13.火竜討伐
日常パートです。
今日はとある依頼を受けてここ、アロウ山の頂上目指してやって来ている。
目的は山の頂上に住み着いた火竜の討伐。
依頼のランクはS、これはあくまでも目安であり制限ではないそうなので大丈夫だろう。
というか依頼のところにはSランクの依頼がいくつもあった。大丈夫か冒険者ギルド。
道中の敵はグリモアで切り伏せては《異次元空間》に仕舞うを繰り返して回収している。
俺のレベルは前の街で暗殺者を殺して20を越えてからも、道中の敵を倒しても着々と経験値が入っているのが分かった。
「主!私も魔物と戦いたいです!」
「今回は諦めてくれ、元々グリモアと俺の能力テストの為にこの依頼を受けたから。そのせいで受付に執拗に依頼の撤回を求められたし周りにも腕とか足とか掴まれたし」
「それは一人で行こうとするからでは?二人なら止められませんでしたよ」
「冒険者登録したとはいっても付属品さんもFランクだからな。Fランクが一人で行こうが二人で行こうが止められるものは止められると思うが」
付属品さんが目をそらす。
俺たちは依頼を受ける前に付属品さんの冒険者登録を済ませた。
名前は『イルビ』、《喰らう者》を少し変えただけである。
「せっかくイルビって名前があるのですからそれで呼んで下さい!」
「無理。あれは冒険者登録するための名前だし俺の中ではもう付属品さんで固定されてる。そんなに呼んでほしかったらグリモアに頼め」
「グリモアちゃんは私のことイルビって呼んでくれるよね!」
<分かった、付属品さん>
聞いているようで全く聞いてないグリモアに付属品さんはうなだれるように俺の後ろをついてきていた。
それからも魔物を切りながら山を登ること数時間、時刻はとっくに昼を過ぎているにも関わらず頂上との距離は一向に縮まっている気配がなかった。
「なあ付属品さん、これって後どれくらい掛ければ火竜に会えるの?」
「このペースならあと26時間といったところでしょうか」
「......これってもしかして野宿前提の依頼だった?」
「それはもちろん。...まさかとは思いますが野宿道具を持ってきてないのですか?」
「持ってきてないというか、買ってない」
まずい事態に顔を青くする付属品さんとそこまではいかないまでも少し焦っている俺、野宿についてどうでもいいと思っているグリモアの三人。
話し合った結果、《喰らう者》で全速力で火竜を討伐して街まで戻るという事になった。
「グリモアは俺が持ってるからいいとして、付属品さんはどうする。一緒に行くか、ここで待ってるか」
「私はここで待ってます。性能で言えば主の半分しかありませんし、《喰らう者》も使えませんので」
「了解だ。行くぞグリモア」
<うん>
HP:2700/2700 → 2200/2700
素早さ:270 → 5270
俺はグリモアを持って山道を全力で駆ける。
道中にいる魔物なんかは邪魔にもならないので放置。
ただ《心眼》を全開にしてただひたすら駆け上る。
グリモアから<マスター、とんでもない>と言われた(気がした)。
三十秒後、目的の火竜と思われる生き物の心の声が聞こえた。かなりの速度で駆けているとはいえ頂上まではまだ数分は掛かる距離なのだが。
俺は声の聞こえた方向へ走ると一つの洞窟があった。
中に入るにつれてその声も良く聞こえるようになる。
しばらく歩くとそこには一匹の竜がいた。
体表を覆っている鱗が赤く、体長数十メートルはある。
「《情報視認》」
名前:火竜
種族:竜種
年齢:423
LV:72
状態異常:
基本スキル:《竜属性攻撃LV.7》
ユニークスキル:《威圧》《竜撃》《飛行》
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HP:3687/4271
MP:2968/3256
攻撃力:753
守備力:885
素早さ:249
魔法力:634
運:167
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「————ッヴァー!」(人間よ、何しにここへ来た)
「俺は柳 真一!お前を倒すためにここに来た!」
「!?」
<マスター、早く切りたい>
俺が返事を返すと火竜は驚いたように周りをきょろきょろし始め、俺の方に向きなおして声を上げる。
「————ッヴァー!」(そなた、我の声が聞こえておるのか!)
「いざ、尋常に勝負!」
<えいやー>
火竜の声は聞かなかったことにして俺は切りかかる。
俺の最初の反応に瞬時の反応が出来なかった火竜だったが、その鱗の硬さにグリモアの刃先は弾かれてしまう。
「————ッヴァー!」(小癪な人間め、殺してやる!)
火竜は不意打ちに腹を立てたのか物騒なことを言っているが、俺は冷静にそれを使う。
HP:2200/2700 → 1700/2700
攻撃力:270 → 5270
俺は突っ込んでくる火竜の首すれすれを跳び、体を回転させながらグリモアで切り付けていく。
首の部分にとどまらず先ほどの鱗まできれいに切断していく。
地面に着地した瞬間右足でブレーキをかけ、そのまま火竜へ跳ぶ。
素早さで俺に大きく劣る火竜に術はなく、グリモアが火竜の首に突き刺さる。
火竜はそのまま地面へ倒れて絶命した。
その直後に俺のレベルが大きく上がったのが分かった。まあこの火竜レベル72だしね。
入れることのできる総量が増えたとはいえ、火竜全てを入れることはできなかったので首だけ切り落してお持ち帰りした。
俺が走って付属品さんのもとへ行くと、いくつもの魔物の死体とともに付属品さんが満面の笑みで立っていた。
《異次元空間》でそれをしまうと俺たちは数時間かけて街まで戻った。
街についたころには辺りは暗くなっていたので、近くの店で食事を摂ってから宿に戻ることになった。
依頼については今日完了するのは時間的におかしいという事で明日ギルドに行くということに決定した。




