第03話初仕事
「だーれが暴漢じゃゴラァ!」
扉を壊した男は、苦言を呈す
「初対面でいきなり暴漢呼ばわりは傷つくもんだろがよぉ!」
「初対面でいきなり扉ぶっ壊す人を暴漢呼びしない方が無理ありますわ!?NOT暴漢の方は普通にノックして入ってくるんですわよ!」
「なるほど…気をつけることにするぜぇ!」
…あまり反省しているようには見えない
「はぁ…扉は壊すなとあれほど言っただろ…」
「まぁまぁ!それよりよぉ!あっちゃん、仕事だぜ!」
暴漢はどうやら相立に用があるようだ、入ってきた時のあっちゃんとは相立のことなのか…なるほど
「仕事か…要件は?」
「獲物が現れたぜぇ!白お嬢が行くらしいぜぇ!」
「そうか、わかった」
ふとそこで、暴漢はフォンデュに気づいたのか、フォンデュに声をかける
「お!新入りお嬢かぁ?」
「まだ入ってすら居ませんわ!」
「?じゃあ研修中かぁ!」
そこまで話したところで、今度は相立がフォンデュに声をかけた
「いいタイミングだ、フォンデュ、お前には早速能力者に同行してもらおう。ついてこい」
「いきなりですの!?」
「いい機会だろう」
有無を言わせぬ返答を聞き、フォンデュは諦めて相立について行く。
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医務室を出てしばらく、たどり着いたのは巨大なモニターが目立つ広い部屋であった。
壁際には複数のPC、天井付近には目立つ巨大なモニター。
広い部屋の中では、十数人の男女がそれぞれの思うがままに行動しているのが窺える。
「ここは作戦室だ、と言っても、真面目に作戦を立てるやつなんて少ないがな」
相立は苦笑する。
確かに、広い会議室を見渡すと椅子に座ってボーッとしている者、机の上にカードゲームのような物を広げて遊んでいる者、敷き布団を広げて寝ている者など、皆一人一人が思い思い好き勝手やっている。とても作戦を立てるような場所とは思えない。
「作戦室といいますから、真面目なところなのかと思いましたわ…」
「さっきも言ったが真面目な奴なんてほんの少数だ。能力者なんて、多分大体そんなもんだ」
呆れたように、しかし少し笑みを浮かべながら相立はそう告げる。きっとなんやかんやでそう言うところを気に入っているのかもしれない。
「まぁ、詳しい話はまた今度しよう。今は向かう所がある」 そう言うと相立は歩き出す、しばらく歩くと相立は止まった。そこには1人の女がいた。白髪、青い瞳、そしてドレス姿の女。
「あら、相立さん。どうかしましたの?ワタクシ、そろそろ用事があるのですけれども」
「その用事の件だ」
「…相立さん、後ろにいらっしゃるのは、例の方かしら」
「あぁ、そうだ…あとは頼んだ」
そんな話をすると、相立は去って行く。それとほぼ同時に、女がフォンデュに話しかけてきた。
「ワタクシ、シェラと言いますの、新人さんよろしくお願いしますわ」
「わたくしまだ新人ですらありませんわ!?それに貴方、わたくしとモロキャラ被りしてらっしゃいますわね!?」
流石のフォンデュもツッコまざるを得ない。
「あら、そうかしら?ワタクシ、貴方とそこまで似ているとは思えないわ、まだ名前すら知らないのに」
「…わたくし、フォンデュ・デ・マフィンと申しますですわ」
「よろしくお願いしますわ、フォンデュさん」
フフッと笑ったシェラは、すぐに気持ちを切り替えたのか
「さて、フォンデュさん、行きますわよ」
「どこにですの?」
「それはもちろん、仕事に…ですわ」
「早速すぎやしませんこと!?」
「善は急げ、でしてよ」
さらにシェラは続ける。
「今回は、違法能力者の取り締まりをしますの」
シェラは何ページにもなるマニュアルを読むかの如く説明を終える。そして最後に一言
「遠足ではありませんので、心してかかること、いいですわね」
「なりたいと思っても遠足気分になんかなりませんわよ!?」
「ならよろしい」
説明を終えたシェラは、次に部屋の隅へ向かった。向かう先に見えるのは、白髪の少女。まだ小中学生のように見える少女が、部屋の隅で椅子に座っていた。
「空晴、早速お願いいたしますわ、ワタクシの横にいる彼女も一緒に」
シェラは少女を空晴と呼び、何かを任せたような様子だった。
「…」
しかし少女は返答しない
「空晴さん」
「わか た」
突然少女が口を開けた、その声は小さく、カタコトだった。そして次の瞬間、視界の先が歪んだ。やがて視界が晴れると、そこは作戦室とはまた違う場所であった。
「へ?」
フォンデュは動揺を隠せない、思わず間抜けな声を漏らした。
「さぁ、着きましたわよ」
「え?」
「到着ですわ」
「?」
フォンデュは状況の理解に数分を要した。シェラによると、作戦室から、今の場所まで”転移”した。とのことであった。フォンデュは能力者の規格外さを実感することとなった。
そんなことをしている間に、シェラはすでに動き始めていた。
「ちょ、ちょっとお待ち下さいまし!!」
慌ててフォンデュはシェラの後を追いかける。
周りに人の気配はしないものの、転移先はごく普通の商店街のように見える。こんなところに能力者がいるのだろうか。
「シェラさん、違法能力者というのはなんなのでしょう?」
フォンデュは気になっていたことを尋ねた
「その名の通り、能力を違法に行使する者のこと…ですわ」
「そんな方がこんな所にいますの?」
「案外、紛れているものですわよ」
そう言うとシェラはある場所を指差す、その先は、四階建てほどある小さいビルだった。
「ここが、違法能力者と、取り巻き達の拠点…ですわ」
「こんな所にありますの!?」
そこは商店街からも近く、とてもそんな場所には見えなかった。
「さて、先程も言いましたがここからは仕事、遠足気分ではいけませんわよ」
そう告げると、突如シェラの雰囲気が変わる。そばにいるフォンデュは、一瞬身震いしてしまった。
「今回、フォンデュさんは見学…のようなものですわ。危ないと思ったら、すぐにワタクシの後ろに隠れてよろしいですわよ。でも一つ、ワタクシから絶対に離れないでくださいまし」
「わかりましたわ…」
フォンデュも決意を固め、拳を握りしめる。
それを見て、シェラは小さく頷くと
「では、行きますわよ」
2人は小さなビルへと、足を踏み入れた。
違法能力者:
能力を違法に行使するもののこと。
一般人では対処が容易ではない為、能力者が対応することが多い。




