第10話なんかオドオドしててちっさい雰囲気出してる奴
新たに作戦室に響いた声は、微かで、まるで大人数の前で話す時に口ごもってしまう陰の者のような、そんな声だった。
「相立…リーダー、さん、私が…新人さんと、一緒に、いきましょう…か?」
声の主人は天井から地面に降り立つと、相立にそう告げる。
「まぁいいが、お前は遠征中じゃなかったか?」
「それは…もう、終わったので、」
「ならいいだろう、頼めるか?」
「もちろん、です!」
声の主人は相立に了承をとると、フォンデュの方をチラッと向いて、すぐに視線を逸らし、
「あっ…あの…よろしくお願い…しま、す?」
声の主人、彼女はオドオドと、そして目を合わせずにフォンデュに挨拶をする。
「あ…わたくしフォンデュ・デ・マフィンと申しますわ!よろしくお願いいたしますですわ!」
それに少しつられるようにフォンデュは口ごもってしまったが、すぐに普通に自己紹介を済ます。
「フォンデュ、コイツは人見知りでな…ついさっき任務から帰ってきた所らしい…」
相立は尚フラフラとなりながらも、説明を続けようとする。
「あっちゃんよぉ、無理すんなよ!怪我人は安静にダァ!」
それを見かねた猪虎は、相立を医務室に再度連れて行くことにした。
また後で!と言い残し、猪虎達は去っていった。相立と猪虎がいなくなったことで、作戦室は妙な静寂に包まれていた。
「あの…わたくし、先ほども言いましたが、フォンデュ・デ・マフィンと申しますわ、貴方のお名前は?」
オドオドとしている謎の人物に咄嗟に話しかける。
この静寂に耐えきれなかった、のもあるが、一番はこの謎の人物の正体を明かしたい、と言ういわば好奇心であった。
「あ…そう…ですよね、ワタシ、自己紹介…してませんもんね、ごめんなさいごめんなさい、、、」
ペコペコと謝る彼女は申し訳無さそうな顔でどんどんと縮こまる。
「あの…ワタシ、アンナと言うんです…能力は…これ、で…」
そういうと、アンナの方から何かが飛び出して手のひらの上に乗っかる。それは、純白の蜘蛛だった。その蜘蛛は、アンナの手のひらの上でくるりと一回転すると、フォンデュの方を向いて、
『えーやばー!新しい人じゃーん!ごめんね?アンナ、人見知りなとこあるけど、悪い子じゃないんだよ〜!仲良くしてあげて?』
保護者のようなことを言い出した。
「えっと…ワタシの能力は、神蜘蛛って…いいます、はい」
『わたしがアンナの家族兼能力!アラクネちゃんでーす!』
情報の処理が追いつかず、理解に数分を要した。
――――――――――
フォンデュは、いつの間にか任務場所まで来ていた。
アンナとの顔合わせが済んだのち、シェラが善は急げ!と今出されている任務の一つの任務場所まで、空晴に連れていってもらったのだ。
「ここが…」
着いた先は、広大に広がる草原だった。任務の内容はこうだ。
管理区域内から脱走したモンスターの討伐、確保。
現在確認されているモンスターは5匹、その内、脱走個体が3匹、未確認のモンスターが2匹である。脱走個体は討伐。未確認のモンスターは見つけ次第確保せよ。なお、今回の任務は脱走個体3体を討伐するまでがノルマとする。
「わたくし初めてのモンスター討伐!腕が高鳴りますわね!」
「それを…言うなら、、、」
『胸が高鳴る!だよね〜!』
そんな会話をしながら草原を歩いて行くと、こちらに向かってくる影が見えた。まだ遠くてよく見えないが、猪のような…
『前方!猪突猛進出現!フォンデュちゃん、頑張れ!』
フォンデュは突然振られて動揺しながらも、アラクネに案内された場所まだ動く、すると
「ブモォォォォォォォォォォォォォォォ!」
デカ目の猪が突進してきた
『フォンデュちゃん!前、能力を発動した時のイメージを思い出して!頑張れ〜!』
フォンデュは過去の、記憶を思い出す。あの時の感覚。イメージ。身体の内が求める渇きを満たす、そんなイメージで…
「まーけーませんわよォォォォォ!」
デカ目の猪の突進を真正面に受けながら、能力を発動する。すると、みるみるうちに猪の突進の威力は落ちていき…
「プゥ…」
討伐が成功した。
『やったー!フォンデュちゃん!初討伐おめでと〜!』
「あ…あの、おめ、、、おめでとう、ございます!」
その後は、楽であった。どうやら脱走個体は全てあの猪だったようで、残りもパッと片付けた。
「終わりましたわね…疲れましたわ…」
『お疲れ様〜!』
「お疲れ様…です、、、」
すっかり終わりムードが出ていた時…
「ァァァァァァ…」
未確認モンスターが、現れた。
猪突猛進:
通常の猪よりちょっと大きなサイズをした猪。
直線的な移動や攻撃しかできないものの、正面から受けた時のダメージは絶大。だが、主人公は無意識に生命力を吸いながら、その生命力を自分の治癒にも使っていたので、ほぼ無傷で討伐することができた。




