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ファンテルジー  作者: タンタタン
第一の戦線
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18/19

第17話 情報戦は、結局のところゴリ押しに帰結する

「話を聞かせてもらおうか」

相立は静かにそう言う。

ヴィルはため息を吐く。

それもそのはずお願いをしているように聞こえて、その実これはほぼ"尋問"だ。

「いいだろう、質問次第だがな」

ヴィルは寝転がったままそう返す。

誰がみても満身創痍、攻撃の意思は見られなかった。

「聞きたいのは大きく分けたら一つだけだ」

「教団に関して、お前の知っている情報を全て開示しろ」

相立の顔が険しくなる。

ヴィルは少し悩んだあと、口を開きはじめた。

「教団からは対面で依頼を受けた」

「内容はこうだ」

「"空晴という名の少女を殺せ"」

「そう言われてこれを渡された」

ヴィルが懐から出したのは2枚の紙だった。

一枚は空晴(ゆいは)の写真、そしてもう一枚は依頼の詳細だった。

ヴィルは写真を自身のそばに置くと、もう一枚の依頼の詳細が書かれた紙を相立に渡した。

そこには空晴(ゆいは)に関する詳細な情報が書かれていた。

名前

所属

能力

おおよそノヴァスが把握していることは全て書かれていた。

「随分と詳しく書かれていますわね…」

フォンデュは紙を覗き込み、そう言う。

「……対象を殺す依頼だ。これだけ書かれていてもおかしくはない」

相立は少し眉を細めるが、淡々としたその姿勢は崩さない。

「他にも情報はあるか」

「……あぁ、ないことはないが」

「なら質問させてもらおう」

「まず、依頼人の特徴は?」

「そうだな…一言で表すならガキ、だな」

「人を舐め腐ったような態度で、それでいて常に余裕そうな節があった。よく分からんやつだったな」

「さっきまで俺の側にいたぞ?」

「なるほど、なら依頼を受けた場所は?」

「地図はあるか?」

「あぁ、グー◯ルマップでいいか?」

「構わない」

相立は、自身のスマホを立ち上げ、マップアプリを開く。

それを、ヴィルの手元に置いた。

「あー…そうだな、ここだな」

ヴィルはある場所を指差す。

「ここはどこか、説明を受けたりしたか?」

「あぁ、依頼人曰く、ここは教団の本部で、教祖的な人もここにいるとか、裏切ろうとか考えないでね〜とも言っていた」

相立はそこまで聞くと考え混み始める

「つまり、ワタクシ達がそこに行けば教団と戦えるってことですわね!」

「………………」

「なら いますぐ いこう」

「……いや、何かが引っかかる」

「だろうな」

ヴィルは相立に同意する。

「普通依頼人がこんなにも自身の所属する組織に関して明言することは珍しい」

「公に知られていない、秘密の多いであろうあの教団であれば尚のことだ」

「そうだ、そう、不自然すぎる」

相立はマップを見ながら呟く。

「依頼人自身の情報だけなら、まだわかる」

「だが依頼人の所属する組織、そしてその本部の場所」

「挙げ句の果てには教祖の居場所まで」

「あまりにも"おかしい"。普通じゃない」

「じゃあ その情報 ダミーで うそ?」

「いや、それは違う」

ヴィルは答える

「嘘をついているような風には感じなかった」

「概ねそれは同意見だ」

相立は続ける

「この情報は本物だろう」

「ならなぜそんな情報を渡すんですの?」

フォンデュが質問する。

「それが一番分からんところだ」

「だが一つ考えられる可能性がある」

「それ は?」

「この場所…奴らが言う本部に、こちらが来ることを想定している」

「いや、本部にこちらが来るように誘導している」

考えてみればそうだ、

「依頼の為に、一部は教える事があるかもしれない」

「だが、教団に関して、そいつは多くのことを喋っている。喋りすぎている」

相立は続ける

「普通なら隠す情報を嬉々として…かどうかは分からんが渡している」

ヴィルは問う

「なぜだと思う?」

「ヴィルに情報を渡し」

「ヴィルが依頼通りに空晴(ゆいは)を殺そうとする」

「そして空晴(ゆいは)が勝ち、その情報をノヴァスに持ち帰る」

「つまり俺が負けることも想定していた…と?」

「あぁ、そうだろう」

ヴィルからの問いに相立は即答する

ヴィルはその答えを聞いてもなお表情を崩さない。

ヴィルの負けを想定して、教団がヴィルに依頼をし、そしてその通りヴィルは負けた。

気分のいい話ではないはずで…

「そんな話を聞いて、悔しいとは思いませんの?」

フォンデュはヴィルの表情を見て、そう質問する

「俺は依頼を受け、そして失敗した」

「ただそれだけだ、依頼人がどう考えていようと、俺には関係ない」

「そうですか…」

フォンデュは押し黙ってしまう

ヴィルは全てを、相立の憶測を聞いても、顔色ひとつ変わらない。

事実として、ただ、自分が負けたという事実だけを、受け止めた。

「さて、お前たちはこれからどうするんだ?」

ヴィルは相立に向き直り、そう言う。

「お前の知る本部に、向かう」

「向かうんですの!?」

あそこまで情報を開示するのはあまりに不自然だ。

こちらが向かうように誘導しているとしか思えない。

「これは明らかに罠ですわよ!?」

「わかってる」

「なら…なぜ」

「現状、こちらが教団に関してわかっているのはこの情報しかない」

「これ以外の情報にも、当てはない」

「罠だ、なら行かない、そうするのは簡単だろう」

「だがそれで何が変わる?」

「いまこちらは完全に後手だ」

相立は深く息を吐き、続ける

「相手が、教団側が整備した道?罠?」

「上等だ、ノヴァスを舐めている教団を、ぶっ潰してやろうじゃないか」

ヴィルは言う

「随分自信満々だな」

「絶好のチャンスを逃すほど、馬鹿じゃない」

相立は少し黙り込むと、ヴィルの方を向き

「ヴィル、お前も来い」

「どう言うつもりだ?」

「俺が、ノヴァスがお前を雇おう」

「俺は敵だぞ?裏切るかもわからん」

「お前はそう言うようなことをする奴ではない」

ヴィルは少し考えると、頭を掻きながら

「いいだろう、ただし"仲間"ではない、あくまで"協力者"だ」

こうして、彼ら彼女らは、思い切った決断と、協力者を引っ下げて、一度作戦室に戻るのだった。

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