表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/21

3-1

 私は、ずっと一人で戦うしかないと思っていた。だってそれが私の存在理由で、私自身もそれを望んでいたから。

 けれど、当時の私は未熟で無力で、弱いあの子を守ることが出来なかった。

 そんな時、私は彼女と出会った。

 彼女は勇敢で聡明で、同時に愚かでもあった。

 その愚かさが引き金になって、私達は自由になった。

 彼女は後悔していたけれど、私達にそんな感情はなかった。当然だ。あんな奴死んで当然だったんだから。

 でも、そんな奴でも、彼女の負い目になってくれたのはありがたかった。おかげで私たちはより一層彼女にとって特別な存在になれた。

 これで、ずっとずっと一緒に居られる。私はそう信じていた。


 ……だから、許せなかった。


 あんな男必要ない。処分しないといけない。そのうえで、もっと彼女を縛り付けないといけない。

 幸い、あの子もすぐに同意してくれた。

 状況を用意するのは簡単だった。だって、私達には本物の魔法があるんだから、他人の行動を支配するなんてわけもない。

 実際、それ自体は上手くいった。

 ただ、予定外の事も起きた所為で台無しになったのだ。あげく、彼女にも気付かれてしまった。本当に最悪だった。

 結果、私はますますあの男を殺したくて仕方がなくなって、なのに、あの子はそれを拒絶するようになった。


 どうして?

 もしかして助けられたから?


 ――はっ! 莫迦じゃないのっ! 


 そんなのただの下心でしょう? 油断なんてしてどうするの?

 脅威は排除しなきゃ、幸せは守れないんだよ?

 我慢して何が変わったのか言ってみてよ?

 私の言ってる事、間違ってる? 

 ねぇ、私を遠ざけないでよ。 彼女とずっと一緒に居たいんでしょう? 

 だったら、やらなきゃ! 

 やらなきゃ!!

 殺さなきゃ!!!


 ……はぁ、


 溜息が零れる。

 私の声は届かない。あの子が耳を塞いでいるから。

 私の怒りは収まらない。今も、あの子が危険に晒されているから。


 我慢してないで、早く私を呼んでよ。

 シズカって、私の名前を呼んでよ。他のどうでもいい奴等の間違いからじゃない、あなたから聞きたいの。


 ……どうして、あんなこと言ったんだろう?

 やっぱり、私は――


「――消えるのは嫌なの」


 不意に、歪んだ声が響いた。

 視線を向けると、そこには血塗れの制服姿の少女がいた。

 その手には、私がもっているナイフとは比べ物にならないくらいに大きな、鉈のようなものが握られていて、


「忘れないでよ。忘れないでよ。わたしを、忘れないでっ! それが無理なら、仲間になってよ! みんな同じなら、許せるから! きっと、きっと、きっと!」


 自分の魔法に食われた化け物は、まっすぐに私に襲い掛かって来た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ