第04話2度目の感覚。
ビルの中は、薄暗く、湿っていた。シェラとフォンデュの呼吸音だけが木霊し今の所、他の人間の気配はない。
「誰も…いませんわね」
フォンデュは少し安心しそうになる、が、シェラがそれを否定する
「暗がりに潜んでいる可能性が高い…と考えるのが自然ですわ、安心するのはまだ早いですわよ」
その言葉を聞き、フォンデュは納得し、気を引き締める。すると突如
「侵入者だ!」
武装した男達がシェラ達の前に現れた。
「現れましたわね、フォンデュさん、離れないように」
「わっ…わかりましたわ!」
シェラが臨戦体制に入る。さっと何かを取り出すと、シェラは男達に殴りかかった。数秒後、男達は全員、倒れ伏した
「ふぅ、この男達は、能力者ではありませんのね。フォンデュさん、先に進みまs…フォンデュさん?」
シェラが辺りを見回すも、フォンデュの姿はない。
「どうやら見失った…いや、連れ去られたようですわね」
――――――――――――――
同時刻、フォンデュは連れ去られた。
一時、気が緩んだ隙に。突然壁が波打った。そこから伸びてきた手は、フォンデュの口を塞ぎ、そのまま壁の奥へと引き摺り込んだのだった。
連れ去られた先は、さらに暗かった。もはや中の者に何も見せまいとするほどの暗闇。
「ここは…」
「案外チョロいじゃねぇかよ、能力者さんよぉ〜」
暗闇から声が聞こえる、だがどこにいるかわからない。
「どこにいますの!出てきなさい!」
動揺してはいけない。ここで動揺してしまえば、それが相手に悟られたら、フォンデュにとって不利に働く。
「そんなんもわからねぇのかよ〜まぁ仕方ねぇ…よなぁ!」
そう聞こえた次の瞬間、足を掴まれた感覚を覚える。ふと見ると、手…手があった壁の時と同じように、床に、手が。
「ひっ!」
「怖いかぁ!苦しいかぁ!怖いかぁ!泣き叫んでみろよぉぉぉ!」
床から、頭が生えて…くる。現れてくる。そいつは男だった。スキンヘッド、頭には竜の刺青も入っている。
「や…やぁ…」
力ない、間抜けな声が出た。フォンデュは恐怖している。この男に、今この状況に。たまらなく恐怖しているのだ。咄嗟に後退ろうと、後ろについた手で道を探る、動こうとする、動けない、恐怖で、1ミリたりとも。
「ハハッ!それだよソレェ!それを求めていたんだ!俺は!」
男の全身が姿を現す。男は、フォンデュの胸に、おもむろに手を伸ばす。男の手は、フォンデュの身体を、透過し、その心臓へと、手をかけた。
確かに、胸の奥が締め付けられるような、そんな感覚がする。
「俺の能力はなぁ!透過だ、俺と、俺が触れた物を、任意で透過させる!シンプルだが強力だろぉ!」
フォンデュは何も答えない、恐怖で声も出ない。フォンデュの、その生涯で2度目の、死が間近に迫ってくる…その感覚を味わった。
「わ…」
「あぁ?」
「わたくし…」
「なんだぁ!?」
「貴方なんかに負けたくありませんわ!」
フォンデュの視界が赤く染まる。あの時と、スライムの時と同じ感覚。だが気絶することはなかった。
不意に、本能的にフォンデュは男に手を伸ばす。能力の限界なのかなんなのか、男の頭は実態を持っていた。
「な…なんのつもりだてめぇ!」
「死んでください」
フォンデュは男の頭を掴む。しかし何も起きない。
「な…なんだよ…何も起きねぇじゃねぇか…びっくりさせやがって…さぁ!この心臓を!ぶっ潰してやるぜぇ!」
男が握る力を強めようとする、すると突如フォンデュの指先が赤く光り、男の身体がみるみる乾いたかのように萎んで行く。
「な…なにが起きて…やがる」
男の腕が崩れていく。
「…は?」
男の足が崩れていく
「やめろ!」
男の身体が、頭が、崩れて行く
「やめろやめろやめろイヤダイヤダイヤダイ…ヤ…」
男がいた場所には、男だったものを残し、男は死んだ。
「なに…が…」
フォンデュも、その場で倒れ込んだ。
――――――――――――
シェラはフォンデュを見失った後、空晴に捜索をお願いすることにした。本当ならば今すぐ助けたい所だが、まだ任務は終わっていない。フォンデュは無事だ、そう信じてビルの探索を続けることにしたのだ。
不意に、空晴がシェラの前に現れる、
「空晴さん、フォンデュさんは見つかりましたかしら」
「見つか った 敵の ボス 一緒に」
「敵のボスも?まさか、フォンデュさんはやられてしまった、と言うことを言いたいのかしら?」
「違 う」
「捕まえましたの?」
「違 う」
「見れ ば わかる」
そう言うと、空晴はシェラを連れて作戦室へと転移した。
こうして、二人は作戦室へと離脱した。




