1-7
昔、誰かが言った。
あなたには特別な才能があると。
昔、誰かが言った。
あなたの――は――して―――と。
清々した。
そんなもの、私にはいらなかった。
アカリさえいれば良かった。シズカさえいれば良かった。
二人さえいれば、それで。
『だから、君の一番にはなれないんだ。絶対にね』
真っ直ぐに、私は言った。
一番大切な席も、一番特別な席も、もう埋まってしまっているから、だから、私に本気になるのは無意味だと、私はこれまで何度も口にしてきた。
……面倒くさい。
恋愛なんてただの下劣な享楽でしかないのに、最初からそういう条件で始まっているのに、勝手にそれ以上を求めだして、勝手に捨てて、最後には被害者面をして私の所為にする。
有象無象に愛されても気持ち悪いだけなのに。
代わりなんて、これっぽっちもいらないのに……。
「――そこは夢です。忘れないで。あなたは客観的に自分を視なければならない。俯瞰してください。正しい現実を見つけるんだ。そうすればきっと、元凶も見つかるはずだから」
また知らない声がして、私は夜が差し迫った夕闇の公園にいた。
そして、その公園には幼いころのアカリが――私達に手を差し伸べてくれた幼馴染の彼女がいた。
『……たすけて』
これを言えたのが、自分だったら良かったのに……。
その痛みが、いや、或いは『うん、任せて!』と笑顔で応えてくれた彼女の声が、私に一つの常識を思い出させてくれた。




