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目を開いたら、シズカが私を見下ろしていた。
ここは、どこだろうか?
視線を彷徨わせて、病院の個室なのだという事実に辿り着く。
「大丈夫? あなた、自室で倒れていたのよ」
つまらなそうな顔で、彼女は言った。
「倒れていた……?」
「医者が言うには過労だって、最近仕事に熱を入れ過ぎていたから、それが原因なんじゃない? まあ、色々と焦るのは判るけれど、無理なペースで続けても、長期的に見ればけして効率的とは言えないわ。何より私が困る。だから、ちゃんとバランスを取って」
「あ、あぁ、そうだね。その、心配をかけてすまなかった」
「別にそんな言葉は要らない。私を恐れる必要もありません。だって、私にはまだ、あなたを受け入れる準備があるのだから」
彼女は涼しげにそう答え、それから上着のポケットから何かを取り出して、仰向けに眠る私の胸の上に押し付けてきた。
「これは?」
「折り畳みのナイフよ。使い方は判っているでしょう? ほら、開いてみて」
言われるがままにゆっくり開くと、鋭い銀色が私の目を眩ませた。
なんとも魅力的な輝きに、思わずうっとりしてしまう。
「私は、あなたを許したい。だから、あなたも早く、私達を苦しめるあいつを殺して、今度こそ証明して。するべき事はそれだけ。ねぇ、たまにはいいでしょう?」
「……たしかに、そうだね」
ナイフを強く握りしめ、私は身体を起こした。
そうなのだ、奴を殺さないと、私たちは再開できないのだ。何一つ。
その真実に突き動かされるように、私は彼女が開いてくれたドアの先に向かって歩き出した。




