第08話加算VS料理長
蹴破られたドアから姿を現したのは1人の男だった。
白い服に、厨房にいる人間がつけてそうな帽子が目立つ筋骨隆々の男。
「全く…ドアを壊すのは流行っているのか?」
相立は呆れ、そして続ける。
「ここは俺が行こう。皆、下がっていてくれ」
相立がそう言うと、その場にいた者たちは皆、相立から離れる
「ちょっと、わたくし達は加勢しないんですの!?」
「新入りお嬢よぉ、あっちゃん舐めんなよぉ!大丈夫だってぇの!」
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律儀に皆が離れるのを待っていた男は、離れたことを確認すると帽子を取り、深々と頭を下げ挨拶をした
「こんにちは、自分はジェンヌと…申します。突然で失礼ですが…ノヴァスを潰しに来させて頂きました」
「すまんがそれは無理な話だ」
「…残念です。大人しく殺されてくれれば、簡単なお仕事でした…」
「抵抗、させて貰おうか」
相立の言葉を合図に戦いの火蓋が切られた。
『一般料理器具包丁』
ジェンヌがそう言うと、ジェンヌの周りに無数の刀が現れる。その刀は宙に浮き、相立に向かって、自立して攻撃してくる。
「(サイコキネシス的な能力なのか?)『加算』」
相立の能力は加算。自身の身体能力を限界まで高め、刀の攻撃を避ける。
「(手数が多いな、このまま避け続けても戦況はよくならないだろう…)」
「攻めさせてもらう、『使い捨て:拳銃』」
相立は腰から拳銃を取り出し、弾を放つ。その弾は、相立の加算により、限界まで性能を上げた拳銃から放たれた弾だ。相立の見立てでは、刀を何個使って受けようと、確実に相手の命を刈り取る威力となっている。
『一般調理器具:まな板』
ジェンヌは盾を出現させ、弾を受けようとする。
「狙い通りだ」
相立はそれとほぼ同時に、動き出していた。
「(盾を出したなら、前があまり見えなくなる。それに、受けている間は無防備だ!)」
相立は瞬時に走る。既に相手は弾を防いでいる途中だ、今なら!
「まずは一回、だ」
相立はジェンヌに一度触れる。
「2回3回4回5回!」
5回ほど触れた
「このまま!」
『一般調理術:タタキ』
相立は気づかなかった。ジェンヌにより、相立は地面に叩きつけられた
「あぁ…貴方はなんて迂闊なんでしょうか、隙だらけ…でしたよ」
相立は立ち上がる事ができない。骨が…折れていた。
「ゔ…ぐっ……」
「どうしたんですか?立ち上がらないのですか?」
「まだ…」
相立はジェンヌに手を伸ばす
「無駄な足掻きですね」
ジェンヌは手を払う
「まだ…だ」
相立はまたもやジェンヌに手を伸ばす
「無駄だと、言っているでしょう」
何度も、相立は手を伸ばす、それを払われ続ける。
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「やめて…やめてくださいまし!」
フォンデュは遠くから叫ぶ、相立の助けに向かおうと走り出そうとする。
「やめとけ新入りお嬢!」
それを猪虎が止めていた。
「なんでですの!?相立さんが負けそうなのよ!ワタクシは助けに行きますわ!」
「お嬢、見てな…大丈夫、あっちゃんはよぉ、策もなくやられるタマじゃぁ、ねぇぜ」
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4回、そう4回手を払われてから、相立はのっそりと、ゆっくりと立ち上がった。
「まだやるのですか?今なら大人しく殺してあげますよ」
相立はゆらゆらと、ジェンヌに向かって歩いていく
「いいでしょう、まだやりますか!いいでしょういいでしょう!一発だけ、攻撃を受けてあげましょう!」
相立はジェンヌの目の前に立つと、弱々しく張り手を放った
「それだけですか…なら、終わりにしましょうか」
「終わるのはお前だ、ばーーーーぁか!」
相立は柄にもない言葉を放つ
「なんのことでしょうか…」
ジェンヌが技を発動しようとする。しかしその動きがピタリと止まった。
ジェンヌの体は異常なまでに膨れ上がり、今にも破裂しそうになる。
「俺の最初の攻撃で…5回、お前が手を払って4回、そしてさっきの張り手で1回お前の万全に、俺の加算が、乗っかった」
「ッ!?しゃらくさい!『一般調理術:みじん切り!』」
ジェンヌは、技を放とうとする。しかし、ジェンヌの技が相立に届くことはなかった。
何故なら…
「お前はもう廃棄物しているんだよ。お前の負けだ、ジェンヌ」
ジェンヌが払った、と思った手は、相立の能力発動条件を満たしていた。10回目の加算が…完了したのだ。
ジェンヌ:
雇われ能力者殺しの能力者。能力は料理長
料理という行為そのものを攻撃として転用できる。




