3-1
私は、ずっと一人で戦うしかないと思っていた。だってそれが私の存在理由で、私自身もそれを望んでいたから。
けれど、当時の私は未熟で無力で、弱いあの子を守ることが出来なかった。
そんな時、私は彼女と出会った。
彼女は勇敢で聡明で、同時に愚かでもあった。
その愚かさが引き金になって、私達は自由になった。
彼女は後悔していたけれど、私達にそんな感情はなかった。当然だ。あんな奴死んで当然だったんだから。
でも、そんな奴でも、彼女の負い目になってくれたのはありがたかった。おかげで私たちはより一層彼女にとって特別な存在になれた。
これで、ずっとずっと一緒に居られる。私はそう信じていた。
……だから、許せなかった。
あんな男必要ない。処分しないといけない。そのうえで、もっと彼女を縛り付けないといけない。
幸い、あの子もすぐに同意してくれた。
状況を用意するのは簡単だった。だって、私達には本物の魔法があるんだから、他人の行動を支配するなんてわけもない。
実際、それ自体は上手くいった。
ただ、予定外の事も起きた所為で台無しになったのだ。あげく、彼女にも気付かれてしまった。本当に最悪だった。
結果、私はますますあの男を殺したくて仕方がなくなって、なのに、あの子はそれを拒絶するようになった。
どうして?
もしかして助けられたから?
――はっ! 莫迦じゃないのっ!
そんなのただの下心でしょう? 油断なんてしてどうするの?
脅威は排除しなきゃ、幸せは守れないんだよ?
我慢して何が変わったのか言ってみてよ?
私の言ってる事、間違ってる?
ねぇ、私を遠ざけないでよ。 彼女とずっと一緒に居たいんでしょう?
だったら、やらなきゃ!
やらなきゃ!!
殺さなきゃ!!!
……はぁ、
溜息が零れる。
私の声は届かない。あの子が耳を塞いでいるから。
私の怒りは収まらない。今も、あの子が危険に晒されているから。
我慢してないで、早く私を呼んでよ。
シズカって、私の名前を呼んでよ。他のどうでもいい奴等の間違いからじゃない、あなたから聞きたいの。
……どうして、あんなこと言ったんだろう?
やっぱり、私は――
「――消えるのは嫌なの」
不意に、歪んだ声が響いた。
視線を向けると、そこには血塗れの制服姿の少女がいた。
その手には、私がもっているナイフとは比べ物にならないくらいに大きな、鉈のようなものが握られていて、
「忘れないでよ。忘れないでよ。わたしを、忘れないでっ! それが無理なら、仲間になってよ! みんな同じなら、許せるから! きっと、きっと、きっと!」
自分の魔法に食われた化け物は、まっすぐに私に襲い掛かって来た。




