表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/86

狩りの成果(犠牲者1)

一狩り行こうぜ。

「…………げふっ……」


 全身が真っ黒焦げ、白目を剥いてぶっ倒れていた俺は口からもうもうと煙を吐き出す。


「………………え、えーと、ビットさん?」


「………………大丈夫、です…か?」


 心配そうにアルカ嬢とジャコが俺の側に寄り、ぱたぱたと俺の目の前で手を振る。

 あ、やめて、ジャコやめて。マジで今触んないで。皮膚が焼け焦げて痛みが直に来るの。マジで痛い。超ヒリヒリする。


「この男がその程度で死ぬわけが無いと、お前たちも知っているだろう」


 心配する二人を余所に、キーシャは表情を一切変えること無くそう言った。

 …………おい。


「…げんびんば(げんいんは)……おべぇ(おめー)だりょ(だろ)…」


 未だに痺れの残る舌と口を総動員して、俺はキーシャへ恨み言を呟いた。






 時間は数分前に遡る。

 アルカ嬢とジャコが初めての魔物狩りに繰り出し、その獲物として現れたトライゼライノス。

 二人の少女は現れたライノスに息を呑み、武器を構えてゆっくりと近づいた。


『……ブフッ』


「っ」


 ざむっ、と草を踏みしめた音で、のんびりと草をんでいたライノスが嬢たちの存在に気付く。

 二人の姿を見とめたライノスはゆっくりと身体ごと二人の真正面を向いた。

 どうやら自分と敵対するつもりだと分かっている様だ。


『ブモォォ!!!』


「!ジャコ!」


「はい!」


 ライノスが前足で地面を掻き、三本のツノを振り回しながら突撃を掛けた。

 直ぐ様嬢が合図を掛け、ジャコと二人で左右に跳んでやり過ごす。

 二人が跳んだ直後にライノスはその場所を通過し、跡には土や草が滅茶苦茶にえぐりぬかれたむき出しの地面だけが残った。

 ………ひゅぅ、ありゃやばい。

 もしも嬢達が対応できずに棒立ちだったなら、この場は人肉解体場に様変わりしていただろうな。


「ジャコ!常に私か貴女が死角から!」


「はい!」


 ばちっと弾けるように立ち上がり、二人は通り過ぎていったライノスの左右を挟むように立ち回る。

 右からアルカ嬢が大上段に斬りかかった。

 見た感じ上手く力の乗った一撃だが、ライノスは嬢の剣戟を鼻のツノで事も無げに弾き飛ばした。

 その隙を突いてジャコがライノスの左の腹を斬りつける。


『ブモッ…!』


「わっ!?」


 攻撃されたライノスは嬢の剣を弾いた勢いを利用してツノを振り回し、ジャコはたまらず後退する。

 そのままライノスは追撃をかけ、ザクザクとツノで地面を耕しながらジャコを追い立てた。

 しつこく追い回されてジャコは退かされたがしかし、逆を言えばライノスの視界に嬢の姿は無い。


「…やっ!」


『ブモォォ!?』


 嬢が背後からライノスの尻を斬りつける。

 うーわ、痛そう。だが上手い。

 常にどちらかがライノスの死角に立ち、ダメージを蓄積させる。

 まだまだ拙さは見えている二人だが、狩りの基本はちゃんと出来ていた。


「………む、いかんな」


 そうやって着実に二人がトライゼライノスを弱らせていたのだが、しばらくすると様子を見ていたキーシャの顔色が変わった。


『……ブルルッ』


 ちくちくと攻撃され、身体のあちこちから血を流すライノスの一対のツノからバチッと火花が散る。


「ビット・フェン、出番だ」


 それを見たキーシャは、岩の上で狩りを観戦していた俺の襟首をいきなり掴んだ。


「あ?……うおっ!?」


 視界がブレる。

 次の瞬間、俺は宙を舞っていた。


『ブモォォォォォォ!!!!』


 ライノスのツノが光り、閃光がアルカ嬢へ飛ぶ。


「アバァアァァァァァアアアァァァァァ!?!?!?」


「ビットさん!?」


 そして丁度嬢とライノスの中間へ投げ込まれた俺は、強烈な電撃をその身に受けた。


「今だ!とどめを刺せ!」


 間髪を入れずにキーシャが指示を飛ばす。


「え、あ、はい!」


 俺が電撃を受けている隙に、嬢たちはライノスの首元へと刃を振り下ろす。


『ブモッ…!』


 動脈を掻っ切られたライノスは一瞬大きく痙攣した後、重々しい音とともに地面へ沈む。


「……………」


 同時に電撃がおさまって俺も地面に落ちた。

 皮膚は黒々と焦げ付き、身体のあちこちから煙が上がる俺。


「だからツノに気をつけろと言ったのだ」


 そんな俺を一瞥して、キーシャは嬢たちを叱責した。

 …………ツノに気をつけろって、そういうことかよ…。





 で、現在に至る。


「それにしても、魔物が魔法を使うなんて知らなかったわ」


「冒険者の基本知識だ。よく覚えておけ」


 俺をおぶる嬢が少し狼狽気味に初めての狩りの感想を漏らすと、ライノスの死体を引きずるキーシャがそう返す。


「……だからって、俺を盾にするか、普通」


「近くに居たお前が悪い」


「ひでぇ」


 いつも通りの冷ややかな面で淡々とキーシャは俺に言った。辛辣である。


「えっと、でも、助かりました」


「そうね、ありがとう、ビットさん」


「あー、別に構わねぇよ。俺なら死なねぇし、必要なら肉壁なりなんなり利用すりゃいい」


 未だに痺れの残る手を振りながら俺が気楽に返事すると、返された二人はクスクスと笑った。

 バケモンはバケモンなりに役に立てば文句はない。

 俺以外に被害は出てないし、初めてにしちゃ上出来か。

 初狩猟の成果を手に、俺達は帰路についた。






「見た?」


「見た見た」


吸血姫アルカードだ」


化け提灯ジャック・オ・ランタンも居た」


化け猫(ケット・シー)も居た」


「化け猫、こっち側だったよね?」


「裏切った?」


「裏切り者だ」


「粛清する?」


「吸血姫は?」


「化け猫が殺さないなら、僕らで殺す?」


「殺す」


「殺す」


「「楽しい狩りの始まりだ」」

実は私、あのゲームはプレイ経験ありません。

ご意見ご感想お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ