第07話顔合わせ01
翌日、フォンデュは医務室を出て、作戦室を訪れていた。なぜか、それは相立に呼ばれたからである。
「広くて慣れませんわね…」
今回で実に2度目の作戦室だが、この場所に自分がいていいのか…というどこか場違い感を感じて、慣れない。これが雰囲気に飲まれる、と言うことなのだろうか
「お、来たか」
するとそこに、相立が現れた。
「相立さん、何か用ですの?」
「そうだな、要件は2つだ…まずは」
「体調はどうだ?大丈夫か?」
相立にそう聞かれた。思い返してみれば最初にいたのはいつも相立だった。彼は彼なりに、フォンデュのことを心配してくれていたのかもしれない。
「問題ないですわ、能力の件も、千夏さんに聞きました、暴走してたけど今は落ち着いている…と」
シェラが去ってしばらくした後、千夏という少女が来た。軽い自己紹介と、フォンデュの能力に関して分かったことを伝えるとすぐに去ってしまったが…
「そうか、ならよかった。で、二つ目だが…」
相立は先ほどより真剣な眼差しを、フォンデュに向けた。
「お前は今後、どうしたい?基本的に、能力者として覚醒したものは、能力者として、活動するものだが、もし、今までのような生活を求めるのであれば、そうすることも可能だ。お前はどうしたい」
フォンデュの頭に、シェラの言葉がよぎる。
常に悩み続けろ、悔やみ続けろ、苦しみ続けろ、それでも尚、前を向け。
忘れてはいけない、あの時のことを、忘れてはいけない、あの時の苦しみを。
フォンデュの答えは一つだった。
「わたくしは、この能力から、逃げませんわ。あの時の苦しみも、罪も、全部背負って生きていくと、決めましたの」
大きく息を吐き、静寂を破るかのように、言う。
「わたくしを、この組織に入れてくださいまし」
フォンデュは、少し前まで、一般人であった彼女は、過酷な運命に、立ち向かう決意をした。
数秒、沈黙が場を支配した。その後、相立は口を開ける。
「分かった、それがフォンデュ、お前の選択だな。」
「なら、歓迎しよう、この組織、能力者が集まる組織。ノヴァスに」
―――――――――
数時間後、作戦室は様変わりしていた、中央にドカンと置かれた円卓を囲うようにして数人の男女が座っている。その中の1人、相立が不意に口を開く。
「新人が新たに1人、ノヴァスに加わることとなった。今日集まってもらったのは、新人を含めての顔合わせの為だ」
相立は、今、円卓を囲うようにして座っている男女に、そう呼びかけた
「もっとも…数人は出払ってしまっていないが…」
「まぁ、そんな堅苦しい場ではない、俺を始めに、時計回りにぐるっと自己紹介をしよう」
相立はさらに続ける
「俺は相立、相立玲人この組織のリーダーをやらせてもらっている。能力は加算、よろしく」
相立が自己紹介を終えると続け様に2人目が口を開く
「はいはいはーい!ちなっちゃんは〜千夏って言うんだよ〜!能力は鑑定!みんなの事〜なーんでも知ってるからね〜!」
「堅苦しい場ではないとはいえ、うるさいぞ、千夏」
相立が思わずツッコミを入れる。
「次はワタクシですわね、ワタクシの名はシェラ
能力は模倣ですわ、よろしくお願いいたしますわ、フォンデュさん」
シェラは淡々と自己紹介をする。フォンデュは
「(やっぱりキャラ被りしてる気がしますわ…)」
と思ったりした。
そこまで話をした所で、突然円卓のど真ん中にジャンプして飛び乗った人物がいた。
その人物に、フォンデュは見覚えがあった
「あなたは…」
「俺の名前は猪虎ってんだぁ!能力は怪力よろしくなぁ!」
「暴漢ですわぁぁぁぁぁぁ!?」
「だから暴漢じゃねぇって言ってんだろぅがよぉ!」
その人物はドアをぶっ壊した暴漢だった。
「新入りお嬢!俺の名前はぁ、猪ぃ虎ぉ!分かったかぁ!?」
「わかりましたわ、暴漢さん」
「分かってねぇなぁ!?」
そんな言い争いをしていると
「猪虎、フォンデュ、その辺にしろ、仲がいいのはいい事だが、今は自己紹介中だ」
相立に止められた。
「ちぇ、しゃーねぇなぁ…まぁ、新入りお嬢、よろしくな!」
猪虎は円卓の真ん中にどかっと座る。
「あと猪虎、机の上ではなく椅子に座れ」
またもや相立に注意されると、猪虎はしぶしぶ椅子に戻って行った。
「次 わたし?」
「あぁ、そうだ」
「わたし 空晴 能力 内緒 よろしく」
そしてついに、フォンデュの番がやってきた。
「わ…わたくし、フォンデュ・デ・マフィンですわ!よろしくお願いしますでしてよ!」
緊張で若干変な言葉遣いになってしまったが、フォンデュは自己紹介を終えた。
すると、空晴が口を開く
「今 敵さん 来たよ」
「!?空晴、どう言う事だ」
「わたし 敵さん 来るの 待ってた 来るまで 伝え なかった」
「…またか」
相立はため息を吐く、まだあまり状況は理解できない。すると、作戦室のドアが蹴破られる音がした。
「敵だ、皆、油断するなよ」
せっかく頑張って自己紹介を完遂したフォンデュの身に新たな災難が!?
次回、返り討ち!
加算:
相立玲人の能力。人間の万全の状態を100とした時、その数値を10ずつプラスできる能力。要するにバフ。
自分以外の物体、人に能力を発動するには触れる必要がある。
100の2倍、200までバフると、バフられた物はぶっ壊れ、人は廃人となる。




