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誰かを愛するには生きる必要がある。
死んでしまったら何もできないのだから当然だ。
だから、泣いてしまうくらいに哀しかったけれど、私はまず自分の安全第一に屋敷を離された。
その際、私の事を漏らしてしまうかもしれない雇った悪い人を殺して、ついでに刑事さんのように振舞っていたけれど、明らかにそうじゃない人の首を鉈で刎ねて、それを車に乗せた。
移動の最中に中身を消化して、情報を確認して驚いた。
まるで都市伝説。その人は、国家が抱える呪いの専門組織のエージェントだったのだ。そして、彼女目当てで屋敷までやって来たらしい。
なんでも重要な証人としての価値があるとの事だけど、まあ、彼女に危害を加える気がないのなら何でもいい。
それよりも、今は今後の事を考える必要がある。
当初の予定では私が彼女になる筈だったのだけど、彼女が傍にいない以上別の誰かを完食して、別の誰かになる必要があった。
正直、気は進まない。
人間は不味い。とてもとても不味い。それに――
「――あぁ、そうだ、帰る前にあの子のお菓子を買っておかないと」
無意識に、言葉が出た。
私の意志じゃない。食べた脳にこびりついていた思考が漏れたのだ。
こういう副作用が、取り込むという行為には常に付きまとう。だから慎重に、適量でやっていく必要があるのだけど――
「……パトカーの音、うるさいですね」
ぼやきながら、ワゴン車に乗り換える。
いざという時の保険として、近場に駐車しておいたのだ。足もついていない筈なので、包囲網さえ抜けたら、しばらくは大丈夫なはず。
その間に別の人生を手に入れて、安全を確保したら今度こそ彼女と一つになろう。
そう決めて、私は悪い人のお友達に電話を掛けた。私が喉を噛み千切って殺した、悪い人の声で。




