速度で隣の街へ移動した挙句、そのまま森の中に入っていった。
それから少しすると急激にその存在濃度が濃くなったのだ。
これはレベル1から30は上昇しなければあり得ない程だった。さすが聖剣の使い手になりえると言わざるを得ない。
それから街で二泊したのち歩きでこの街に来ていることが分かった。
それをこの国に伝えると国王は国全体で祝うと言い出した。
流石にどうかと思ったのだが国民から批判の声は上がらなかった。大丈夫だろうかこの国。
そして今日、馬車に乗ってゆっくりとではあるが使い手となりえるものの方へ進ませた。
だがここで予想外のことが起こったのだ。
最初は選ばれし者が馬車の横に来た時点で馬車から降り、民の前で指名してやるつもりだったのだがその者はなぜか魔剣と一緒におり、馬車の存在に気づくと逃げて行ってしまったのだ。
とても腹立たしい。
なぜその者は魔剣などと一緒にいたのか。同じ方向に逃げたことからもう契約もしてしまっているのだろう。
だが他の使い手となりえるものはまだその者の存在濃度には遠く及ばない。
その者がどれほどここに留まるか分からない以上は強行手段も視野に入れなければならないだろうか。
そのようなことにならないためにも一つ手を打つ必要があるだろう。
聖剣エクスカリバーは使いの者に指示を出して自身は城に戻るのだった。
誤字修正しました。
政権→聖剣
明記しました
アルセナ国→アルセナ王国




